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【Amazonの内容紹介】
廉太郎の頭のなかには、いつも鳴り響いている音があった――
最愛の姉の死、厳格な父との対立、東京音楽学校での厳しい競争、
最愛の姉の死、厳格な父との対立、東京音楽学校での厳しい競争、
孤高の天才少女との出会い、旋律を奏でることをためらう右手の秘密。
若き音楽家・瀧廉太郎は、恩師や友人に支えられながら、
若き音楽家・瀧廉太郎は、恩師や友人に支えられながら、
数々の試練を乗り越え、作曲家としての才能を開花させていく。
そして、新しい時代の音楽を夢みてドイツ・ライプツィヒへと旅立つが……。
「西洋音楽不毛の地」に種を植えるべく短い命を燃やした一人の天才の軌跡を描き出す。
時代小説家最注目の俊英が、ついに新境地・明治へ!
時代小説家最注目の俊英が、ついに新境地・明治へ!
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読書感想文コンクールの高校生の課題図書になっていたため
知った本。
鎌倉時代アンソロジーのときには、
「あまり好みの作家さんじゃないかも」
と思ったのだけども、これはとても良かった。
気になったのは、幸田姉妹のキャラ立てが
ラノベっぽくて、やや浮いていたことくらい。
滝廉太郎については、昔テレビでやってた映画
『わが愛の譜 滝廉太郎物語』しか見ていないから、
たいして詳しくなく、新鮮味があったというのもあるんだけど、
最初から最後まで面白かったし、
新聞屋の家に行った場面のあたりから、何回も泣いてしまった。廉太郎と幸田幸のふたりそれぞれに克服すべき課題が設定され、
それが克服されたことが、同時に示されるのが美しい。
二人の間に恋愛が介在せず、あくまでも音楽家同士の関係、
「これから日本で新しい音楽をやっていくぞ!」という仲間であるとともに
ライバルでもあるという関係に終始したのもよかった。
滝がこれからというときに結核で死んでしまうというのは知っていたが、
「結核の発覚」と「死」が直結した形で描かれず、
何事も成し遂げられないままに日本に帰り、
余生を送らなければならない空しさや悔しさを描くことに尺を
とっていたのもよい。
前半に音楽のエリートたちを数多く登場させていたことが、
滝が死んでも、その曲や夢が別の誰かに引き継がれていく、という救いに
リアリティを持たせていた。
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