２００１年９月１１日。テレビ画面に映し出されるニューヨーク・ツィンビルに旅客機が激突する映像は、今でも鮮明に記憶に残っている。当時のブッシュ大統領は叫んだ。「これは戦争だ！」
やがてイラクが戦場と化す。大量破壊兵器探索の使命を帯びたＭＥＴ隊隊長ロイ・ミラー（マット・デイモン）は、疑問を持ち始める。それは、国防総省情報局バウンドストーン（グレッグ・ギニア）の言う地点からは、大量破壊兵器が見つからないからだった。
本部のミーティングで発言しても一蹴される。そこへＣＩＡのブラウン（ブレンダン・グリーソン）が接触してきたり、ウォール・ストリート・ジャーナルの女性記者の接近もあって、捏造を確信する。ボーン・シリーズの焼き直しのような画面展開でめまぐるしくて疲れが残る。この映画の評価はどうであれ観客を楽しませると言う点ではよかったと思う。
イラク人の「この国をアメリカの言いなりにはさせない」と言わせているのには好感が持てる。それにしても、国防総省の言いなりに捏造記事を書いたウォール・ストリート・ジャーナルは、実在のメディアであり、捏造記事を書いたとされているから抗議をしたのではないかと思っていたが、監督解説の特典映像ではそのことに触れていなかった。
もし抗議がないとなれば、太っ腹なメディアではある。まあ、映画なんだからと思っているのかもしれない。アメリカ人は特に映画好きで、そんな小さなことには拘らないのかもしれない。
監督
ポール・グリーングラス１９５５年８月イギリス/イングランド生まれ。
’０２「ブラディ・サンディ」がドキュメンタリー・タッチの手法で撮られ高い評価を受ける。’０４年には、ヒット・シリーズの続編「ボーン・スプレマシー」に抜擢されヒットし、ヒット・メーカーの仲間入りを果たす。９．１１同時テロを扱った「ユナイテッド９３」も好意的に受け止められた。
キャスト
マット・デイモン１９７０年１０月マサチューセッツ州ケンブリッジ生まれ。’９７「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」でアカデミー賞の脚本賞を受賞。俳優としても同作でノミネートされた。’０２「ボーン・アイデンティティー」がヒット、続く「ボーン・スプレマシー」でスーパー・スターの地位を確立。
グレッグ・ギニア１９６３年６月インディアナ州生まれ。
ブレンダン・グリーソン１９５５年３月アイルランド/ダブリン生まれ。