金木犀、薔薇、白木蓮

本と映画、ときどきドラマ。
★の数は「好み度」または「個人的なお役立ち度」です。
現在、記事の整理中。

280:酒見賢一 『陋巷に在り〈8〉』

2006-12-29 16:09:51 | 06 本の感想
酒見賢一『陋巷に在り〈8〉冥の巻』(新潮社)
★★★★☆

子蓉との駆け引き破れた医鶃は勝負に出た。
顔回は医鶃の指示に従い、薬草漬けの酒で意識を殺し、
冥界までを連れ戻しに行くことになる。
医鶃の信奉する女神・祝融に導かれ、と子蓉のもとへ
たどりついた顔回だが、なぜかそこへ孔子が現れる。

問答にはもううんざりだし、今回は完全にオカルトというか
スピリチュアルな世界に話が行ってしまって、
そういうのが得意じゃないわたしは困ったなあという感じなのだけど、
祝融のキャラクターと暗示される孔子一門の未来に惹きつけられて
脱落せずに読めております。
男らしいようでおっかさんのような祝融さまがすてき!
さっき便覧で調べてみたけど、この後孔子は魯での政争に破れて
失脚してしまうのね……。

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279:大道珠貴 『しょっぱいドライブ』

2006-12-29 15:38:54 | 06 本の感想
大道珠貴『しょっぱいドライブ』(文藝春秋)
★★★☆☆

連日の出勤で読書はすすむが感想が追いつきませぬ。

籐子ちゃんライブラリーから拝借。
芥川賞受賞の表題作と、「富士額」「タンポポと流星」の三篇を収録。

小説にわかりやすさとか明確なテーマを求める人には
この本ダメだろうなあ……と思うのだけれど、
個人的には楽しめました。
女たちの奇妙な関係を描く「タンポポと流星」が好き。
いずれもなんとも形容しがたい関係性を描いたお話で、
帯の文句を考えるのに苦労しそうだ。

ある種の人々は、向上心もなく流される主人公に対して
嫌悪感を持つかもしれないけれども、別にいいじゃん、と思う。
前向きで希望に満ち溢れた小説ばかりじゃなくてもいい。
怒ったりいらついたりした感想を読むと
みんな真面目なんだなあと思う。
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