フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月7日(土) 晴れ

2009-11-08 01:22:34 | Weblog
  大学は今日と明日が学園祭。もちろん授業はないのだが、学生の面談と「社会学年誌」の編集委員会があるので、昼から大学へ。学生のときも教員になってからも自分の大学の学園祭をちゃんと見物したことがない。あの人混みが苦手なのだ。
  これまでの人生で学園祭を唯一楽しんだのは、中学1年生のとき、親友のYのお姉さんの女子高の学園祭を見物したときである。中学1年生の目から見ると、女子高のお姉さんたちはずいぶんと大人っぽく見えた。私は姉がいなかったので、「お姉さん」、とりわけ「きれいなお姉さん」というものに対する憧れがあった。文芸部の展示室に入ると、私もYも中学1年生にしては大人びた顔をしていたので、彼女たちはわれわれのことを同じ高校生だと思ったようで、「どちらの高校ですか?」と聞かれて、「僕たち中学生なんです」と答えると、驚いたような顔をして、「3年生?」「いえ」「2年生?」「いえ」「うそ、1年生!」「はい」「うわー」、それからは「年下の男の子」として扱われたが、壁に貼られた作家の写真を見て作家の名前を答えるというクイズにチャレンジして、私が全問正解まであと1問というところまで行くと、「驚いたわ。じゃあ最後はとびきりの難問よ」といって、西洋の若い女性作家の写真を指差した。私は少しはにかんだような素振りをして「フランソワーズ・サガン」と答えた。彼女たちは信じられないという表情で顔を見合わせ「すごーい!」と言った。私が年上の女性から「すごーい!」と言われたのは後にも先にもそのときだけである。