この本は、当ブログでも紹介した映画『僕達は希望という名の列車に乗った』の原作になる(映画のリビューはこちら)。今年の5月に刊行されたばかりで図書館にもまだない。これは、友人が貸してくれたもの。近頃は、本を買う予算も置く場所もないので、ありがたいかぎりだ。
著者のディートリッヒ・ガルスカは1939年東ドイツに生まれ、シュトルコーという町の高校に通っていた。その頃、ハンガリー動乱の犠牲者に向けた黙祷を授業中に敢行したため国家への反逆とみなされ西ベルリンに脱出。後にはクラスの20人のうち16人も続き、そしてそれぞれの家族をも巻き込んでゆくことになる。この本は、当事者によるドキュメンタリーだが、ディートリッヒ・ガルスカ自身は三人称で書かれており、客観性を重視した静かな筆致になっている。翻訳も、かなりな工夫がみられる。東ドイツが無くなってからすでに30年近くが経過している。つまり、30歳以下の人には「東ドイツ」という国は、すでに歴史の中だけにある国なのだ。
それにしても、個人的に感じたのは、東西に分裂していた頃のドイツ、特にベルリンの状況は思い描いていたものとずいぶん違う。どうしても、隣りの韓国・朝鮮と比較してしまうが、考えてみれば西ドイツはアメリカ、東ドイツはソ連の影響下にあったとはいえ「内戦」をしたわけではなかったのだった。その違いは、大きいものだったのだと、恥ずかしながら今更この本で認識を改めた次第だ。
読み終わった後、本を読んだ実感と喜びを与えてくれる1冊。
著者のディートリッヒ・ガルスカは1939年東ドイツに生まれ、シュトルコーという町の高校に通っていた。その頃、ハンガリー動乱の犠牲者に向けた黙祷を授業中に敢行したため国家への反逆とみなされ西ベルリンに脱出。後にはクラスの20人のうち16人も続き、そしてそれぞれの家族をも巻き込んでゆくことになる。この本は、当事者によるドキュメンタリーだが、ディートリッヒ・ガルスカ自身は三人称で書かれており、客観性を重視した静かな筆致になっている。翻訳も、かなりな工夫がみられる。東ドイツが無くなってからすでに30年近くが経過している。つまり、30歳以下の人には「東ドイツ」という国は、すでに歴史の中だけにある国なのだ。
それにしても、個人的に感じたのは、東西に分裂していた頃のドイツ、特にベルリンの状況は思い描いていたものとずいぶん違う。どうしても、隣りの韓国・朝鮮と比較してしまうが、考えてみれば西ドイツはアメリカ、東ドイツはソ連の影響下にあったとはいえ「内戦」をしたわけではなかったのだった。その違いは、大きいものだったのだと、恥ずかしながら今更この本で認識を改めた次第だ。
読み終わった後、本を読んだ実感と喜びを与えてくれる1冊。