フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

2月16日(金) 晴れ

2024-02-17 12:19:21 | Weblog

8時、起床。

バタートースト、目玉焼き、ソーセージ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

本日の『ブギウギ』。「ジャングル・ブギ」だ。作詞は黒沢明。映画『酔いどれ天使』(1948年)の中で笠置木シズ子が「ジャンブル・ブキ」を歌うシーンが出てくる。

11時半に蒲田駅で卒業生のハユさん(論系ゼミ9期生)と待ち合わせ、「きりん珈琲」へ行く。彼女はここは初めて。駅からお店に電話して、席があることを確認してから行く。

二人ともきりんブレンドを注文する。信楽焼きのカップで運ばれてくる。「お客様の雰囲気に合わせてカップは選んでいます」とスタッフの方が言った。私も花柄のカップがよかったな・・・(笑)・

彼女は厚焼き玉子サンド。これを食べたくてここに来たのである。

嬉しそうである。

私はハンバーグドリア。

珈琲好きで、自宅でも毎日自分で豆を挽いて飲んでいるそうである。珈琲豆(きりんブレンド)の焙煎をお願いした。少し時間がかかるので、あとから受け取りにくることになった。

2軒目のカフェは「ティールーム101」で、「きりん珈琲」からは5分と離れていない。途中にある公園で時間調整。彼女が乗っているのは大田区の公式PRキャラ「はねぴょん」。「はね」は羽田の「はね」である。

陽射しが暖かい。コート―を脱いで身軽になって。

エレガントなポートレイトも撮りましょう。

「スリック」には何度か来ている彼女だが、「ティールーム101」は初めて。

トートバッグの柄は猫ちゃん。彼女は猫派のようである。名前は付いてるのと聞いたが、名前はないそうである。

シフォンケーキを決めてからマダムとケーキに合う紅茶を相談する。ハユさんはアールグレイ(ラッフルズホテル)、私はブリティシュ・ブランチ(スティーブンスミス)をチョイス。

紅茶の缶が並んだ壁の棚を眺めながら、「素敵なお店ですね。私もこんな部屋に住みたいです」と彼女は言った。棚には何を並べるのと尋ねたら、「好きな小物」と答えた。生活感がない部屋ですね(笑)。

ちなみにこれは我が家のリビングの壁です。妻の好みです(笑)。

シフォンケーキは私はWチョコレート(チョコレート生地+チョコチップス)。

彼女はキャラメルナッツ。

マダムに我々の写真を撮っていただく。

「きりん珈琲」に焙煎が終わった豆を受け取りに行く。

これで「きりんブレンド」の味を自宅で味わえますね。

梅屋敷商店街を通って「梅屋敷公園」へ向かう。活気のある商店街である。

梅屋敷という屋敷はすでにないが、その跡が梅園になっている。池上梅園に較べると小さな梅園だが、人が少ないのがいい。

白梅(ハユさんがスマホで撮影)。

紅梅(ハユさんがスマホで撮影)。

ポートレイトは私がデジカメで撮影。

早春の風に吹かれながら。

自撮りのツーショット。

京急梅屋敷駅から大森海岸駅へ移動。

そこから山王の「本の庭」まで20分ほど歩く。5時閉店のお店だが、4時20分に到着。

私は自家製レモネード、ハユさんは自家製ホットジンジャーエール。それと焼き菓子を3種類。

私たちが本日最後の客で、店主さんやスタッフさんとあれこれおしゃべりができたのはよかった。私たちが座ったテラスに面したテーブルはお昼時がいい日差しが入って、スタッフさんおすすめの場所である。ランチがないお店なのでお昼時は空いているのだそうだ。それは穴場ですね。そのうちスープランチくらい出そうかなと考えているそうである。

テラスでツーショットを撮っていただいた。

入口横のベンチでも撮ったいただいた。

貸切りみたいですね(笑)。彼女の表情もずいぶんと和らいでいる。

5時になった。お暇することにしましょう。

店主さんとスタッフさんに見送られて店を出る。お店のインスタ―をフォローしたので、これからはこまめにチェックしますね。スープランチが楽しみです。

JR大森駅のホームでハユさんと別れる。今日はたくさん歩きましたね。天気がよくてよかったです。次回のカフェ巡りは梅雨入り前にいたしましょう。

5時半、帰宅。

つい先日、新作の小説『また更に咲く』を送っていただいたばかりの澤田瞳子さんから、文芸雑誌『小説すばる』をお送りいただいた。

彼女が書いたエッセー「忘れ物をあつめに」が載っている。旅行記だ。

 「十四年前の春三月、人生初の長編小説を書き上げたばかりのわたしは、リュックにパソコンと本だけを突っ込んで、京都から東京に向かう夜行バスに飛び乗った。
 後に『孤鷹の天』というタイトルで刊行される長編小説は、奈良時代の平城京が舞台だった。「古代は人気がない」「売れない」、周囲からそう言われながら書き終えた原稿用紙千三百枚の物語は、わたしに山ほどの不安とひとつまみほどの自信をもたらしていた。東京を振り出しに東北地方を回ろうと始まった一人旅は、そんな様々を振り払うとともに、知らないものを見たいという衝動から計画したものだった。
 ただなにせ、特急や新幹線には到底手が出ぬ貧乏旅行。その行程は驚くほど遅々として進まなかった。
 加えて、京都生まれ京都育ちのわたしにとって、東京から東はまったく未踏の地だった。おかげであちこちで途中下車、こちらで立ち寄りと気ままにふらふらしてしまい、一週間がかりで栃木県・福島県を過ぎ、やっと米沢にたどりつく有様。これでは東北制覇には時間が足りない。しかなたく仙台から夜行バスで戻りながら、よし、また来年の春に仙台から先を旅しようと誓った。」

 しかし、その誓いは果たせなかった。翌年の春、つまり2011年の早春、東日本大震災が起こったからである。

 「日本中が自失するほどの悲しみと衝撃は、「次の旅」の約束をわたしから取り上げた。
 一方で東北への旅立ちの前に完成させた長編小説は、思いがけぬことにわたしを一人前の小説家として世に送り出してくれた。ありがたくもモノカキとして独り立ちをし、相次いで賞もいただいた。その間、「次の春」の約束を忘れたわけではない。むしろ中途半端なままの旅はしばしばわたしにつきまとい、さすらいに対するヒリヒリとした憧れを思い起こさせ、多忙な日々から足を踏みはずさせようとした。
 しかたなく帰った仙台と、ともしれば糸の切れた凧のように飛んでいきかねなかった衝動と葛藤だらけの十四年前に、心の一部を置いてきている気がした。仕事でしばしば福島や岩手に足を運んだが、それはそれ、これはこれ、わたしの旅はどこに行ってしまったんだろうとの思いは、歳月が過ぎれば過ぎるほど大きくなった。
 そんな忘れ物を取り戻すには、かつての約束を果たすしかない。かくして中断された旅を再開すべく、わたしは北へと向かった。」

 この旅行記は昨年12月半ばの三泊四日の東北旅行の記録である。とても読み応えのあるエッセーで、ぜひ書店で『小説すばる』を手に取ってお読みいただきたいと思うが、けっこう長編のエッセーで、立ち読みするには時間がかかるから、レジに持っていかれて、カフェでお読みいただくのがよいだろう。

で、この旅行記の途中で、まるで箸休めみたいな感じで(笑)、私の俳句が登場するのである。気仙沼駅に着いて、駅前の食堂でカキフライを注文するシーンだ。

 「――頼もしや 五つ並んだ牡蠣フライ
 とは、かねてお付き合いのある早稲田大学文化構想学部教授・大久保孝治先生の句だ。食いしん坊と思うなかれ。四つのものが一つ減るのと、五つのものが一つ減るのでは、気持ちのありようが違う。人の心のありかたとは、ほんの些細な多寡によって左右される極めて繊細なものなのである。
 わたしは別に、カキフライが好物というわけではない。ただこの句を先生のブログで拝見してから、カキフライを見るとついついその個数を考える癖がついた。よし、こうなれば、と元気のいい女将さんに注文してみれば、出てきた皿の上のカキフライは三つ。
 ただし、この三つがただの三つではない。それぞれが、わたしの手の甲と同じぐらい大きい。店の女将さんよれば、気仙沼は日本有数のカキの養殖地。こちらのカキフライは二つのカキを一つにまとめて揚げているである。ボリュームは並みのフライの倍以上あるという。な、なるほど。
 頼もしや 妙に大きなカキフライ――

 と呟いて、ありがたくかじりついた。」

 いずれ澤田さんの書く歴史小説の中に皿の上の食べ物の数についてウンチクを垂れる人物が登場する日も近いだろう(笑)。

夕食はカレーライス。

食事をしながら『お別れホスピタル』第1話・第2話(録画)を見る。誕生と死『透明なゆりかご』とは対極にあるドラマだが、メビウスの輪のように繋がっている。キャスティングがいい。実にいい。

ハユさんからいただいたお菓子を食べる。

風呂から出て、今日の日記を付ける。

1時半、就寝。

*明日は都合によりブログの更新はありません。