政府の「認知症施策推進のための有識者会議」で構成員を務めた山口晴保氏(認知症介護研究・研修東京センター・センター長)へのインタビューVol. 3(最終回)。日本だけでなく、多くの先進国で認知症の国家戦略の策定が進んでいる。最近ではLancetや世界保健機関(WHO)が認知症の予防やリスク低減に関する提言や指針を発表するなど、認知症の「予防」の機運は世界的な潮流になりつつある。山口氏に認知症「予防」の現時点の正確な定義とエビデンスの考え方などを聞いた。(聞き手・まとめ:m3.com編集部・坂口恵/2019年7月取材、全3回連載)
本当の認知症予防(発症防止)は、アミロイドβ蛋白含有食品やワクチン
――医療者には「認知症の予防はできない」という見方も結構多いと思うのですが、いかがですか。
「予防」には大きく分けて2種類の考え方があります。皆さんが最初にイメージする、認知症にならないための予防策としては、ワクチンのような方法を開発できれば可能です。実際には、大豆にアミロイドβ蛋白のDNAを組み込んでその大豆を食べることで脳へのβアミロイド蓄積が防げるというコンセプトは、現在、動物実験も進んでいますし、理論上は実現可能と考えています。しかし、もう一方の生活習慣に関わる認知症予防というのは基本的に「先送り」しかできないですよね。
――心血管疾患やがんと同じように、一次予防や二次予防の考え方が適用できるということですね。
「発症しないための予防法」はまだないのですが、発症を遅らせるという予防法は、エビデンスは不十分ですが、存在します。認知症も老化によって生じます。老化を止めることはできません。でも、認知症になってからも、例えば運動を続けている方が、進行が遅くなります。発症してからも受け入れて楽しく生きていく「障害受容」の考え方も非常に重要です。
エビデンスレベルと推奨のギャップを理解する
――2017年にはLancetで認知症の予防(prevention)に関する特集が組まれ(同年7月19日電子版)、2019年にはWHOが認知症のリスク減少(risk reduction)に関するガイドラインを発表しました。認知症の発症や進行を遅らせる戦略への世界的な潮流が整ってきたと言えるのでしょうか。
Lancetの論文は、先送りよりも「発症防止」が強調された内容で、「認知症の30%は発症防止可能」と主張しています(図)。ただ、この総説で提唱されている予防策は「期間限定」の効果と考えています。なぜかというと、ここで取り上げられている研究の多くは、長くて10年くらいの追跡期間です。ヒトの一生を見ているわけではないので、そういう解釈の注意は必要と思っています。WHOのガイドラインは、例えば運動については、認知機能が低下していない段階でのリスク減少のエビデンスレベルは中等度(moderate)だけれども、推奨レベルは強ですよね。軽度認知障害(MCI)の方には条件付きの推奨で、個人的には「控えめだけれども、現時点では妥当かな」と考えています。
図. 認知症と予防可能な危険因子の寄与
(内閣府「認知症施策推進のための有識者会議(第2回))
認知症「先送り」のエビデンス確立が難しい要因
――先生は2008年の著書『認知症予防─読めば納得! 脳を守るライフスタイルの秘訣』(「関連リンク」を参照)で既に、LancetやWHOのガイドラインにも取り上げられているような、認知症を遅らせるために有用性が期待できる方法を国内外の文献を多く引きながら解説されています。認知症の発症を遅らせるためのエビデンスの確立が難しい要因をどう考えますか。
いろいろな要因がありますが、認知症の検査を受けたくない人が一定数います。だから、臨床研究には非常に元気な高齢者が参加してきます。「この人、今以上に運動が必要だろうか」という意識の高い方がさらに運動して良い効果があるかどうか、というようなレベルの研究といってよいでしょう。
また、コホート研究は少なくとも5年、10年追跡しないと成果が出せません。「10年で何人が認知症を発症してくるか」を見るような研究ですから、時間がかかります。それをごく短期間で検討できるのが、トランスジェニックマウスを用いた動物実験です。もちろん、臨床での再現性の限界はありますが、動物実験は、人間だったら90年かかる研究を1-2年でできる長所があります。
現在のエビデンスを適切に活用する
――動物実験や臨床研究の途上にある知見と臨床応用のギャップを埋めるためには、先生の著書やWHOのガイドラインのような「エビデンスレベルは弱いけれども、運動療法を強く推奨する」という専門家による情報発信も大事ということですね。
自著では認知症や認知機能に関連した研究論文を多く引用したのですが、疫学研究で効果が実証されていて、かつ動物実験でも裏付けがある、そして、倫理的に問題がないと判断できれば採用するというスタンスで書きました。
今は、エビデンスレベルが最も高いものは質の高い研究を集めたメタ解析とされていますよね。運動に関しては多くの論文があり、メタ解析も行われていますが、WHOの認知症リスク低減ガイドラインでは運動のエビデンスレベルは、それでもまだ“moderate”です。運動が健康に良いことは、そもそも江戸時代の『養生訓』で蹴鞠が推奨されているくらい、昔から分かっていることです。その頃は、もちろんエビデンスの概念はなかったわけですが。
エビデンスが確実になるのを待っていたら、キリがありません。だから、本を書いた。自著は多くの論文に基づく「私(専門家)の意見」なので、エビデンスレベルは一番低いことに注意が必要です(笑)。ただ、認知症の発症や進行を遅らせることに関心のある先生にはぜひ読んでいただきたい。
今は日本でも、より大規模な住民コホート研究が進み始めていますから、これまであまり研究されてこなかった和食や納豆などの発酵食品の認知症に対する影響などが、明らかになることを期待してい
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● したがって治療は、ウイルスやアスベスト、重金属等を排泄する
デットックス治療と、細胞を元気にする必須栄養素の投与です。
● 体に良い食べ物は、基本的にすべてデトックス作用があるといえます。
❶ コリアンダー=パクチー摂取。
❷ その他。ウコン,生姜、適量の赤ワイン、黄耆、果物、ETC.
❸ 現代人に欠乏気味の栄養素は、VD3,タウリン、EPA/DHAです。
● 上記の❸からわかる事は、魚介類や動物性たんぱく質が足りないことを
意味します。
● 又人類が長いこと食生活を美味しくする歴史に、同時に健康食が
隠されているという事です。それが❶と❷にみられます。
● 自閉症は小児の認知症です=言い換えれば、病態は同じですので
治療も同じという事です。従って❸をたっぷり含んだ高価な赤ん坊用の
粉ミルクは一つの答えになります。