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わたしのレコード棚ーブルース93 Alex Moore

2020年07月09日 | わたしのレコード棚
 ブルースの方でも、すぐれたピアニストは多いが、アレックス・ムーア(Alex Moore)もその一人。残念ながら、日本ではあまり評価されておらず、音源も限られている。我が家にあるのも、下の写真のLPだけだが、これがなかなかに味わい深くヴォーカルのノリも良い。
 生まれは、資料によりバラツキがあるが1899年頃テキサス州ダラスで、亡くなったのは1989年1月やはりダラスでだったようだ。90歳くらいまで生きたことになり、当時としては稀な長命のブルースピアニストだったようだ。生涯を通じ、おそらく、ダラスのダンスが出来るホールのようなところで演奏し続けた人と思われる。後の、トム・ウェイツなどを思わせるピアノのタッチで、個人的には魅力を感じるミュージシャンの一人だ。


 1969年、ヨーロッパでのブルースフェスティヴァルなどツアーに参加した時に当時の西ドイツ、シュトゥットガルトで録音された一枚。ARHOOLIEの1048。ピアノソロおよびヴォーカル・口笛など、全8曲を収録。録音時に70歳くらいと思われるが、年齢を感じさせない若々しい演奏。あやかりたい。


 ジャケット裏


 LPのジャケット裏にある、ツアー時の写真を大きく撮ったもの。いずれも、百戦錬磨のブルースマン達だが、なんとなく観光旅行に来てリラックスして記念撮影に収まった普通のおじさん達、といった感じで個人的にはとても好きな写真だ。
 後方左から、アール・フッカー、クリーヴランド・シェニエ、マジックサム、キャーリー・ベル、ジョン・ジャクソン、ロバート St ジュディ。座っている人左から、ジューク・ボーイ・ボナー、クリフトン・シェニエ、マック・トンプソン、そして中腰で微笑んでいるのがアレックス・ムーア。
 それにしても、この時のツアーのメンバーは、地域的にも音楽的にも多様で、すばらしい。具体的に詳しく書いていると長くなりそうなのでやめておくが、特にイーストコートのフォークブルースを代表するブルーマンの一人であるジョン・ジャクソンがモダンブルースに混じって入っているのが特筆すべき点だ。こんなメンバーなら、多少料金が高くても是非にも聴きに行きたい。ジョン・ジャクソンは、この時にムーアと同じように録音をしておりARHOOLIE1017でLPを残している。すでに、このブログで取り上げているので、興味のある人はこちらを参照のこと。

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