文化逍遥。

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わたしのレコード棚―ブルース73、William Harris

2019年07月12日 | わたしのレコード棚
 このブログ、2018.3.9に紹介したCDと重複しているが、今回改めて聞き直したので別項として書いておくことにする。

 ウィリアム・ハリス(William Harris)は、生没年など、その生涯の詳しい事はわかっていない。ポール・オリバーによるCDの解説などには、ミシシッピーやアラバマなどの南部を巡回していた「黒人ミンストレルズ・ショー」で活動していた演奏家、としている。すなわち、ショー・ビジネスに加っていた演奏家だったという。


 オーストリーのレーベルDOCUMENTのCD5035。ウィリアム・ハリスとバデイボーイ・ホーキンスとのカップリングCD。1927―1929年の録音なので、おそらく二人とも19世紀後半の生まれなのではないだろうか。写真は、ハリスか。
 ウィリアム・ハリスは9曲を収録。レコードの原盤番号(マトリックスナンバー)などの記録からは14曲の録音を残していると推測されているが、残り5曲の録音は見つかっていない。

 かなり高い声を出せる美声の持ち主で、ギターもおそらく5フレットあたりにカポを付けてマンドリンの様な音を出している。特に複雑な演奏法は無く、むしろシンプルな奏法だ。リズムはシャフルと8ビートの中間的なもので、リズム感は抜群。音程も安定していて、安心して聴ける。ショーのバックを務めていたであろう演奏家の面目躍如といったところ。聞きどころは「Kansas City Blues」だろう。Jim Jacksonのオリジナルと云われているが、ハリスのものがポピュラーだ。我が家には、残念ながらオリジナルの録音は無いので比較できないが、ハリスが歌詞を足したらしく8番まである。その中には、現代のブルースマン達が使うフレーズも多く含まれており、後のブルースマン達への影響は大きいと感じられる。


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