8時、起床。
サラダ、つみれ汁(卵を落として)の朝食。パンを抜いたのは例によって昼食を「パン日和あをや」で食べるからである。
12時に南武線鹿島田駅で卒業生のサワチさん(論系ゼミ7期生)と待ち合わせ、「パン日和あをや」へ。彼女は「あおや」は初めてだが、私は今週2回目だ。
二階の和室へ。「ドラマのセットみたいでしょ」と私が言うと、「実際のアパートの一室を使って芝居を上演する劇団があるんです」と彼女は言った。
先日、新宿の「シアターミラクル」で彼女の舞台を観させてもらったが(今回が4回目)、あいかわらず普段の彼女とはまったく違うキャラクターを見事に演じていた。彼女は時間をかけてキャラクターを作り込んでいくタイプなので、台本の完成が本番ギリギリになるような作家さんの芝居は苦手だという。アドリブが要求される芝居も苦手で、どんな役であれ、台本があって時間が十分にあれば、その役になりきれるそうである。きっとそうなのだろう。そしていま私の目の前にいる彼女も「私が知っている彼女」というキャラクターであるに違いない(笑)。
「今月のドリンク」のいちごミルクを私はアイスで、彼女はホットで注文。
さて、何を食べましょう。
注文が決まるとバードコールを鳴らす。金属の棒と木片が擦り合って出る音が小鳥のさえずりのような音を出す。
キリコンカン。
ピタパン。キリコンカンとの相性は抜群。
フランスコッペ。スライスされたりんご、ルッコラ、そして写真からはわからないが、ブリーチーズが挟んである。
そしてハチミツをたっぷりとかける。
ここまでは先日と同じオーダーだが、ここでベーコン&チーズのオープントースト。ちょっと肉が食べたくなったのだ。
彼女には今日1つ気がかりなことがある。電車の中で、バッグを開こうとして、バッグの中のハンドタオルをファスナーが噛んでしまって、バッグが開かなくなってしまったのだ。私もやってみたが、ファスナーは後にも先にもまったく動かない。「あをや」の奥様にも見てもらったが、これは修理屋さんに頼むしかないでしょうとのことだった。
おそらく彼女の表情がいつにもましてもの憂げなのは、ファスナーの件があるためかもしれない。
それにしても、さすがに役者さん、ちょっとした身のこなしが繊細である。
彼女は会社で経理の仕事をしていて、週末をひらすら楽しみにして仕事をしている。それは多くの人の場合もそうであろう。彼女の場合、特徴的なのは、週末の楽しみに芝居があることだ。芝居を観たり、ときに自身も舞台に立つ。文字通りドラマチックな(演劇的な)週末なのだ。平日の職場も1つの舞台であり、そこで彼女は「普段のサワチさん」を演じているわけだが、人間は役割の複合体であり、さまざまな役割を演じ分けることで、自己は十全に表現される。普通の人が無意識にやっていることを、役者である彼女は意識的にやっているのである。
「パン日和あをや」という舞台の上にわれわれは2時間ほど滞在した。
矢向駅まで歩く。駅前の八百屋件果物屋の前で。
踏切を渡る。
二軒目の舞台は「ノチハレ珈琲店」だ。先日来たときは臨時休業だったが、今日は大丈夫。午前中は曇り空だったが、店名通り、「(曇り)のち晴れ」となった。
もちろんコーヒーを注文。ハレブレンドという名前のついたブレンドコーヒー。
「先生の好きなカフェには共通の雰囲気がありますね」と彼女が言った。「明るくて、穏やかで、やさしい」。
支払いのとき、マスターご夫妻と少し話をして、写真を撮らせていただいた。お二人がブログに登場するのは初めてだ。なんとなく写真はNGなのかと思っていたが、全然そんなことはないそうで、これは意外であった。地元の方々に愛されているカフェなのは通ってみればすぐにわかります。3ヵ月の休業が開けて、またお二人の笑顔にお会いできるのを楽しみにしています(休業前にもう一度来るかもしれませんが、来られないかもしれないので、いま、言っておきます)。
三軒目のカフェは蒲田の「カフェ・スリック」。途中で、東急蒲田駅の改札横の「ミスター・ミニッツ」という修理屋さんでバッグをみてもらったが、最初、ちょっと苦戦しているみたいだったが、ほどなくしてファスナーが見事開いた。大喜びのサワチさん。これでここから先は笑顔の写真が多くなるだろう。
「カフェ・スリック」の前では4人の女性が私たちの到着を待っていた。「phono kafe」仲間の王さんと二人の妹さん、そしてお母様だ。2時頃からここでお茶をしていて、そろそろ引き上げようとしていたときに、マダムから「もうすぐ大久保先生がいらっしゃいますよ」と告げられて、私を出迎えて下さったというわけだ。劇場前の入り待ちのファンみたいじゃないですか。なんだか杉良太郎にでもなった気分だ。
シフォンケーキは私はチーズスフレ。
彼女は国産マイヤーレモン。
紅茶は私はラプサンスーチョン、彼女はリプトンのアールグレー。
「う~ん、いい香り」
「美味しいですね」
赤ちゃん連れので外のテーブルにいた客が寒くなってきたので店内に入ってもいいですかというので、われわれはカウンター席に移動して、テーブル席を空けた。でも、赤ちゃんが泣きだしたためケーキをテイクアウトして帰って行った。
店を出る前に、いつもの立ち位置でのツーショット。
マダムにわれわれのツーショットも撮っていただく。
蒲田駅に戻る途中の宮の橋の上で(下を流れるのは『シン・ゴジラ』で「蒲田くん」が東京湾から上ってきた呑川)。
裏通り飲み屋の提灯に灯がともる頃である。
彼女はけっこういける口のようである。一緒にお酒を飲めば、私の知らない彼女のキャラクターが姿を現すのかもしれない。しかし、私はからきしの下戸だから、彼女のそういう一面(があるとしても)を知ることはこの先もないだろう。世界は既知の部分と未知の部分から成り立っているが、既知の部分というのは本当に一部なのだと思う。私はそのことにわくわくしたり、溜息をついたりする。
彼女は駅でスイカにチャージをした。そうか、もしバッグが開かなかったら、財布を取り出すことができず、チャージもできなかったわけだ。そのときは「先生、帰りの電車賃を貸して下さい」というつもりだったのかしら。彼女とはそこで別れた。先日の公演終了後に風邪を引き、咳がなかなか抜けないそうだ。どうぞ早く良くなりますように。咳は耳鼻科に行くといいですよ。
夕食は妻と「マーボ屋」に食べに行く。
今月のおすすめメニューはこんな感じ。
野菜サラダ。つまはたいていこれを注文する。
エビのサクサクフリッター(ハーフサイズ)。前菜代わり。
木耳肉(ムース―ロー)。私の好物だが、ここでは初めて注文した(木耳肉という表記ではなかったので、見過ごしていたのだ)。とても美味しい。妻も「美味しいね」と言っていた。ご飯がすすむ。
「今月のおすすめ」から鶏肉と里芋の醤油煮。ご飯の上からかけて中華丼風にしていただく。これもご飯がすすむ。
帰宅して、妻は私が「カフェ・スリック」でお土産に買ってきた紅茶のシフォンケーキをデザートに食べた(私はなし)。
コースナビにアップしたゼミ論完成版(pdf)にいくつかのミス(修正漏れ)が見つかる。私とKさんが電話で相談しながら全員のファイルをチェックしたところ5人ほど修正が必要なものがあり、改めて本当の完成版と差し替える。業者にデータを渡す前でよかった。
2時、就寝。