フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

5月20日(月) 晴れ

2019-05-23 10:04:00 | Weblog

8時、起床。

月曜日に授業のない私にとって、月曜日は週末の一部だ。あれこれ予定の入ることの多い土日に比べて、月曜日は静かな週末だ。

トースト、ソーセージ&エッグ、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

今日の『なつぞら』。いよいよなつが東京に行く(戻る)ことになった。北大に進学する有見子、東京へ菓子職人としての修業に出る雪次郎の壮行会が「雪月」で開かれる。

その席で天陽が「ぼくはなっちゃんが好きだ。それは変わらない」と告白のような言葉をストレートに述べた。

 でも、それが同時にお別れの言葉であることをなつはわかっている。なつは東京で生きていくと決めたのであり、天陽もなつが戻って来ることを期待してはいないのだ。(可能性としては天陽が東京に出てくるというのはあるかもしれないが、それを期待するのはやめておこう)

これで今日のエンディングにしてよい名場面であったが、この後にもう1つの名場面が待っていた。

壮行会には出ず、一人で牛の世話をする泰樹。 

泣いているのだ。 

なつよ、おまえはこのことは知らない方がいい。知らないまま、東京に行け。それがいい。(ナレーション風に)

月曜日が週末の一部であることのよい点は、いわゆる「サザエさん症候群」(日曜日の夕方の憂鬱)と無縁でいられることだ。一方、よくない点は・・・とくに思いつかないが、あえていえば、カフェに行こうと思ってもいきつけのカフェの多くが定休日であることだ。

午後、昼食を食べに出る。ナツが日差しを避けて玄関脇で眠っている。夏が近づいているのだ。 

これは昔からある街の電気屋さんの1つ。日立系列の個人商店(ですよね?)だが、「かまた電化センター」という店名がすごい。 

 「吉岡家」に行く。

ランチセットにする。アジフライをチョイス。蕎麦はもり(かけにもできる)、ご飯は少なめで注文。 

アジフライをチョイスするとソースが付いてくる。 

辛子も添えられている。ソース+辛子というのがアジフライのスタンダードな食べ方のようだが、私は、二つに割いて、最初は醤油で、もう一つはソース+辛子で食べる。 どちらで食べても美味しい。

以前は「中休み」はなかったが、最近、それが設けられたようである。「15時~16時」か。それなら大丈夫だ。私は朝食が遅いので(起きてから2時間くらいしてから食べる)、必然的に昼食の時間も遅くなり、14時前後にならないとお腹が空かない。しかし、14時から「中休み」に入る店が多く、不自由を感じている。15時までやってくれるならありがたい。

店を出て、駅の方へ買い物の行く。

有隣堂でNHKの俳句と短歌のテキストを購入。普段は俳句の方しか買わないが、今日は気まぐれで(月曜日の週末のせいかもしれない)、短歌の方も購入した。

「巻頭名句」(片山由美子選)から

  梅雨に入るいく日も雨の降りし後 山口波津女

  水面の硬さの上の水馬(あめんぼう) 山上樹実雄 

  短夜(みじかよ)や空とわかるゝ海の色 几菫

「巻頭秀歌」(伊藤和彦選)から

  雨といふにも胴体のやうなものがありぬたりぬたりと庭を過ぎゆく 薮内亮輔

  雨降れど泰山木の花咲けば夕月夜にもなるここちする 与謝野晶子

  父の日に贈られてきしネクタイのモダンな模倣老いを許さず 斎藤正

短歌のテキストの「秘密をよむ。」という企画が面白かった。そこで紹介されていたいくつかの作品。

  積もるかもしれない雪はいつまでもきっと出さない手紙を書いた 沙羅みなみ

  たくさんの嘘をあなたについたけど大丈夫って嘘は初めて 田中ましろ

  生きている間しか逢えないなどと傘でもひらくように言わないでほしい 大森静佳

なるほどね、俳句的精神と短歌的精神は違うのだということを改めて思い知る。

夕食はチンゲン菜と卵とベーコンの炒めもの、 

笹かまぼこ、明太子、胡瓜の新香、茄子の味噌汁、ご飯。 

 デザートはメロン。

 Mさんからいただいた最中を食べる。

皮とあんが別々に真空パックされていて、自分で組み立てて食べる。 

なので皮がパリッとしている。 続けて3個食べた。

2時、就寝。


5月19日(日) 晴れ

2019-05-22 12:13:20 | Weblog

7時、起床。

新聞を取りに外に出る。玄関先にバラが咲いている。

もちろん野生のバラではなくて、妻が世話をしているバラたちである。 

 「ローズ・ガーデン」というのはガーデニングをする人の夢の一つではなかろうか。私が小学生だったころ、通学の途中に、一軒の小さな、可愛らしい家があり(赤い屋根の平屋だった)、そこには老夫婦が済んでいて、奥さんは外国人だった。彼女はガーデニングをする人で、当時はそういうことをする家は少なかったから、その可愛らしい家のかわいらしい庭は、私にはおとぎ話の国の風景のように見えたものである。

目玉焼きのオープンサンド、牛乳、紅茶の朝食。 

11時半に卒業生のアズサさん(論系ゼミ1期生)と蒲田駅で待ち合わせ、「HITONAMI」に行く。蒲田駅から「HITONAMI」へは池上線で池上(蒲田から2つ目)までいってそこから15分ほど歩くか、蒲田駅から直接歩いていて(25分ほど)の二通りの行き方がある。かかる時間はほぼ同じ(お店に12時到着)である。彼女にどちらがいいですかと聞いたら、歩きましょうということになった。散歩にはちょうどよい季節である。途中で通った商店街ではフリマが開催されていた。 

予約を入れておいた12時ちょうどに「HITONAMI」に到着。「そんなに歩かなかったような気がします」と彼女は言った。しっかり25分歩きましたよ。おしゃべりをしながらだったから短く感じたのでしょう。 

一昨日、ミサさん(+アユム君)と来たときもそうだったが、店内は客で賑わっていた。店長のオガサワラさんに「ご繁盛ですね」と言うと、「たまたま予約のお客様が多い日で」とのこと。次の9月で開店1周年を迎えるが、しっかり地域に定着しつつあるのではなかろうか。月曜が定休だが、オガサワラさんは仕込みがあるから無休で働いている。さらに6月からは金土の営業時間を夜の9時までに拡大する(通常は6時まで)そうである。一見、丈夫そうにみえるけれども(笑)、これから暑い時期を迎えますから、どうぞ健康管理にはくれぐれも気を付けてくださいね。

 2人ともメインは同じものをチョイス。+私は惣菜3品、彼女は2品。

霧島鶏のむね肉のきのこソース。 

有機ペンネときのこのマリネ。 

切り干し大根のアラビアータ。 

じゃがいものジェノベーゼ。 

 彼女はGWの前半、お母様と妹さんの3人でカンボジア旅行に行ってきたそうで、その話を伺う。お土産の小銭入れもちょうだいした。

余談だが、私はよく卒業生の方から小銭入れをプレゼントされる。たぶん札入れと一体化した小銭入れが小銭であふれているのを見て、「なんとかしてあげなくちゃ」と思われているのであろうと思う。世の中の人は、札入れと小銭入れを別々に所持している人の方が多いのであろうか。ブログの読者の方は気づいているであろうが、私はよく忘れ物をするので、札入れと小銭入れを別々にすると、どちらかを忘れるという事態が頻繁に発生するような気がするのである。

「HITONAMI」から本門寺へはすぐである。本門寺は小高い丘のうえのある。上に出るための坂道・階段は何か所かあり(池上会館のエレベーターを使うという裏ワザももある)、今日は妙見寺に出る階段を上がることにする。 

 けっこう急こう配である。何段あるか彼女に数えながら上ってもらった。

「110段ありました!」 

初夏の空が広がっている。 

本門寺公園へ。 

陽射しも湿度もそれなりにある日だったが、公園の中に入ると、高原に来たような感じがする。木と土のおかげだ。 

広場ではバーベキューを楽しむ人たちの声がする。 

その中に卒業生のチヒロさんの姿を見つける。。チヒロさんは池上にお住まいなのだ。マンションの自治会の催しかなにかだろうか(後日、バーベキュー広場でお見かけしたことをお伝えすると、びっくりされていたが、上のお子さんの小学校のBBQだったそうだ)。アズサさんも彼女を見て、「あっ、ブログにときどき登場する方ですね」と言った。2人は年齢が10ほど離れており、会ったことはない。ブログが「大久保ゼミ」という「想像の共同体」の形成に一役買っていることを実感した。

新緑が美しい場所に来た。 

ここはポートレイトには絶好のスポットだ。  

緑と白いブラウスと長い黒髪の対比がさわやかだ。  

ふいに20年近く前に観た『夏至』という映画を思い出した。ベトナムとフランスの共同制作で(監督はトラン・アン・ユン)、映像の美しさが印象に残っている。彼女から聞いたカンボジア旅行の話も連想に影響しているかもしれない。

丘を向こう側に下って行くと子ども広場と噴水池のある場所に出る。 

池の畔でのポートレイトを撮っていると・・・ 

外国人の女の子が飛び入り参加。お父さんが近くでニコニコして見ている。 

子ども広場でのポートレイト。

 

ブタさんの腰かけに座ると、最初はおすまし顔でも・・・

自然と童心に還ってしまう。

最後にベンチでツーショット(ブタさんも入ってもらう)。 

 さて、そろそろ「スリック」に移動しましょう。 

 

 本殿でお参りをしてから下山する。 

「スリック」では待望のセパレートティ(紅茶&グレープフルーツジュース)を飲ませていただけた。まだメニューには出ていないが、昨年、私が何度も注文したお気に入りのドリンクなので、マダムが用意してくださったのだ。ありがとうございます。 

シフォンケーキは、私は抹茶、アズサさんはレモン。 

抹茶シフォンケーキは季節限定。わらび餅が添えられている。 

レモンシフォンは、当初は期間限定だったが、人気のゆえ、冬レモンも使って通年メニューとなった。 

 一昨日の金曜日はマダムの体調がよろしくなくて臨時休業だったが、今日は大丈夫とのこと。でも、無理はなさらないでください。

「スリック」には1時間弱滞在。「もう帰ってしまわれるのですか?」とマダムに言われたが、そうなんです。また来ますね。アズサさんを蒲田駅の改札に見送る。

 夕食はキンキの煮付、サラダ、メカブ、豆ご飯、卵とキャベツの味噌汁。

キンキの煮付は例の『ためしてガッテン』で知った落としぶたをして強火で短時間煮るやり方で。

豆ご飯は色合いが美しい。

胡麻塩を振って食べるのが好み。 

デザートはオレンジ。 

 先日、ミサさんからいただいたお菓子を開ける。

フルーティーな風味のクッキーである。 

 3時、就寝。


5月18日(土) 晴れ

2019-05-21 13:06:41 | Weblog

8時、起床。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

9時過ぎに家を出て、大学へ。10時半から早稲田社会学会の理事会がある。 

理事会は昼過ぎに終わり、那須先生と関水さん(立正大学)と「たかはし」に昼食を取に行く。私と那須先生は二重弁当、関水さんはお刺身定食。店内ではご主人夫妻の小学生の娘さんが料理をテーブルに運んでいた。学校が休みの土曜日ならではの光景であるが、同時に昭和を感じさせる光景でもあった。近頃は一家総出で頑張っている食堂というものを見かけなくなった。

「たかはし」を出て、その足で慶応大学(三田キャンパス)へ向かう。早稲田社会学会と三田社会学会の合同研究会が2時からあるのだ。 

 慶応大学に来るのは久しぶりである。 

昔のままの建物も残っているが、

新しく建った建物もある。これは南校舎と呼ばれる新しい建物。

 ここの453教室が研究会の場所である。

今日の報告は2件。

 鳥越真吾(慶応大学)「近代的時間と社会学的認識」 討論者:澤井敦(慶応大学)

 大坪真利子(早稲田大学)「カミングアウトの根拠としての「不可視」論の再考と課題」 討論者:熱田敬子(早稲田大学)

鳥越さんはこのテーマで博士論文を書いた。大坪さんはこのテーマで博士論文を書こうとしている。ともに興味深い発表で、フロアーからの質問を喚起していた。合同研究会は去年から始まった、今回が2回目だが、1回目に見られた「早慶戦」的な対抗意識は影を潜め、身内でもなく、かといってまったくの他人でない、ある種の親しさをを伴ったハイレベルの研鑽の場という感じになってきたように思う。今回は報告者の募集に時間がかかったようだが、いずれこの合同研究会で報告者となることが院生たちにとっての晴れ舞台として目標になってほしいと思う。

研究会は5時過ぎに終わり、私は大井町へと向かう。

ヤマダ電機から、修理を依頼していたデジカメが上がってきたとの電話連絡があり、受け取りに行く。1年半ほど前に78000円で購入し、普段使いをしているデジカメ(ソニーのサイバーショットRX100Ⅲ)だが、よく落下させるので、あちこちが変形し、それだけならよかったのだが(稼働にはとくに支障はない)、とうとう液晶画面が本体から断線して外れてしまったのである。

 

修理代金は15000円。①液晶パネルの部品交換だけもよかったのだが、そういうわけにもいかないようで、他の故障個所もセットでの修理となった。それないの出費だが、新品を買い直すのに比べたらましである。私の場合、普段使いのデジカメは消耗品といってよく、2年くらいで買い替えるが、今回は途中で修理をしたので、3年(あと1年半)は使いたい。

6時半、帰宅。

夕食は焼き魚(カマスの干物)、サラダ、茄子の味噌汁、ご飯。

そして、とろろ汁。これがあるとついついご飯のお替りをしてしまう。

デザートはオレンジ。 

2時半、就寝。


5月17日(金) 晴れ

2019-05-20 23:19:33 | Weblog

7時半、起床。

トースト、サラダ(+炒り卵)、牛乳、紅茶の朝食。

11時半に蒲田駅で卒業生のミサさん(論系ゼミ2期生)と待ち合わせ、池上の「HITONAMI」へ。去年の10月に生れた長男のアユム君も一緒である。前回お会いしたのが臨月のときだったから、そのときと比べると、見違えるほどスリムになりましたね。

アユムは「歩睦」と書く。誕生の前後は心配なこともあったようだが、すくすくと元気に育っている。

かわいくてしかたがない、そういう感じが伝わってくる。実際、彼女にとっての「大切なもの」の順位は、子ども、夫、仕事(休職中)とのこと。まぁ、そうでしょうね。気になるのは、1位と2位の間の距離である(笑)。

オガサワラさんに抱っこされても大丈夫。人見知りはするが、女の人は大丈夫らしい。私はこの時点では抱っこは控えよう。食事の前に鳴かれちゃうと困りますからね。

メイン料理+惣菜3品をチョイス。

 長崎のブリ玉ねぎソース。

 切り干し大根のアラビアータ。 

ジャガイモのコロッケ。 

大根と人参と高野豆腐の煮物。 

ミサさんは霧島鶏のむね肉のキノコソースをメインに、ジャガイモのコロッケ、切り干し大根のアラビアータ、そしてスペインふうオムレツ。 

食事の間はベビーカーに置いておかれたが、とくにむずかることもなく、よい子にしていてくれた。

「HITONMI」で食事をして、「スリック」でお茶をするつもりであったが、「スリック」に電話をしても出てくれない。どうも臨時休業のようである(実際、そうだった)。というわけで「池田屋」で葛餅を食べましょうということになる。

平日の「池田屋」は空いている。寺町らしいゆったりとした時間が流れている。

アユム君は「HITONAMI」からここに来る途中で、ぐっすりと眠ってしまい、われわれが葛餅を食べている間も眠ってくれていた。

そしてわれわれが葛餅を食べ終わるの待っていたかのように目をさました。よくできた子である(笑)。 

店内の黒い壁の前で撮ったツーショット(写真スタジオで撮ったみたいにでしょ)。ふだんは彼女がアユム君を撮っているので、アユム君単体の写真はたくさんあるが、母子のツーショットは案外少ないそうである。これはどこの家庭でもそうである。

 母子のツーショット以上に少ないのが、ミサさん単体のポートレイトである。今日はしっかり撮っておきますからね(笑)。

さて、そろそろ私とアユム君のツーショットといきましょうか。初対面の瞬間から2時間ほどが経過しているので、もう大丈夫とふんだ。はたして大丈夫であった。 

2人とは蒲田駅で別れ、私はその足で大学へ。 

5限・6限はゼミ。私の『日常生活の探究』をテキストにしてのディスカッション。小グループでのディスカッションは5限は同じ学年同士で、6限はそれを崩して、3年生と4年生の混成グループを作って行った。

休み時間のスイーツは3年生のA君が用意してくれたが、私が演習「現代人と社交」でときどき配るスティックワッフルであった。 

私がジャンケンが強いという話をしたら、スイーツを賭けて私とジャンケン勝負を挑んできた学生が2人いた。気の毒に彼女たちは今日はスイーツなしである。(かわいそうなので、剥奪したスイーツは返してさしあげた) 

今日は定刻どおり(8時45分)終わる。

9時、帰宅。

夕食は「ちよだ鮨」で3割引きになっていた握りと巻物。 

コンビニでもようやく賞味期限が近くなった弁当などを割引で売るようになるらしいが、よいことである。 

昨日の『プレバト』(録画)を観ながらの食事。 

デザートは杏仁豆腐。

2時、就寝。 


5月16日(木) 晴れ

2019-05-20 02:56:31 | Weblog

8時、起床。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

 松本土産の「モモ」のマーマレード(グレープフルーツ)を開ける。

初夏の食卓に相応しい味わいである。 

先日、ヨウさんからいただいた栗鹿ノ子を食べる。 

食感としては 栗キントンですね。

 11時半に家を出る。玄関先のバラが花開いている。

3限は大学院の演習。今日から『ひとびとの〈精神史〉』 全9巻(岩波書店)をテキストにした発表が始まった。今日は第1巻「敗戦と占領1940年代」から、Y君が武田宏子「西崎キク―大空から大地へ」、Tさんが栗原彬「北村サヨー踊る宗教が拓く共生の風景」についての発表。体制内で先駆的な女性としたフル回転で頑張った西崎キクと体制の根本的な否定と世直しを図った北村サヨ。対照的な二人の女性の行き方について。

演習を終えてから昼食用のパンを買いにミルクホールへ。

店内に貼ってあるポスター。 

つくねバーガー、あんドーナツ、ミルクドーナツ、ブレンドコーヒーを買ってくる。コーヒーは紙コップから松本の「グレインノート」で購入した田中一光作のカップに移して。 

食事をしたいたら春風社の営業の方がやってきて、「春風新聞」を置いて行った。新刊案内だが、いいネーミングである。 

5限は講義「日常生活の社会学」。初回からの一貫したテーマである「近代社会の二重構造」の話は今日で一区切り。

授業を終えて、東中野へ。卒業生のサワチさん(論系ゼミ7期生)の出演する芝居を観るためである。東中野は初めて降りる駅である。

開演(8時)までまだ1時間ある。どこかで夕食を食べて行こう。

 「大盛り」という気分ではない。観劇中に眠くなってはいけない。

食事+お茶のできる「風月堂」には惹かれたが、もう少し商店街を先に進んでから探そう。 

個人経営の葬儀屋さんを商店街で見ることが少なくなってきている。 

この書店はもう営業をしていないようである。古書店だったのだろうか。 

駅から7分の「バニラスタジオ」のあるビルに着いてしまった。 

向かいの中華料理店「生駒軒」に入る。 

母親と娘と思しき女性2人でやっている店である。 

ウマ煮定食(730円)を注文する。

 予想を大きく上回ることも下回ることもなく、普通に美味しかった。 

開演までまだ30分ある。しかし駅の方へ戻ってカフェでコーヒーを飲むほどの時間ではない。餃子(560円)を追加注文した。6個ということで、大きい餃子だったら腹がきつくなるなと心配したが、大丈夫、小ぶりの餃子だった。 

開演10分前に入場する。 

今回の芝居『BAR 女の平和』(オフィス上の空プロディース 東京ノ演劇ガ、アル、♯2)は、アリストパネスの『女の平和』を下敷きにしている。男たちに戦争を止めさせるために女たちが徒党を組んでセックス拒否を行ったというあのギリシャ喜劇である。

舞台はバー「女の平和」。登場するのは5人の女性たち。バーのマダム、パートナーから不当な扱いを受けている女性たちにセックスストライキという戦いの方法を提唱して市議会議員に立候補して当選確実な女、彼女の友人で夫からDVを受けている女、姑と同居している子持ちの女、もう一人遅れてやってきた女。彼女たちは当選祝いのためにバーに集まってくる。ところが、ここでとんでもないことが起こる。夫からDVを受けていた女が誤って夫を自動車で轢いて殺してしまったのである。彼女は気が動転してしまったのだろう、どうしてよいかわからず、夫の死体を段ボール箱に入れて、バーまで持って来てしまったのである。さあ、大変。さて、どうするか。あんたの力で何とかならないかと市議会議員(当選確実)は言われて、それは無理だと答えると、いっそあんたが罪を被って自首したらどうか、ふだんから女の味方で選挙戦に勝利しようとしているんだからと吊るし上げに合うハメに。喧々諤々の議論の合間に、セックスストライキをしているはずの彼女たちが、実は禁を破ってセックスをしているという事実も明らかになる。女たちの結束ももろくも崩壊かと思われたが・・・、というストーリー。女たちそれぞれの主張は、無茶苦茶なところもあるが、妙に説得力もあり、聴き入ってしまう。脚本の山下由の力量はたしたものである。

サワチさんはDVを受けていた夫を誤って殺してしまうひ弱な女を演じていた(今日は昼間会社で働いているときからこの服装だったそうだ)。この5人の中からこの役を演じるのは彼女しかいないだろうと思う。他の4人もそれぞれにはまり役である。しかし、と私は考える、もし役をシャッフルして、別の役になったとしても、5人の女優はやはり「はまり役だ」と思える演技をするのではあるまいかと。そのくらいのことは軽々とやってしまうのが女優というものではなかろうか。実際、サワチさんの出る芝居を何本か観て来たが、素でやっているような役は一つもなかった。というよりも、私には素の彼女がどういう人なのかわからない。彼女とはときどきカフェをご一緒するが、そのとき彼女は「サワチさん」という役を演じているのであって、それは決して彼女の素ではないのではないかと思う。 

もっとも私にしても素の私を彼女に見せているわけではありませんけどね(笑)。そもそも「素の私」なんてものは、たんに想定されるだけのもので、実体として存在するのかどうかは疑わしい。仮にあったとしても、それをそのまま他者に呈示するなんてことが一体可能なのかどうか疑わしい。なぜなら人間は本質的に「演技する人間」であるからだ。

面白い芝居を観た。満ち足りた気分で帰りの電車に乗る。東中野の隣は大久保である。私はまだこの駅で降りたことがない。

10時半頃、帰宅。

1時、就寝。