8時半、起床。ハムトースト、ブロッコリー、紅茶の朝食。午前中はあれこれの雑用を片付け、昼に家を出る。
3限は講義「ライフストーリーの社会学」。昼休みの時間に文芸ジャーナリズム論系のオリエンテーションがあって、時間ギリギリまでやっていたようで、学生たちがたくさん教室の外の廊下で待っていた。われわれ現代人間論系は来週の火曜日にやるが、12時55分には終るようにしよう。
4限は、ミルクホールで購入した調理パンを食べながら、本日夕刻、アルカディア市ヶ谷(旧私学会館)で開かれる、中学生作文コンクールの表彰式で述べる講評の原稿を書く。4時過ぎに研究室を出て、30分ほどで会場に着く。表彰式は5時開始なので、それまで控え室で原稿の最終チェックをしようとしたら、なんと、プリントアウトした原稿を研究室に忘れてきたことに気づく。やれやれ。不幸中の幸いだったのは、さきほどまで書いていた原稿だから、頭の中に内容は残っていたこと。その要点を簡単にメモ書きして、表彰式に臨んだ。式は式次第にそって粛々と進み、えらい方々の祝辞がひとわたり終ったところで、私の出番となった。
「早稲田大学の大久保と申します。2年に一度、講評の役目をおおせつかっておりますが、本日は、少々緊張しております。理由は二つあり、1つは、今回の受賞者のみさなんのお名前には難しい読み方のものが多いこと。千奈(せんな)さん、香葉(かえで)さん、奏美(かなみ)さん、和(のどか)さん、知和(さとの)さん・・・、う~ん、どれも難しい。啓太君や正基君にはホッとします。もし講評の中でお名前を読み間違えたらごめんなさい。もう1つは、原稿を忘れてきてしまったこと。きちんとした原稿を準備したのですが、鞄に入れてくるのを忘れてしまいました。ですので、半分は原稿の内容を思い出しながら、半分はアドリブでお話することになります。1つの作品について1分ほどで、受賞8作品の講評を述べたいと思いますが、アドリブが入ると長くなりがちなので、そのときは指をくるくるして(「巻きで」と)教えてください。では、講評に入ります。まず、文部科学大臣奨励賞の宗田千奈さん「空からの愛」・・・」
思ったとおり、予定の時間(10分間)を5分ほどオーバーして(誰も注意してくれなかった)、講評は終了。他の委員から、「原稿を準備したって、嘘でしょ」と言われる。本当ですから、信じてくださいよ。ああ、緊張した。
アドリブ部分が一番多くなったのが、生命保険文化センター賞の下堂前奏美さん「だから私は名前を書いた」の講評。タイトルが秀逸である。作文の内容は、彼女が15歳になって、生命保険の署名欄にサインをするように求められたことから、あれこれ生命保険について調べてみて、自覚をもって、サインをしたという話なのだが、私は目の前にいる彼女に尋ねた。「このタイトルは自分で考えたの?」彼女は「はい」と答えた。「もしかしてチェリッシュっていう歌手、男女2人組みを知っている?」彼女は「いいえ」と答えた。チェリッシュというのは「てんとう虫のサンバ」でおなじみの、年配の人ならみんな知っているグループである(女性の方はエッちゃんといった)。そのチェリッシュに「だからわたしは北国へ」という曲がある。恋の戦争(!)に敗れた女性が北国へ傷心の旅に出るという内容で、「なのにあなたは京都へゆくの」という曲へのアンサーソングである。そうか、知らないのか(1972年の曲だから無理もないが)。だとしたら独力で「だから私は名前を書いた」というタイトルを思いついた彼女は大したものである。「だからわたしたちはあなたに賞をさしあげた」とオチをつけることができた。
表彰式後のパーティーは8時でお開きとなり、帰宅したのは9時。メールのチェックをしたら至急に対応しないとならない用件がいくつかあり、その処理をすませてから、風呂を浴び、「不毛地帯」(録画)の第6話を観る。展開がはやい。通常のTVドラマとは違い、半年続くのだが、このペースで続けていて大丈夫なのだろうか。