文化逍遥。

良質な文化の紹介。

葉室 麟著『曙光を旅する』2018年朝日新聞出版刊

2019年07月29日 | 本と雑誌
 図書館から借りて読んだ本の中から1冊。



 すぐれた歴史小説を多くものし、2017年12月に亡くなった葉室麟。これは、主に朝日新聞西部本社版に2015年4月から2018年3月まで連載された歴史紀行をまとめ1冊の本にしたもの。

 小倉生まれで、活動拠点も九州に置き、作品も主に九州を舞台にしたものが多かった。この紀行も、小倉から始まり、九州の史跡やそこで活動した、あるいは今でも活動している作家などを訪ねる形になっている。全体に、「さすがの感性」と思わせる優れた紀行文、と感じた。
 本文中の『「司馬さんの先」私たちの役目』というインタビューの中で次のように語っている。

 「人生は挫折したところから始まる」が、私の小説のテーマ。(p206)

 多作な作家で、生き急いだのか66歳で亡くなった。もっと長く生きて、さらなる深みに達した作品を読ませて欲しかった。残念だ。


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