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そもそも韓国の体制は疑似資本主義、真の姿は資本家(資本主義)に囲われた(戦国時代の)ヤクザ

2024年12月18日 09時01分34秒 | 朝鮮半島
なぜ韓国の大統領は「汚職→失脚」を繰り返すのか…日本では考えられない「縁故がモノを言う」腐敗の構造問題

韓国政治腐敗の構造的問題は「縁故資本主義」原因か 尹錫悦大統領も弾劾訴追案が可決

 

なぜ韓国の大統領は「汚職→失脚」を繰り返すのか…日本では考えられない「縁故がモノを言う」腐敗の構造問題

なぜ韓国の大統領は「汚職→失脚」を繰り返すのか…日本では考えられない「縁故がモノを言う」腐敗の構造問題

韓国の尹錫悦大統領に抗議するため、ソウルの国会周辺に集まった大勢の人たち=2024年12月6日 - 写真=ゲッティ/共同通信社

■「戒厳令」の背景に大統領婦人への疑惑

12月14日、韓国尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が国会で可決され、大統領は職務停止となった。3日夜には突如として“非常戒厳(いわゆる戒厳令)”を宣言した。今回の宣言は44年ぶりで、1987年の民主化以降で初めてだ。

急遽設置された戒厳司令部は、一切の政治活動を禁じメディアも統制した。それに違反した場合、令状なしに逮捕・捜索を行う旨も発表した。武装した兵士が国会に突入した様子も流れた。一時、韓国全土が混乱に巻き込まれ、国民の多くが宣言に反発するスタンスを示し、ソウルの国会付近には10万人を超える民衆が抗議のために集まった。尹大統領は反対の圧力に抗しきれず、4日未明、非常戒厳体制は解除された。

今回の非常戒厳の背景には、大統領の夫人である金建希(キム・ゴンヒ)氏に関して数々の疑惑が浮上したことがあったとみられる。最大野党の“共に民主党”に加えて、与党“国民の力”の内部からも夫人の調査を求める声が上がっていた。尹大統領の側近も、同氏から離反する動きが顕在化したようだ。大統領としては、そうした状況を逆転させようと窮余の一策を打ったのだろう。

■「切迫感があった」自身も認めた政権への逆風

ただ、大統領の最後の賭けは見事に失敗し、野党から弾劾訴追を突き付けられることになった。7日、与党の多くの議員が投票せず大統領の弾劾訴追案は不成立となったが、韓国の政治、経済、安全保障体制の不安定化は避けられない。今後、北朝鮮をめぐる情勢にも変化が出るようだと、極東情勢の緊迫感は上昇し世界経済の先行きにもマイナスの影響が及ぶことは避けられないだろう。

7日、大統領談話の中で尹氏は、国政の最終責任者である大統領としての“切迫感”が宣布の理由だと認めた。大統領に切迫感を募らせた要因はいくつか考えられる。

まず、何といっても大統領の支持率が低下した。2022年5月の大統領就任直後、尹氏の支持率は高かった。発足から2カ月ほど経過すると、不支持が支持率を上回るようになった。2023年5月の支持率は30%台の前半、不支持率は60%程度だった。2024年4月の総選挙で尹氏が所属する国民の力は敗北し、支持率は20%を下回った。11月下旬の支持率は19%だった。

■夫人経由で政治ブローカーが国政に介入?

尹氏の検察時代の部下で、側近中の側近といわれた韓東勲(ハン・ドンフン)氏(国民の力の代表)は、大統領夫人の活動中止を求めるなど尹氏を批判した。尹氏は、信頼していた韓氏に裏切られた格好だ。それに加えて、尹氏の最大のライバルである、野党“共に民主党”の李在明(イ・ジェミョン)党首なども尹氏への批判を強めた。尹氏にとって、政権を維持することが難しくなりつつあった。

もう一つ無視できないのは、金建希夫人のスキャンダル噴出だ。直近では、金夫人にミョン・テギュン氏という質の悪い政治ブローカーがついて、金銭の贈賄などがあったとの観測が高まった。夫人が政治ブローカーを使って、国政に介入していたとの疑惑が浮上し、大統領支持率低下は鮮明化した。

一部の報道では、尹氏がミョン氏から世論調査の結果を受領し、選挙の公認作業介入を許した疑いもあるようだ。大統領当選直後、尹氏がミョン氏から連絡を受けたとの報道もあった。

■夫人一族へ経済的便宜を図った疑いも

これらの要素が重なり、尹氏は窮地に追い込まれた。そうした状況の逆転を狙い、3日夜に尹大統領は突如、非常戒厳を発表した。洪壮源(ホン・チャンウォン)国家情報院第1次長は非常戒厳の発表直後、大統領が「この機会にすべて捕まえて整理せよ」と指示し韓東勲氏、李在明氏ら主要政治家12人ほどの拘束を試みたと明らかにした。野党党首のスキャンダルを暴く目的もあったといわれている。

金夫人については、政治ブローカーとの癒着以外にも疑惑がある。株価操作、賄賂授受、高速道路の建設路線変更による金銭取得などだ。高速道路建設に関しては、尹政権が当初の計画と異なる終着点を設定したことが疑惑の発端になったという。新たな終着点の周辺に、金夫人の母親である崔殷淳(チェ・ウンソン)氏ら親族が保有する土地の存在が明らかになった。大統領が夫人の一族に経済的便宜を図ったとの批判は増えた。

■過去には盧武鉉氏、朴槿恵氏も…

韓国の大統領あるいはその親族が関与した、スキャンダル事例は以前から見られた。最近のケースだと、朴槿恵(パク・クネ)元大統領は崔順実(チェ・スンシル)という知人女性を国政に関与させた。財閥系大手企業の創業家一族は、政権に近づこうとして崔順実氏の娘に経済的な便宜を図った。

崔順実氏は祈祷師の娘であり、政治、経済などの専門家ではなかった。大統領が一市民を優遇していたことに世論は怒り、大規模な“ろうそくデモ”が起きた。2016年、朴大統領(当時)は弾劾訴追された。崔順実氏は懲役18年が確定した。

革新派の大統領だった、故・盧武鉉(ノ・ムヒョン)氏もスキャンダルにまみれたといわれている。盧氏とその側近の政治資金の隠蔽などが問題視された。2004年3月、盧氏は弾劾訴追を決議されたが、最終的には弾劾には該当せずとの裁定が下り大統領職に復帰した。

■韓国には「縁故資本主義」が根付いている?

他の歴代政権でも、企業との癒着、政治ブローカーと呼ばれる有力な仲介者の存在などが明らかになった。韓国では政権が変わると、過去の違法な金銭授受などが発覚し、大統領経験者やその親族、財閥企業の創業家出身者などが有罪判決を受けた。

韓国では、新興国や途上国でよくみられる“縁故資本主義(クローニー・キャピタリズム)”が常態化していたのかもしれない。縁故資本主義では、市場原理ではなく、血縁や個人的つながりに基づいて便宜を図り、特定の企業や個人に富や権力が偏在する傾向にある。その状況が続くと、国民の間で不公平が発生し経済格差は拡大する。

また、最近の韓国経済が低迷気味であることもマイナス要因だろう。若年層の失業質は高い。少子高齢化も加速度的に進んでいる。中国経済の減速によって輸出の回復も緩慢だ。それらも、尹政権に対する批判・不満の増大要因となった。

■金正恩総書記とプーチン大統領を喜ばせた

今回の非常戒厳と大統領の職務停止に伴う混乱で、当面、わが国や米国が韓国の指導者と冷静に議論を交わすことは難しくなった。今後、韓国の政治的混乱は一定期間続き、社会、経済、安全保障の不安定感、先行き不透明感は高まるだろう。それは、極東情勢、および世界経済に重要な影響を与える。

歴史的に朝鮮半島は米国、ロシア、中国など大国の利害が衝突する地政学の要衝だ。その重要地域で政治的混乱が起きたわけだから、その波紋がさまざまなところに波及することは避けられない。この混乱を見て、北朝鮮の金正恩総書記とロシアのプーチン大統領は内心安心する部分がありそうだ。

韓国と日米の経済安全保障の連携が乱れれば、北朝鮮は水面下で外貨の獲得やエネルギー資源調達を行いやすくなる。日米韓の足並みの乱れを突くようにして、北朝鮮がロシアに軍事物資や兵員の供与を増やし、ロシアがウクライナ戦争での戦線を優位に展開する可能性もある。米国のトランプ次期大統領は、ウクライナ戦争の早期終結を重視している。ロシアがこの機をいかして攻勢を強めることも想定される。

■日本経済もタダではすまない

北朝鮮が、経済制裁の解除を狙って軍事挑発を増やす可能性もあるかもしれない。米国を射程に入れた、大陸間弾道ミサイルの発射実験を繰り返すようなことになると、米国の世論は北朝鮮を批判し、朝鮮半島情勢の緊迫感はさらに高まることも懸念される。

そうした変化が現実になると、主要投資家はリスク回避を優先する。割高感のある株式に調整圧力がかかる可能性もある。外国為替市場でも波乱があるかもしれない。為替市場が大きく変動すると、わが国企業の業績不安が高まることも懸念される。

さらに、韓国の政治混乱は極東地域の不安定感を高め、世界経済の下方リスク上昇につながることも想定される。そうしたリスクを抑えるには、韓国が、縁故を重視した商慣習、経済運営から脱却することが必要だ。ただ、それには時間がかかるだろう。今回の尹大統領の非常戒厳発表は、改めて韓国が抱える問題の深刻さを明らかにしたといえるだろう。


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真壁 昭夫(まかべ・あきお)
多摩大学特別招聘教授
1953年神奈川県生まれ。一橋大学商学部卒業後、第一勧業銀行(現みずほ銀行)入行。ロンドン大学経営学部大学院卒業後、メリル・リンチ社ニューヨーク本社出向。みずほ総研主席研究員、信州大学経済学部教授、法政大学院教授などを経て、2022年から現職。
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