7時半、起床。9月を迎えるたびに心に浮かぶ詩がある。中学生のときに出会って以来だから、これまで何度思い出したかわからない。
九月の言葉
堀口大学
九月、明るい夏のおわり。九月、しとやかな秋のはじめ。
九月、楽しい休暇のはて。九月、新しい学期のはじめ。
九月、季節の移り変わり。九月、移り変わりの季節。
九月、閉ざされた別荘の窓。九月、色あせた海水着の縞目。
九月、遊びすごした天使。九月、あなうらを焼かない砂浜。
九月、もう一度ふりかえる地平線――今日は舟さえ出ていない。
九月、はしりの秋風。九月、満ち足りた頼りなさ。
九月、のびすぎた芝生。九月、うごかないぶらんこ。
九月、潮風の膚じとり。九月、都心へのノスタルジイ。
九月、避暑地の友情のおわり。九月、また一つ思い出の数。
九月、九月、九月、日焼けの手足の後始末……。
肉じゃが、大根の味噌汁、ご飯、冷麦茶の朝食
午後から大学へ。地下鉄の駅を上がると、熱が街を包んでいるのを感じる。キャンパスまでの路上の照り返しの暑いこと、暑いこと。蒲田よりも早稲田の方が明らかに暑い。馬場下のあたりは坂道の底になっているから熱が停留しているのだろうか。
夏休み中も大学に来ている岡部先生の研究室に顔を出してしばし雑談。それから事務所にちょっと顔を出してから、自分の研究室へ。3時に卒業生のMさんがやってきて1時間半ほど面談。彼女が最近書き始めた小説の感想を述べたり、身の上相談みたいな話をしたり・・・。話が一段落したところで、私もMさんも昼食をとっていなかったので「maruharu」へ行く。私は野菜のサンドウィッチとミネストローネスープ、Mさんはドライカレーのサンドウィッチとフレッシュピーチティーを注文。あとから私だけフルーツ杏仁を追加注文。「9月に入って客足は戻ってきましたか」と聞いたら、マダムは笑いながら、「昨日も今日も暇です」と言った。
Mさんとは馬場下の交差点で別れ、研究室にもう一度戻る。あゆみ書房で、森絵都のデビュー作『リズム』(角川文庫)を購入。帰りの電車の中で読み、蒲田に着いてから、「緑のコーヒー豆」に寄って、もう少しだけ続きを読んだ。講談社文学新人賞と椋鳩十児童文学賞を受賞した1991年の作品だが、うまさという点では『カラフル』(1998年)の方が上である。