King Diary

秩父で今日も季節を感じながら珈琲豆を焼いている

銀河鉄道の夜の味わい

2016年10月17日 14時44分05秒 | 読書
昔読んだ時にはとにかくものがなしくて
突然友達がいなくなってしまう恐怖とか
どこの世界のことなのかわからいもどかしさとか
非常に厄介な作品に感じたものでした。

これが今なら色々な科学的な世界観と彼の宗教観が
生み出した傑作だとわかりますが、かつてまだ相対性理論や
時間と空間とか暗黒星雲とかブラックフォールとかが知られて
いないときに、この小説は童話ということにされ大事な科学的
検証とか理論的説明が省かれて顧みられていなかったことが
解ります。

星の王子さまは有名な童話ですが、それは人の体験や珍しい
動物や植物から来る博覧的知識から導いた物語であるのに
対して銀河鉄道の夜は科学的考察と宇宙観と人の生と別れを
絡めた小説なのです。

いまだに多くの人がこの不思議な小説に魅せられ科学的な説明を
すべく現実の研究の世界に入った人もたくさんいます。

それが最近の発見でアルファケンタウリに地球型の惑星があること
の発見があり、プロキシマケンタウリに水のある惑星があると考察
されたりと賢治の知見がこの最近の発見にまで及んでいるかのような
不思議さを含んでいるのです。

それは今まで通り、宗教観も科学的知見も関係なく童話として
味わっても味わい深いものがありますし、全く逆に今知られている
科学的知見と自身の持ち合わせる宗教観と照らしてみるのも
面白いのです。
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