「トーマの心臓」 フラワーコミックス 1巻~3巻
初出は 週間少女コミック 昭和49年(1974)5月5日の第19号~12月15日の第52号(終わりはつるさんに教えていただきました~)
「トーマの心臓」 は6月12日のアップにしようと思っていたら、すでに拙ブログの過去記事コメント欄で意見が沸騰しているではないかいな。一応書き終わったので、さっさと出します。
コメント欄にはとても良い考察がいっぱい入っているので、後で引用させてもらおっと。でも、読んだこと無い方も中にはいると思われるので、とりあえず概要だけでも。
最初はミステリー
西ドイツにある男子高等中学のシュロッターベッツ学園。転入生のエーリクにそっくりだった死んでしまったトーマ。フロイライン(お嬢さんと言う意味 男の子です)と言われたくらい可愛いトーマと真面目なユリスモール(ユーリ)委員長の間には半年前に何かあったらしい。
始めのうち、読者はエーリクと共に謎解きに必死だ。上級生の お茶会 に出たりして少しづつトーマとユーリの恋愛茶番劇の顛末 (お堅いユーリがトーマに落とされるか) について分かってくるが、エーリクにはそれ以上よく分からない。
一方読者はユーリの唯一の友人、学園で特別待遇の大人っぽいオスカーのおかげでユーリの首の下にあるキズと、それによってユーリが 天使の羽 (神の加護?) を失ったことが分かる。しかし、何がどうなってそうなったかはこの作品の最後になるまで結局分からないのだ。
その間にも、シュロッターベッツという小さい世界の中で少年達のキスや、幼い愛や、押さえ切れない激情や、涙によって学園生活は華やかに繰り広げられて行くのだ。
それぞれの事情
ユーリとエーリクは同室となるが、嫌でもトーマを思い出して不機嫌になるユーリ。そしてトーマを茶番劇の前からどんなに愛していたか思い出すのだ。
そんなある日、エーリクに手紙が届く。それはあれほど待ち焦がれたムテ(ママ)・マリエからでなく弁護士からで、マリエの死を告げていた。
以前住んでいたケルンに無断で行ってしまったエーリクを迎えに行くユーリ。その帰り道、なにやらユーリとの間にいわくありげなサイフリートという人物に出会う。その日のうちに学園に帰れなくなった二人はユーリの家に泊まるが、ここも又家庭環境が複雑そうだ。
校長に特別扱いを受けているオスカーにもなにやら秘密のカードがあるらしい。
気持ちが近づいたり又遠ざかったり・・・。ユーリのキズが背中にもあることが分かるが、あれは羽をもがれた後 ? エーリクはついにユーリに好きだと告げる。
ユーリは元から許されていたのか?
最終第3巻では上級生バッカスがユーリとサイフリートのイースターの休日の謎に迫る。この後すぐにサイフリート達素行不良の何人かが追放になったので、この時にユーリとの間に何かあったのは間違いないらしい。
バッカス好き。最初の登場のエーリクとの出会いの場面からいい味です。大人でみんなを (オスカーを) 心配している。オスカーもみんなの中では大人だけれど、ユーリが好きだしバッカスより深く入り込んでしまっていて身動きが出来ないので、バッカスのような人物は読者にとって頼もしい。しかし、バッカスをもってしてもオスカーからイースター休日後のユーリの首のキズやユーリのどこか変わってしまった心理状態を聞き出すことが出来たくらいだ。
ユーリ 「僕には翼が無い!」
エーリク 「翼 ? 天国へいたる翼…のこと ? 」
エーリク 「僕の翼じゃだめ ? 」
その瞬間ユーリは分かったのだ。トーマが自分の翼をユーリにくれたことを。同時に自分はどれくらいトーマを愛していたかを。
ユーリは長い間不思議に思っていた。キリストが裏切り者と知っていてもユダを愛していたのだろうかと。そうだ、その後のことまで全て許してキリストはユダに 「行って自分のなすべきことをせよ」 と言ったのだ。
そこに考えが至るとユーリには人が何であろうと神様はいつも愛して下さっているという事がしみじみと実感できた。自分もいままでどんなことがあっても神に愛されて幸福だったのだ。
では、自分のなすべきことは…。許された者として神に仕える事…。ユーリはボンの神学校へ行って神父になることを選ぶ。トーマはついにユーリを捕まえたのだ。
ユーリがこれほどまでに悩み、それに気が付いてトーマが自分の身で償おうとした事件とは。最後の最後にユーリの口からエーリクに知らされる。神を裏切り、愛していたトーマを裏切り、自分を裏切ったイースター休暇の夜のことを。
ジャジャーン 前述のサイフリートが絡んでくる事件の事ですが、長くなったので、明日つるさんたちのコメントを含めて書きますね~。えっ、ここまで来てひどいって ? 次回をお楽しみにって言うのは連載マンガの常套手段でしょ。
あと、オスカーのことあまり書けませんでしたが、連載中から人気NO1、今も多分そうじゃない ? 私ももちろん好きですよ。明日は少しオスカーのことも書けるかな
初出は 週間少女コミック 昭和49年(1974)5月5日の第19号~12月15日の第52号(終わりはつるさんに教えていただきました~)
「トーマの心臓」 は6月12日のアップにしようと思っていたら、すでに拙ブログの過去記事コメント欄で意見が沸騰しているではないかいな。一応書き終わったので、さっさと出します。
コメント欄にはとても良い考察がいっぱい入っているので、後で引用させてもらおっと。でも、読んだこと無い方も中にはいると思われるので、とりあえず概要だけでも。
最初はミステリー
西ドイツにある男子高等中学のシュロッターベッツ学園。転入生のエーリクにそっくりだった死んでしまったトーマ。フロイライン(お嬢さんと言う意味 男の子です)と言われたくらい可愛いトーマと真面目なユリスモール(ユーリ)委員長の間には半年前に何かあったらしい。
始めのうち、読者はエーリクと共に謎解きに必死だ。上級生の お茶会 に出たりして少しづつトーマとユーリの恋愛茶番劇の顛末 (お堅いユーリがトーマに落とされるか) について分かってくるが、エーリクにはそれ以上よく分からない。
一方読者はユーリの唯一の友人、学園で特別待遇の大人っぽいオスカーのおかげでユーリの首の下にあるキズと、それによってユーリが 天使の羽 (神の加護?) を失ったことが分かる。しかし、何がどうなってそうなったかはこの作品の最後になるまで結局分からないのだ。
その間にも、シュロッターベッツという小さい世界の中で少年達のキスや、幼い愛や、押さえ切れない激情や、涙によって学園生活は華やかに繰り広げられて行くのだ。
それぞれの事情
ユーリとエーリクは同室となるが、嫌でもトーマを思い出して不機嫌になるユーリ。そしてトーマを茶番劇の前からどんなに愛していたか思い出すのだ。
そんなある日、エーリクに手紙が届く。それはあれほど待ち焦がれたムテ(ママ)・マリエからでなく弁護士からで、マリエの死を告げていた。
以前住んでいたケルンに無断で行ってしまったエーリクを迎えに行くユーリ。その帰り道、なにやらユーリとの間にいわくありげなサイフリートという人物に出会う。その日のうちに学園に帰れなくなった二人はユーリの家に泊まるが、ここも又家庭環境が複雑そうだ。
校長に特別扱いを受けているオスカーにもなにやら秘密のカードがあるらしい。
気持ちが近づいたり又遠ざかったり・・・。ユーリのキズが背中にもあることが分かるが、あれは羽をもがれた後 ? エーリクはついにユーリに好きだと告げる。
ユーリは元から許されていたのか?
最終第3巻では上級生バッカスがユーリとサイフリートのイースターの休日の謎に迫る。この後すぐにサイフリート達素行不良の何人かが追放になったので、この時にユーリとの間に何かあったのは間違いないらしい。
バッカス好き。最初の登場のエーリクとの出会いの場面からいい味です。大人でみんなを (オスカーを) 心配している。オスカーもみんなの中では大人だけれど、ユーリが好きだしバッカスより深く入り込んでしまっていて身動きが出来ないので、バッカスのような人物は読者にとって頼もしい。しかし、バッカスをもってしてもオスカーからイースター休日後のユーリの首のキズやユーリのどこか変わってしまった心理状態を聞き出すことが出来たくらいだ。
ユーリ 「僕には翼が無い!」
エーリク 「翼 ? 天国へいたる翼…のこと ? 」
エーリク 「僕の翼じゃだめ ? 」
その瞬間ユーリは分かったのだ。トーマが自分の翼をユーリにくれたことを。同時に自分はどれくらいトーマを愛していたかを。
ユーリは長い間不思議に思っていた。キリストが裏切り者と知っていてもユダを愛していたのだろうかと。そうだ、その後のことまで全て許してキリストはユダに 「行って自分のなすべきことをせよ」 と言ったのだ。
そこに考えが至るとユーリには人が何であろうと神様はいつも愛して下さっているという事がしみじみと実感できた。自分もいままでどんなことがあっても神に愛されて幸福だったのだ。
では、自分のなすべきことは…。許された者として神に仕える事…。ユーリはボンの神学校へ行って神父になることを選ぶ。トーマはついにユーリを捕まえたのだ。
ユーリがこれほどまでに悩み、それに気が付いてトーマが自分の身で償おうとした事件とは。最後の最後にユーリの口からエーリクに知らされる。神を裏切り、愛していたトーマを裏切り、自分を裏切ったイースター休暇の夜のことを。
ジャジャーン 前述のサイフリートが絡んでくる事件の事ですが、長くなったので、明日つるさんたちのコメントを含めて書きますね~。えっ、ここまで来てひどいって ? 次回をお楽しみにって言うのは連載マンガの常套手段でしょ。
あと、オスカーのことあまり書けませんでしたが、連載中から人気NO1、今も多分そうじゃない ? 私ももちろん好きですよ。明日は少しオスカーのことも書けるかな
一体何があったの!?
すごく切なくて綺麗なお話ですね~。
私はオスカー大好きですけど当時は悩めるユリスモールに共感大だったので「一番」となるとユーリでしたが本心ではよりどちらが好きか?と別に競われてもないのに考えたりしました…実際選ばなくちゃいけないわけじゃないのでどっちも好きでも良いんだよね~~~わ~~い。
ところでココに1979年の「ぱふ」7月号『大友克洋の世界』がありまして、「読者が選ぶキャラクターベスト100」のページがあります、対象の作品は『漫画全部』。「ぱふ」での読者投票なのでそ~いう偏り(なかなかマニアックな漫画好き)はあるでしょうが「全作品対象」で堂々の一位です、オスカー・ライザー
第10位まで書きますね。
第一位 オスカー・ライザー 1539点
「トーマの心臓」萩尾望都
第二位 エドガー・ポーツネル 1267点
「ポーの一族」萩尾望都
第三位 アンジー 595点
「はみだしっ子」三原順
第四位 阿修羅王 567点
「百億の昼と千億の夜」萩尾望都
第五位 ユリスモール・バイハン 525点
「トーマの心臓」萩尾望都
第六位 ヒデヨシ 522点
「ファンタジーゾーン」ますむらひろし
第七位 須和野チビ猫 516点
「綿の国星」大島弓子
第八位 グレアム 478点
「はみだしっ子」三原順
第九位 エーベルバッハ 477点
「エロイカより愛をこめて」青池保子
第十位 フロルベリチェリ・フロル 376点
「11人いる!」他 萩尾望都
萩尾さん強し!点数で1・2位ダントツですね。1位+2位の点数が3位~7位までの総計と張る。
5位までの4人が萩尾さんキャラ。
ちなみに50位までだと萩尾さんキャラ10人、100位までだと13人、全体だと(352位まで)26人入ってます。
このとき私も投票してますが、決められなくて…結局萩尾さんキャラは得票数高いだろう、とちょっと目立たないキャラに投票したのでした。生田森太郎…「いちご物語」、大島さんの。。21点で216位でした。
総評のところに『78年だっくす12月号』の作品人気投票の10位までが参考として載っています。
1.トーマの心臓、2.綿の国星、3.風と木の詩、4.ポーの一族、5.火の鳥、6.はみだしっ子、7.キャプテン・ハーロック、8.あしたのジョー、9.11人いる!、10.銀河鉄道999
時代背景いくらか見えるでしょうか、24年組最盛期という感じですね。
すみません~。②にも私はっきり書いてないですね~ここでばらしちゃうと、
信仰を捨てろというサイフリートの暴力に屈して彼の足に口付けしてサイフリートが自分の神だと誓い、誓紙まで書き、それから作品にははっきり描かれていませんが、多分サイフリートにレイプされてしまったのでしょう。精神的にも肉体的にも蹂躙されてしまったのですね。そりゃ十代半ばの少年には厳しいですよ。死んだも同然になりもします。
書いてても辛い状況…最後に許されていると実感できてほんとに良かったね、ユリスモール
どうぞ~いつでもどこでもつるさんなら歓迎いたしますよ~。
オスカー凄いですね。こんなに人気があるんだーーえっなんでなんで?そりゃ私も好きだけど、古今東西 (マンガ界に限る) ナンバー1なの ? エドガーより阿修羅より ? 私は009のジョーと厩戸の王子と摩利と三すくみだけど。(笑)
三原順氏の「はみだしっ子」読んだこと無いのですが、いろいろなところで目にするのでいまだに人気あるのわかります。いづれ読んで見なければとは思ってますが。この方1995年に亡くなっているのですね。
1979年 ! 24年組さんたちは30歳前後、アブラノリノリの頃ですね。
島村ジョーは153点で25位です。
厩戸王子はこの頃まだ登場してない。連載がはじまってすぐかまだか、くらいだと思います。
数年後のキャラ投票では一位だった気がするけど…(朧)
鷹塔摩利は169点22位ですが、フィリップが265点で13位。摩利とフィリップを迷う人なら総合してフィリップにするかもしれないですね。ふたりの点数を足すと9位に入るし土方さんも98位に入ってます。
…私はいまだと律。。。今さんの絵がスゴク好きなんですよぅ~~、ユーリとかオスカーとかのせつな~~い哀しみを内に秘めたキャラとか知的な変態とか(ハンニバル・レクターみたいな)知的なモンスター(厩戸とか)とかなにかとアクのあるようなタイプが好きかと思ってたんですがなぜ。なぜ思いっきり振り回した後フタをあけて中味が飛び出した残りがさらに時間経過して温くなったコーラのよ~な律がいいんだ、テスト5点のくせに。恋は異なもの。。
三原さん、亡くなってたんですよね~、私も数年前に知ってびっくりしました、「考えすぎるから!」とか思っちゃった。はみだしっ子は七面倒くさいリクツをこね回しているところが私は好きですね~。。読むのにエネルギーいると思いますよ。。。
>思いっきり振り回した後フタをあけて中味が飛び出した残りがさらに時間経過して温くなったコーラのよ~な 律
きゃはは~! 私も律は好きですがね、この例えはくっ~言いえて妙
最近の女の子には、完璧にヒーローな子より、頑張っているんだけど、でもここんところは私がいてあげなくちゃだめなのよ、みたいな一部分抜けてる子が人気なんじゃない?自分を司ちゃんや晶ちゃんに置き換えて楽しんでいるような。昔からそうかな?
キャラ人気投票面白いですね。私のところにあるので面白いのは、15年くらい前の作品アンケートでダントツの1位が 「ポーの一族」 でした。 「日出処の天子」 は2位だったかな。二つとも連載終わってずいぶんたっているのに人気があるのはもう大人になってる人へのアンケートだったからかも。
キャラアンケートもあったか見てみますね。
(´;ω;`)ウッ…
嬉しいです♪
>信仰を捨てろというサイフリートの暴力に屈して彼の足に口付けしてサイフリートが自分の神だと誓い、誓紙まで書き、
ええ~!!!
そっそんな事が。。。
ひどいです( TДT)
>それから作品にははっきり描かれていませんが、多分サイフリートにレイプされてしまったのでしょう。
ひえ~!!!!
それは酷ですね。。。
徹底して冷徹というか。。
>精神的にも肉体的にも蹂躙されてしまったのですね。そりゃ十代半ばの少年には厳しいですよ。死んだも同然になりもします。
うわ~。。
確かに。。
生きる希望をなくしちゃいますね。。
>書いてても辛い状況…最後に許されていると実感できてほんとに良かったね、ユリスモール
ほんとですね。。( TДT)
それだけが救いです。。
奥深いです。
漫画でも文学漫画と呼べますね。
又きてもらってありがとうございます。
萩尾 望都氏の作品はコマの間に描かれていないことも多くて考えながら読むので疲れますが、難しいけどその分面白い。チャンスがあったらぜひ!
トーマの死(自殺)ばかりに目を奪われてしまいますが、ユーリの2面性(正と邪、善と悪)にも注目したいな。
ユーリは自ら進んでサイフリートの誘いに乗ったわけで、夜道を歩いていて暴漢にレイプされたわけじゃない。
『残酷な神‥‥』へと繋がって行く重いテーマですね。
神と悪魔が混在する堕天使キャラは『はみだしっ子』のグレアムに継承されているような気がするなぁ。
「週刊少女コミック」編集長と作者の攻防は、エッセー集『思い出を切りぬくとき』(河出書房新社 2009)に収録されています。
>エッセー集『思い出を切りぬくとき』
早速Eブック○フに登録しました。今は在庫ないようです。1998年に出た単行本の方も登録しましたが、河出書房新書の文庫の方が早く見つかるかも。読みたいです~~。
もうこの頃から 「残神」 に繋がるものができているんですよね。深いな。
『はみだしっ子』読まなくちゃと思っているんですけれど、なんか気が重くって。。。