フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

9月15日(木) 曇り

2016-09-16 02:21:49 | Weblog

9時、起床。

一階の雨戸を開けると、百日紅(サルスベリ)の花が露に濡れている。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日は妻が自宅で講習会の日だ。生徒さんたちが自転車に乗ってやってくる。

私は昼食をとりに出る。

まだまだ蒸し暑さは残っている。

「カフェドコバ」に入る。海老ドリアを注文すると、最初にコーヒーが出てくる。「コーヒーはいつお持ちしますか?」とは聞かれない。

海老ドリアとサラダは同じ皿にのって運ばれてくるのだが、私はそのままでは食べず、サラダの皿をテーブルに置き、ドリアの器を皿の中央にもってくる。そうしないと食べているときにカタカタして落ち着かないのだ。

食後、2杯目のコーヒーがカップに注がれる(無料)。これがあるので、「コーヒーはいつお持ちしますか?」と聞かれないのだと思う。でも、食後にコーヒーを2杯飲みたい客もいるのではないだろうか。私がそうだから。

「カフェドコバ」を出て、床屋に行く。秋学期が近づいて来たからということもあるが、明後日、道場さんの葬儀に行くことにしたからである。

散髪を終えて、駅ビルに買い物に行く。 

「有隣堂」で書籍を購入。

キネマ旬報増刊『大人のシネマ・ライフ』。表紙を飾るのはイングリッド・バーグマンだ。

この秋は映画館で映画を観よう。余暇を過ごす場所はC+G+somewhere。Cはカフェ、Gはジム。四季を通じて変わらない定数項であるが、季節によって変化する変数(somewhere)がある。この秋は映画館だ。

橘玲『知的幸福の技術-自由な人生のための40の物語』(幻冬舎文庫)。2004年に『雨の降る日曜は幸福について考えよう』という植草甚一風のタイトルで出た本の文庫版だ(データは更新され、状況の変化は注釈で補っている)。切れのいい文体である。

「サラリーマンの人生は定期預金に似ている。自分の労働力を会社に投資すると、毎月定期的に給料という名の利息が支払われ、満期を迎えると退職金として元金が払い戻される。定期預金でもっとも重要なのは信用と安全だ。万が一銀行が破綻してしまえば利払いは停止し、元金すら返ってはこない。/それに対して、自営業者や個人事業主、会社経営者の人生は株式投資に似ている。彼らには事業の利益がそのまま分配されるが、赤字になれば配当は停止し、会社が倒産すれば株式が紙屑になるばかりか、経営に関与していれば債権者への責任を問われる。こちらはハイリスク・ハイリターンだ。/定期預金型の人生と、株式投資型の人生のどちらが有利かは一概に言えない。だがバブル崩壊後、日本企業の労使関係を支えていた終身雇用制が音を立てて崩壊し、盤石と思われていた「一流」企業にリストラや経営破綻の嵐が吹き荒れ、サラリーマンの定期預金型人生は大きく揺らいだ。・・・(中略)・・・日本人の人生設計の基本型は、三十代でマイホームを購入し、定年までに住宅ローンを完済し、退職金と年金を原資に悠々自適の老後を送るというものだった。ほとんどの経済問題は、マイホームの含み益によって解決することができた。だがこの十数年で、すべての前提が忽然と消滅してしまったのである。こうして多くの日本人が、人生設計の再構築を迫られることになった。・・・(中略)・・・億万長者になって王侯貴族のような生活を送ることが誰にでもできるわけではない。だが幸いなことに、日本はいまでも世界でもっとも豊かな国の一つであり、この国に生れた幸運を活かせば、自分と家族のささやかな幸福を実現することは、それほど難しくはない。必要なのはほんの少しの努力と工夫、自らの人生を自らの手で設計する基礎的な知識と技術だ。」(8-10頁)

『雨の降る日曜は幸福について考えよう』が出た2004年から12年が経過した。たぶん著者は「この国の仕組みはほどんど何も変わっていない」というだろう。たぶん「経済」(市場経済)の側面についてはそうだろうと思う。しかし、彼が「自分と家族のささやかな幸福」(人生設計の目的)というときの「家族」については無視できない変化が見られる。結婚して自分の家族をもつ人が減ってきたということである(生涯未婚率の上昇)。もちろん結婚しない人にも自分が生まれた家族があり、きょうだい数の減少の結果、老年の親との関係は以前よりも重要なものになっている。だから未婚・非婚の人にとっても「自分と家族のささやかな幸福」という命題は当てはまると言って言えなくもない。だが両者の幸福のイメージは大分違ったものであろう。

今日発表された国立社会保障・人口問題研究所による「第15回出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(2015年実施)の結果によれば、

「前回」というのは5年前(2010年)である。異性の交際相手をもたない未婚者の割合(男性7割、女性6割)は過去最高である。現在の結婚は恋愛結婚が圧倒的に主流であるから、恋愛結婚というものの見直し(それって本当にいいものなの?)がなされない限り、交際相手のいない者が結婚することは難しい。「恋せよ乙女(男子も)」は近代社会の要請であるが、結婚したいが交際相手がいない者がこれほど多いという現状を鑑みると、恋愛結婚一本槍は見直されるべきだろう。各種の見合い結婚システムが普及してしかるべきだろう。

夕食は鶏の唐揚げ葱ソース掛け。

今日、妻の自宅教室の生徒さんからいただいた猫の箸置きをさっそく使う。

2時半、就寝。