フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月5日(火) 曇り、一時小雨

2019-02-06 18:35:20 | Weblog

8時15分、起床。

ロールパン、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

昼前に家を出て、大学へ。今日は曇り日。 

節分までは穴八幡の参拝客でにぎわっていた馬場下の交差点だが、今日は閑散としている。鯛焼きも待たずに買える。 

研究室に着いて、鯛焼きを温かいうちに食べてから、今日が締め切りの担当科目の成績評価にとりかかる。 

 作業を終えたところに卒業生の恵美子さんがやってきた。9月の句会でお会いして以来だが、個人的には去年の4月以来である。この間、彼女の身辺には大きな変化があった。入籍と妊娠である。6月に知り合ってからのスピード婚である。挙式はされていないが、一昨日の日曜日に披露宴を行った。出産は7月初旬の予定である。今日お会いするに当たっては、披露宴の2日後でお疲れではないですかと確認したが、「お酒は飲んでいないので大丈夫です」とのことだった。

改めておめでとうございます(ダブルで)。

披露宴のときの写真を見せていただいたが、新郎はずいぶんと背の高い方である。184センチとのこと。一見日本人離れしたお顔立ちなので、確認したことろ、「オマーン代表のサッカー選手のようにも見えますが、純粋な日本人です」とのこと。オマーンか。そういえば、彼女が学生時代、「先生はトルコ人に似ていますね」と面と向かって言われ、戸惑ったことがあるが、いまにして思うと、あれは「先生は私の好みのタイプです」という意味だったのかもしれない(笑)。

研究室のドアの掛け軸「単純な生活」は彼女の筆によるものである。「お子さんが生まれると生活は単純ではなくなるね」と私が言うと、「単純な生活は先生のモットーで、私のモットーではありませんから」と言われる。あっ、そうか。そうだよね。彼女のモットーは何だろう。「ロックな日々」だろうか。 

 遅い昼食を「フロハン」で食べることにする。

食事クレープは売り切れとのことなので、豆カレーを注文。 

食後のドリンクはカフェオレ(デザートはここでは食べずに「カフェゴト―」でということにする)。 

 食後の散歩戸山公園。

戸山公園は彼女の自宅からは徒歩圏内なので、きっとお子さんが生まれてからはよく来る場所になることだろう。 

彼女のポートレイトを撮るのは久しぶりだが、 表情の作り方が独特である。

この不敵な笑みは大学を卒業したばかりの新人には作れません(笑)。 

ポートレイトの撮影中、彼女が一瞬、表情を崩したことがあった。

 

突然目の前に子犬が現れた時だった。

リリースされた子犬がわれわれの目の前を走り去って行った。か、かわいい。

 

しかし、次の瞬間には彼女は再びクールな表情に戻っていた。

ロックとアナーキーは違うんで。そこんところ、ヨロシク。

 米倉涼子か。

「カフェゴト―」でケーキとお茶にする。

挙式はいいかなと思った彼女だが、披露宴の準備には力を入れた。お仕着せのものではなく、手作り感のあるものにしたかった。 

 その様子は彼女のブログで→こちら

披露宴の中で、彼女が一番感動したのは、親友のあゆみさんのスピーチだった。あゆみさんは句会仲間でもある。あゆみさんもスピーチには全力で臨んだようである。

 その様子はあゆみさんおブログで→こちら

2人とはまた今月の句会でお会いしたいものである。とくにあゆみさんはご主人の仕事の都合で近々浜松の方へ引っ越される。これまでのように二月に一度の句会で顔を合わせるのは難しくなるだろう。恵美子さんも2月、4月の句会までは大丈夫だろうが、6月以降の句会は難しくなくかもしれない。でも、なんとかやりくりして、出産後も句会には参加いただきたいものである。

 「カフェゴト―」を出たのは5時。これから彼女は有楽町で仕事(書道の個人レッスン)がある。

私は日本橋へ。卒業生で日本画家の櫻井あすみさんの個展が今日から始まるのだ。昨日、リマインドのラインをいただいて、「明日の夕方にうかがいますね」とお返事したおいた。

 

小雨が降ってきた。

日本橋本町にある小さな一軒家のアトリエ「SPACE2*3」。

櫻井あすみ展「連続と断片」(2月5日~17日:月曜は休廊)。

一階の小さなスペースに小品が展示されている。彼女からのステートメント。

 気づけばいつもどこか似た景色を描いている
 気まぐれに選びとられたそれらは
 連なり続いていくものの断片にすぎない

 切り取れないものを、切り取ったのだ
 それは余白の向こうへと果てなく続いている
 交差するはずのなかった物語は呼応しあい
 新たなつながりを結んでいく

 だから私は今日も似たような景色を描いている 

確かに彼女の作品をこれまで見てきたものにとってはお馴染みの風景だ。それはある同じ幻想の街の異なる場所で描かれたもののように見える。隙間の多いジグソーパズルのようである。 

その幻想の街は、郷愁と不気味さをたたえている。  

たとえば、下の絵に描かれた自転車に乗った少年と男性は、父親(あるいは祖父)と子供(あるいは孫)のように見える。しかし、それはわれわれが無意識のうちにそれが自然だと思う見方をしているだけで、もしかしたら小さな子供の後を見知らぬ男が付けているのかもしれない(男の子は犯罪に巻き込まれる可能性がある)。

また、下の絵に描かれた少女たちは、仲よしグループのように見える。しかし、これもまたわれわれの常識的な感覚でそのように見えているだけで、もしかしたら一人の少女が不良グループに脅されている場面かもしれない。

おそらく櫻井あすみはそうしたアンビバレンスを意図して描いているわけでないだろう。むしろ彼女の内なる心象風景を幻想の街の風景として静謐に描いているのだろう。そこは彼女にとってのイノセントな場所、精神の奥底にある場所なのだと思う。 それが見る者にときに不安や不気味さを感じさせるとすれば、本来そこはそういう場所なのだというほかはない。

初日に来たのは気に入った作品があれば購入するためである。後日では売約済みになってしまう可能性がある。 

私は下の作品「a piece (a girl on a bycycle)」を購入した。

 「私もこの作品は気に入っています」という彼女の言葉が決め手になった。

これからも創作に励んでくださいね。 

7時半、帰宅。

夕食は焼きネギと鶏もも肉のおろし蒸し、サラダ、柚子大根、味噌汁、ご飯。 

これは初めての料理だ。鶏肉の下に隠れているが焼いた下仁田ネギが香ばしくトロトロで美味しい。 

 食後に恵美子さんからお土産にいただいた(私がリクエストしたのだが)日本橋「うさぎや」のどら焼き。

 「うさぎや」は上野と阿佐ヶ谷にもある。ルーツは同じだが、経営は独立である。いずれも美味しいが、私は日本橋のものを一番よく食べている。

 3時、就寝。