ものすごく地味な映画。それにこれを監督したニコラス・ファクラーも、ものすごく若い。経験もあまりなさそうで24歳。それでも水準作を撮った。劇場公開もあったらしいが、果たして採算は取れたのだろうか? 実年齢79歳と78歳が演じるのでメイクもあまり手を加え
なくともよさそうだ。
ロバート(マーチン・ランドー)は、ふとしたことからメアリー(エレン・バースティン)と知り合う。一人暮らしのマーチンは、寂しさのあまり自殺まで考えていた。メアリーと出会ってからのロバートは、人が変わったように生き生きとしてきた。
ところがメアリーには、ある意図が隠されていた。これ以上は、ネタバレの危険があって書けない。レストランでの夕食のデート、そり遊びや手を握ったり見つめあったり、恋は年齢とは関係なく訪れ二人を熱くする。最後はちょっと捻りを効かせて余情が残る。
若い人がこれを観ても途中で投げ出すだろう。最近、中高年や高齢者の恋を描いたものが多くなった気がする。
恋は公平でなまめかしく、観るものを刺激してくる。ロバートの皺に覆われた手のアップを見て、思わず自分の手を見る。あれほどの皺がなかったので、やや安心した。若い恋は情熱、老いた恋は優しさがよく分かる。
監督
ニコラス・ファクラー 生年月日や場所不明。24歳らしい。この映画の脚本を書いている。
キャスト
マーチン・ランドー1931年6月ニューヨーク、ブルックリン生まれ。’94「エド・ウッド」でアカデミー賞助演男優賞を受賞。
エレン・バースティン1932年12月ミシガン州デトロイト生まれ。’71「ラスト・ショー」でアカデミー賞主演女優賞にノミネート。’74「アリスの恋」で主演女優賞を受賞。