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映画「クロワッサンで朝食を」アマゾン・プライムで観るジャンヌ・モローの遺作 2012年制作

2018-08-22 16:22:58 | 映画

         
 原題は「パリのエストニア」。エストニア出身のパリで長く住む高齢のフリーダ(ジャンヌ・モロー)のもとへ、エストニアから家政婦としてやってきたアンヌ(ライネ・マギ)。

 フリーダは気分が天気のように変わり思ったことをずけずけと口にする。老人の身勝手だがアンヌも母をなくして老人を少しは分かっているつもりでいたが、フリーダは一筋縄ではいかない。

 空港に迎えに来たステファン(パトリック・ピノー)もフリーダの口吻に乗せられるなと念を押した。早速苦情が飛んできた。近所のスーパーでクロワッサンを買って朝食に出した。「スーパーで買っちゃダメ。パン屋さんのクロワッサンでないと食べない」

 聡明で我慢強いアンヌは近所のパン屋でクロワッサンを買って紅茶とともに出した。フリーダはにっこりと納得の笑顔。

 さて、このクロワッサン。ウィキペディアによると[三日月」と言うフランス語のようで三日月の形をしていた。映画では、三日月でなくストレートな形だった。

 ちなみに私の朝食もクロワッサンとバナナ、ベビーチーズ、トマトジュース、コーヒーだ。このクロワッサンもストレート。バナナとパンの取り合わせ。アメリカン・ミステリーで女性がトーストにバナナを切って載せて食べる場面。アメリカ映画でティーンエイジャーの娘が食パンにバナナのスライスを載せて食べる場面と最初は取り合わせに違和感を持ったが、クロワッサンとバナナの朝食にした結果、今では病みつき状態。

 私にとってバターを含んだクロワッサンとバナナの甘みにチーズの味とコーヒーの苦みですっきりとした朝になる。

 道草はこれくらいにして、フリーダの厭味も続く。余生いくばくもないフリーダの寂しさを理解したアンヌは、近所にあるエストニア福音教会で話を聞く。かつてフリーダも熱心な信者だったが、最近はエストニア人を嫌っているようで足が遠のいているとのこと。アンヌは、フリーダに教会の人が会いたいと言っていると招待を提案する。

 そしてやって来た三人の信者。フリーダは三人が会いたいから来たと思っている。三人はフリーダが会いたと言ったと思っている。会話はやがて昔と変わらないフリーダに気分を害しアンヌが画策したことも明らかになる。喧嘩別れの昔馴染みとなった。

 フリーダは激昂してアンヌに「出ていけ」と罵倒。アンヌは出ていく。夕刻、フリーダはアンヌ、アンヌと広いアパートを探し回る。「出ていけ」と言ったことを忘れている。

 アンヌは終電まで地下鉄駅で過ごし、早朝までパリを歩き回る。空が白み始めたエッフェル塔で、スーツケースに入っているクロワッサンをかぶりつく。

 エストニアには午後の便に乗るため、あれほどきつく罵倒したフリーダであっても、一言別れのあいさつを残したいと思った。ドアを開けるとフリーダが迎えた。ハグも謝りの言葉も何もない。

ただ「入って」フリーダ。
「でも」とアンヌ
「ここはあなたの家よ。入ってちょうだい」フリーダ。
踵を返して自分の部屋に入るフリーダの後姿を見つめるアンヌで映画は終わる。爽やかで余情のある幕切れだった。

 ジャンヌ・モローは、1928年の生まれ。出演時84歳。この五年後2017年に89歳で世を去った。歳をとるに従ってあくの強い顔になった。若かりし頃の面影がない。カトリーヌ・ドヌーヴと対照的かな。それでもイヤなばあさんを好演していると言ってもいいか。アンヌを演じたライネ・マギは、楚々とした風情の品のある顔立ちで印象に残った。
  
  
  
監督
イルマル・ラーグ1968年5月エストニア生まれ。

キャスト
ジャンヌ・モロー1928年1月フランス、パリ生まれ。2017年7月没
1960年「雨のしのび逢い」でカンヌ国際映画祭の女優賞を受賞
ライネ・マギ1959年2月エストニア生まれ。
パトリック・ピノー1961年生まれ。


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