立地論の入門書に好適です。「場所のチカラ」と分かりやすく「費用節減」、「収入増大」、「付加価値増大」と三つに分けて分析している。ちなみに拙論では「効用」と「財務」と「効率」のトレードオフモデルとしている。( http://www15.plala.or.jp/n7ohshima/oosaka%20ofice%20centers.pdf )著者は経済地勢学の出自とある。惜しむらくは総論的であるのが残念。他の単著も読んでみたい。<o:p></o:p>
この中で、「計画的集積」として商店街の「所有と利用の区分」の事例で「集積全体のコンセプト」の観点から高松の商店街を取り上げておられる。集積をとりまとめる意味はあるが、街をショッピング・センター(以下SCとする)化しテナント管理するのは本当に効率的なのかを考えたい。<o:p></o:p>
今のSCは効率性からかリスクからか同じようなテナントの金太郎飴的である。しかも車利用であったのが、高齢化と都心居住により「最寄・頻繁」と「ネット・配達」と「コンビニ利用とデパ地下使い分け」などに変化している。<o:p></o:p>
今求められている商業のうち特に食べ物については「地域性の発揮」ではないか。いくら効率的な流通でも、近所の総菜屋に敵うだろうか。商店街の強みは、対面販売、歴史、馴染みの他に、手作りや独自の仕入れがある。たとえば、餃子の王将はその立地や客層によりメニューや量を変えている。これはチェーンの「地元化」である。このようなマニュアルでない「地元化」または「地元の店」の価値があろう。つまりは食においては「地産地消」もありナショナル・チェーンの限界が見えた状況である。そのため量販店(GMS)も変化しつつあるが、いまは地域資本のスーパーマーケット(SM)が元気という先祖がえりの状況にある。<o:p></o:p>
つまりは「大型」、「チェーン」という「集積」ではなく、個々のお店のあり方として「独自性」、「地域性」、「小規模・分散」、「利便性」に変化したのではないか。その上で、地域ごとの集積や複合効果はある。まさに食べ物では地元の「商店街」を見直す時期ではないか。こういう時代に「立地創造」のためにSCは、デパートはこれからも必要か。逆に、商店街には個々のお店の経営指導としてマーケティングや差異化の方策、効率化がむしろ必要ではないか。大規模、チェーン、マニュアルから小規模、個別、経営改善を地域的に行う方法に変わっているのが実際ではないか。<o:p></o:p>
次に日本のSCの歴史を探る。