原題は、The Family Manという何の変哲もないネーミングながら、邦題が夢を見る時間をこのタイトルにしたのはなかなか洒落ている。
株屋のハットン社で社長をやっているジャック(ニコラス・ケイジ)のもとに、13年前空港で別れたケイト・レイノルズ(ティア・レオーニ)から言伝の電話があったが、ジャックは昔のことだと言って取り合わない。
クリスマス・イヴに一人で眠りについたジャックは、夢で別の自分を見る。ジャックは伯父の経営するタイア販売会社に勤めていて、妻ケイトと幼い子供二人ともども郊外の瀟洒な家で暮らしている。その状況が理解できない。娘はそんな状況を見て「私のパパじゃないでしょ。エイリアンなの?」と言う始末。
結婚記念日に妻をニューヨークの高級レストランに連れて行ったり博物館みたいなマンションを見せたりしたが、妻は郊外の生活で充分幸せと言う。
夢から目覚めたジャックは急いでケイトのアパートを探し当てるが、いまや敏腕弁護士のケイトは、パリの事務所を任される事になりフランスに引っ越しの準備中だった。夢による影響は強力で、ケイトを追って空港で翻意を促す。そしてハッピーエンド。
一言で言えば、男の身勝手といえなくもない。13年前、空港のロンドン行きゲートの前で
ケイト 「ここで別れたら…」
ジャック「空港にいると誰でも感傷的になるものさ。僕らの決断を信じよう。君はロー・スクールで学び、僕はバークレー銀行で研修、すごい計画だ」
ケイト「全部白紙に戻して―今、この瞬間から二人の生活を始めましょ。最初は手探りでもきっと何とかなるわ。仕事は二の次よ。二人が一緒にいて、初めて幸せになれるの」
ジャック「たとえ100年離れ離れになっても、僕らは変わらないよ」
体よく断ったジャックが自分の理屈で求めている。とはいえ、往年の理想主義で楽天的作品を多く作った映画監督フランク・キャプラ(1897年~1991年、イタリア出身「ある夜の出来事」「オペラハット」「我が家の楽園」でアカデミー監督賞を受賞)を連想して、幸せな気分をくれた時間だった。もっともこの映画の製作スタッフもキャプラの「素晴らしき哉 人生」を参考にしたと言っている。
ケイトを演じたティア・レオーニが非常に魅力的で作品に光彩を添えていて、ずっと見とれていた。製作者の一人マーク・エイブラハムは、ティア・レオーニを見れば、一緒に生活したくなる筈だと言っている。その通り。
この映画のドン・チードルは、天使役で出番も少ない。
監督 ブレット・ラトナー1969年3月フロリダ州マイアミビーチ生まれ。ミュージック・ビデオ界出身。
キャスト ニコラス・ケイジ1964年1月カリフォルニア州ロングビーチ生れ。叔父がフランシス・フォード・コッポラ。‘95「リービング・ラスベガス」でアカデミー主演男優賞を受賞。
ティア・レオーニ1966年2月ニューヨーク生れ。
ドン・チードル1964年11月ミズーリ州カンザスシティ生れ。’04「ホテル・ルワンダ」でアカデミー主演男優賞にノミネート。
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