猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

あすなひろし 哀しい人々シリーズ 「幻のローズマリィ」

2007年07月24日 17時02分06秒 | マンガ家名 あ行
       ビッグコミック・オリジナル 1977年2月20日号 掲載


 一つの作品が個人的な思い出をまざまざと思い出させることがある。
 
 その店は東京のJR (当時はまだ国鉄と言ってたっけ) 山手線の大塚駅の近くにあった。凹字型のカウンターしかない小さな居酒屋はおばさん一人で切り盛りしていた。カウンターの上には大皿が並び、すぐに食べられる煮物とか焼き物などが盛られていて、客はとりあえずそれらを頼んでつまみにし、頼んだ料理が出来上がるのを待つのだ。

 その店が他の店とはっきり違っていたのは、おばさんの愛猫が店の中にのんびり居座っていたこと。普通食べ物屋さんの店内では動物はご法度で、家で飼っていたり、残り物をやっていて居ついてしまったノラ猫でも店の中には入らせない。食べ物を扱っていたら当たり前のことで、私もそんな店は後も先もここ以外に知らない。
 
 女主人が猫好きなのは当然のことだが、客も猫好きしかいなかった。猫がカウンターの上の皿に近づこうが、ひざに乗ってこようが喜びこそすれ、誰もとがめる客なんていなかった。一見の客がそれを見てびっくりしようもんなら、常連客がみんなで そんなやつぁここに来るな ! という目で客を追い払う、そんな店だった。

 そこのおばさんは昔 SKD(松竹歌劇団) か NDT(日劇ダンシングチーム)かどこかで踊っていたらしい。当時20歳を少し過ぎた頃の私には、その50がらみのおばさんはそう言われればそうなのかなぁという華やかさしか感じられなかったが。
 
 ビッグコミック・オリジナルの本作を見たのはその頃よりもう少し後だったと思うが、すぐにその店を思い出した。
 中年のおばさんが一人で切り盛りする居酒屋が舞台で、彼女は宝塚歌劇にいたのだが新人の頃失敗して退団し、その後ストリッパーをしてあちこち転々としていたという設定だった。
 その店に集まる人々のそれぞれのほろ苦い物語で話は進むけれど、やっぱり私にはその元ストリッパーのおばさんだけが自分の思い出と結びついてずっと記憶に残っていた。特に上の写真の場面をはっきりと。

 先日、ネット友人の tooru_itouさんがこの作品のコピーを送って下さった。自分では持っていなかったし、もう題名も話も忘れていたので見た時はとても嬉しかった。これはあの作品ではないか・・・。

 とたんにあの凹形をした狭い店内を思い出した。自分がまだ若く生意気だった頃、当時付き合っていた男の子とよく行ったあの私の  「店の名はライフ」 を。

  tooru_itou様、ありがとうございました。
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする