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わたしのレコード棚―ブルース57、Mance Lipscomb

2018年07月06日 | わたしのレコード棚
 テキサスのブルースを原初の形で伝えているマンス・リプスカム(Mance Lipscomb)。生まれは1895年4月、テキサス州ナヴァソタ(Navasota)。亡くなったのは同地で1976年1月30日だった。つまり、生まれたのは19世紀末で、本人はシェアークロッパー(Sharecropper)―あえて訳すと「小作人」―で、父親は奴隷だったとも言われている。農作業のかたわら、週末にパーティーなどで演奏して小遣いを稼ぐソングスターでもあった。アーホーリー(Arhoolie)というレコード会社のクリス・シュトラッハウィツ(Chris Strachwitz)とマック・マコーミック(Mack McCormick)に見い出され録音したのは1960年で、この時すでに65歳になっていたことになる。
 


 アーホーリー(Arhoolie)のLP、F1001。1960年、テキサス州ナヴァソタでクリス・シュトラッハウィツとマック・マコーミックによって録音されたもので、かなり詳しい解説と歌詞がついたブックレットが付いている。
 おそらく、これが初録音と思われる。やはりテキサスのギタリスト・ゴスペルシンガーで歴史的録音を残したウィリー・ジョンソンは、1900年頃の生まれで、その録音をしたのが1927年から1930年にかけてで、1947年頃に亡くなっている。つまり、マンス・リプスカムはウィリー・ジョンソンより5年ほど前に生まれ、30年以上後に録音した事になる。どちらが良いか、という問題ではないが、二人の生涯を比較する時、人生の不思議さと困難さを感じずにはいられない。


 LP裏面にある写真。おそらく、録音した時よりかなり後の写真と思われる。普段、使用しているギターはLP表面のジャケットに写っているハーモニーというメーカーの、どちらかというと安ものだ。これが、妙にブルースらしい音がしたりするし、本人もよほど気に入って愛用していたようだ。残されている映像などを見ても、ほとんどハーモニーのギターを使って演奏している。しかし、下のLP1049の中に入っているバンドでの演奏3曲ではエレキギターと思しきものを使っている。それが、ひょっとしたら、この写真に写っているギブソンのアコースティックギターにピックアップを付けたものなのかもしれない。資料によると、ファンからJ-200というギブソンのアコースティックギターを贈られたとあるが、ボディの大きさやブリッジの形を見るとJ-185のような気もするが、どうだろう。


 同じく、アーホーリー(Arhoolie)のLP1049。1968~’69年の録音11曲を収録。
 このLPのなかに、2曲スライド奏法での曲が入っている。下の写真はヴィデオの裏面にあるものだが、見てのとおりで、使っているのはボトルネックではなく、なにか工具のようなものだ。独特の音質で、ウィリー・ジョンソンの音質に近いものを感じる。ウィリー・ジョンソンもナイフのようなものを使っていたという説もあるし、あるいはこのような独自の器具を使うことによって独特な音質を得ていたのかもしれない。



 Vestapolレーベルのヴィデオテープ13011。1969年に地元テキサスのTV局KLRUが制作したもの。局内のスタジオで収録されたようで、観客はなんとなくTV局の従業員を集めているように見える。

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