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自滅する選択(池田新介):双曲割引の理論分析、ゲーム理論展開、社会分析は具体的で知見に富む

2013-06-26 05:38:01 | マクロ経済

 行動経済学のうち、「双曲割引」( http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%8C%E6%9B%B2%E5%89%B2%E5%BC%95 ) を事例・理論で詳細に論じ、効用、社会分析など感心する内容だ。 知見は:<o:p></o:p>

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・双曲割引はアノマリー、時間割引(複利計算 DCF)と違い、先ずは大きく割引、先は小さく割り引く。遠くからでは手前にある低い木より奥の高いビルが見えるが、歩いて近づいて行くと近くの低い木で、その後ろの高いビルが見えなくなるのと同じ(大きく見える目前の利益)<o:p></o:p>

・リバタリアン・パターナリズム 自由主義への父権的な介入(矛盾しているのが面白い)が有効、デフォルト・バイアスを活用(双曲的な人は惰性で選択する、現状へのこだわりが強い特性があるというのは本当なのか、証明が欲しい)<o:p></o:p>

・心理的な固定費用→額が小さいほど金利が上がるのはこのためか(マグニチュード効果)<o:p></o:p>

・符合効果で損は大きく評価、損失バイアス<o:p></o:p>

・「エージェンシー・コスト仮説」 年功賃金を貰いたい為サボらない、年功賃金とは「(その企業に)特殊」な能力を育成する対価で、「一般的」な能力は転職につながるため支払わない→この理論はすごい、感心した、アメリカでも日本でも企業で同じことが起こるのはこのためか<o:p></o:p>

・早めのプレミアムと遅れのディスカウントモデルは面白い、メリット、デメリットの双曲割引モデルのNPV<o:p></o:p>

・美味しいものは後に、生活水準の下落は嫌われる→だから老後に備え貯金があるのか<o:p></o:p>

・自制や禁欲のモデルは後回しの回避につながるが、やりすぎは早すぎて損になる<o:p></o:p>

・所得変化は消費変化につながる、資産効果は消費への影響が少ない、所得減に備え非流動資産を持つ<o:p></o:p>

・資産があっても、クレジットカードなどの負債がある、ペイデイローンの自滅行動→最近の偽装質屋ローンや年金受給ローンはこれに近い、貯蓄がないと目前に走らざるを得ない現実がある<o:p></o:p>

・太っている人は双曲的、女性は太っていても「賢明」とあり、賢いと思っているのかも知れない(図5-9<o:p></o:p>

・自制はコミットメント<o:p></o:p>

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なんともためになる、お奨めです。なお、実際の金融では短期は金利が低い、長期は金利が高い(時間の不確定性による)ため、双曲割引との乖離は短期にはさらに上がり、長期はさらに低くなり、大きくなります。(短期で高い金利は不合理だが、これが双曲割引の不思議だろう)<o:p></o:p>

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 双曲割引と信用(担保)の見地も欲しい<o:p></o:p>

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コメント
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