謎のアジア納豆(高野秀行)も面白かったが、この著作も良い。
中国雲南省の縦の茶発酵の道と、ミャンマーからインドまでのヒマラヤ縦断道とミャンマー横断道の2種類の旅行記だ。
知見は:
雲南省の縦
・菌は適者生存、川を越えると変わる
・日本酒は麹菌で糖化、酵母がアルコール化という「バトンリレー」方式、ビールは麦の発芽時の自己分解作用
・白酒の裸麦は種麹(クモノスカビ)を直接に入れて発酵、蒸留
・ナシ族は商売上手、雲南の麗江( https://blog.goo.ne.jp/n7yohshima/s/%E9%BA%97%E6%B1%9F )など観光開発、平野部を押さえ貿易拠点化、1992年の鄧小平「南巡講話」から発展、「民族文化のテーマパーク化」に、都市化は漢民族の昆明(クンミン)のみ
・トンパ味醂が麗江にある34度ときつい
・ダーリーの藍染:阿波のすくも、石灰石による色素遊離で携帯可能な商品作物化(染料としての生産産業)。ペー族はいきなり石灰に入れる1段構えの発酵のため地場藍染
・茶の種類
①非発酵茶:熱・乾燥・摩擦の物理的作用:緑茶
②茶自体の酸化酵素利用:青茶:ウーロン、紅茶、白茶
③カビや乳酸菌など後発酵:黒茶:プーアル茶
・黒茶はかけ流し、一杯目は捨てる、「泡茶」
ヒマラヤ縦断道とミャンマー横断道
・集落の孤立と物の交輸のできない平野部と海岸沿いに独自な発酵がある:保存食が山間に、伝播した先に土地の特性に合わせたバリエーション、「隔てられているが、集まっている」集落がねらい目:大きな川沿い、星団のような島嶼部
・インド亜大陸にはアニミズムのヴェーダが根本にある。ヒンドゥー教は遊牧系アーリア人に先住民族の農耕系ドラヴィダ人の文化:創造神ブラフマー:「肉と乳」と「豆と野菜」に分かれる、バラモン教とカースト制度、これに対抗がカースト否定の仏教
・ネパールのパタンにあるグンドゥルックは日本のすんき漬け( https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/sunki_zuke_nagano.html )そっくり
・麹は
①麦を練る
②豉:大豆にカビ
③蘖(よねのもやし):米とカビ→糀の祖先
・パタンのリンブー族のダルバートは発酵食品で構成、納豆カレー
・インド コルカタのマニプルでのナニは魚だけで作る魚醤(インドの滋賀:鮒ずし)
・コルカタが糀の元祖らしい
面白くためになる