8時半、起床。目玉焼き、トースト、牛乳の朝食。大学の事務所に出向かなくてはならないかもしれない用件があったのだが、電話とメールであっさり片付いたので、やれやれという気分で、子雀に餌をやり、フィールドノートの更新。陽射しが暖かい。
午後、散歩に出る。まず、「鈴文」で昼食をとる。とんかつ定食(1300円)。最近はランチタイムであっても、ランチのとんかつ定食(950円)ではなく、こっちを注文することが多い。「鈴文」一押しのメニューである。塩で2切れ、醤油で1切れ、とんかつソースと辛子で3切れ、どれで食べても美味い。通常であれば喫茶店で食後の珈琲を飲むところだが、今日は「鈴文」を出てすぐに電車に乗って、恵比寿の東京都写真美術館でやっているコレクション展「旅」第三部「異郷へ」を見物に行く。
展示室へ行く前にロビーの売店をのぞいていたら、「大久保先生ですよね」と声をかけられる。社会学専修の卒業生のY君だった。調査実習報告書『そして彼らは30代の半ばになった』(2004年3月)のときのメンバーの一人で、卒業して4年目になる。「いま、どうしてるの?」と聞いたら、同じ就職先(東販)でやっているそうだ。けっこう転職をしている卒業生が多いので、なんだか「へぇ」という気分になる。頭が切れ、人柄もよく、おまけにハンサムという、三拍子揃った学生だった。たまにいるんですね、Y君みたいな学生が。今日はセバスチャン・サルガド「アフリカ」展を観に来たのだという。連れの女性がいるようだったので、話は早々に切り上げて、「じゃあ、また」「今度、研究室にうかがいます」と言葉を交わして別れた。
「異郷へ」は日本の写真家たちが外国で撮った作品で構成されている。安本江陽や木村伊兵衛の撮ったパリの写真、名取洋之助や三木淳や林忠彦の撮ったアメリカの写真がとくに印象深かった。非日常(旅)の中にある日常を撮った写真にとくに惹かれるものがある。そして、いつもそうなのだが、いい写真展を見物すると、自分もそういう写真が撮れそうな気分になる。スポーツや音楽やバレエとかでは、そういうことはありえないのに、写真のときだけそういう気分になるのは、どういう錯覚のメカニズムが働くのであろう。