都市と楽しみ

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デパートを考える:多様性と規模の経済は両立しなくなった、ハルカスの事例と企画・設計の課題

2014-09-24 05:26:07 | マクロ経済
 Economy of Scale (規模の経済)、 Economy of Scope (多様性の経済:顧客に合わせた品ぞろえ)の両方を併せ持ったのが色々な部門(depart)を一つの施設集めたお店がデパート(Department Store)の位置付けだった。

 最近、日本最大規模のハルカス近鉄百貨店本店を見ているとデパートと専門店で3万坪あるが、品ぞろえと規模が両立していない。

マクロの観点から見ると、目的性と専門性の高い専門個店及び品物が安く大量にあるSPAのユニクロに二分されトレード・オフの状況だ。規模の経済として幅広い(顧客のセグメント対応)による品ぞろえと建物規模に加え多様性の経済と、多様性の経済としてそれぞれの業種と専門性の両立は失われたのではないか。更に多店舗の規模の経済による仕入れ価格の低減、優先的な調達も優位性が見られないのではないだろうか。つまりは、時代がデパートの規模と多様性の両立を否定し、トレード・オフに変わったのだ。

 マイクロの観点からハルカスの問題点は、「広すぎて、段差もあり、分かれてもおり 歩くにも通路と品ぞろえが分かりにくい」との評判があるようだ。規模が大きくなりすぎて規模の不経済が発生している。さらに、建築的に見ると、タワー館とウイング館は別の棟をブリッジでつないだようなもので(一部連続のフロアもある)首をかしげる設計だ。しかもタワー棟はオフィス、ホテル、展望台の動線が複雑で、タワー館とウイング館の間のエレベーターも停止階がパズルだ。
複合施設(縦型MXD)のハルカスは第二の志摩スペイン村との懸念( http://biz-journal.jp/2014/07/post_5281_2.html )もある。

 規模が大きいなら明快なフロア構成が不可欠だ。今からでも分かり易い単純なフロアにリニューアルし、分かり難いタワー館とウイング館の間は両館の連続性が分かるサインと店舗の再配置をするのが良い。アメニティ・ゾーンとして中途半端な現状の利用は分断を招く。この点、阪急百貨店梅田本店はかつての馬蹄形の売場が一体化し広々として解決されている。

ターゲット別の独立として、メンズ館がナビオになったのもめんどくさがりのオジサンには好適だ、この売場のオジサンへのコンサル能力は高くブランドの横並びも使い易い。ターゲット分けの分棟は有効な場合があるという事例だ。ちなみに、ハイティーンからの109も、おじさん、おばさんからの独立を好む。

 せっかくの規模も品ぞろえも、時代としてSPAに追いかけられ、更に課題ある設計で足を引っ張られている。企画と設計に難があるとしか言いようがない。
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