戌の満水は、1742年の8月末、千曲川流域一帯で起きた大水害でございます。この辺り一帯では8月1日にお墓参りをする風習がありますけれど、これはその名残。3000名ともいわれる死者を弔う意味でのお墓参りが300年近くたった今でも行われているというわけです。
戌の満水で起きたことを忘れてはならない、との教えから地元の学校はもとより(夏休みですが)企業なども軒並み休日となって、一族郎党があつまってお墓参り、だったはずなのですが今ではお墓参りの日。ということになってしまいましたが、今回の台風19号のもたらした災害はまさに
令和の満水でございやした。
長野県東部一帯の寺には位牌分け、という風習があり、位牌を親類縁者に分散させて保管するシステムもあります。これも珍しいことですけれど、実に戌の満水の経験から、万が一に備えて大切な位牌は分散させて保全しよう、という知恵なのです。
台風19号は1000年に一度の大嵐だ、という人もいますけれど、どっこい温暖化からくる台風の巨大化をはじめとしたもろもろの異常気象を考えますと、次の大災害がいつどこであってもおかしくないわ、と考えるのが自然です。
いやはや、まったく恐ろしいことですが、この時代に生きとし生けるものとしましてはできることからコツコツと、というしかない。こうして生かされているのだから、なにか少しでもお役に立てれば、と改めて考える秋の夜長でございやしたとさ(爆)。