86歳の知人(元会社の上司)とあれこれと雑談している時に、岸恵子の「わりなき恋」を読んでみたらと、薦められた。2か月前に発刊され一時はなかなか手に入らないぐらいの人気だったらしいが、今なら本屋に並んでいるかもしれないよと言われ昨日本屋を覗いたが増刷中とのこと買えなかった。
どうして、この本がこんなにも人気を呼んでいるのであろう。
岸恵子がTVに出ることもほとんどないし、「わりなき恋」 が話題にはなっている気配もない。
TVの視聴者層が若いため、岸恵子が昔の大女優だからといっても無関心であり、視聴率が取れないからTVは取り上げないのであろう。
岸恵子は1932年生まれの81歳で、19歳で映画デビュウしかの大ヒットした映画「君の名は」で松竹の看板女優として絶大の人気を博すようになったのが1953年21歳の時で、その後鶴田浩二と浮名を流し、1957年 25歳でフランス人の監督イブシャンピと結婚、1975年 1児をもうけて離婚。その後も、日本とフランスを行き来して、女優、文筆家として活躍してきた。
この小説のあらすじは:
70歳を目前にした日本とパリを拠点にする女性ドキュメンタリー作家と、12歳下の大企業重役との5年を超える不倫愛が題材になっている。タイトルは、古今和歌集で詠まれた一節にもあるように「理屈や分別を超えて、どうしようもない恋」を意味する。
早くに夫を亡くした女性は、海外を飛び回る男性と遠距離恋愛を続けていくうちに深い関係になっていく。ただし、十数年ぶりの性交は潤いが足りず、思うようにいかない。意を決して婦人科で治療を受ける場面なども描かれる。70代女性ならではのエピソードだが、男性にかかってくる電話やメールの内容、ささいな一言に、恋心は少女のように揺れ動いていく。
そこで、どうしてこの本がにんきがあるのか?結論付けしてみよう。
日本は急速に世界一の長寿国となり、元気な高齢者が増えている。「君の名は」に夢中になり、岸恵子をよく知る年齢層は、この本を薦めてくれた私の知人と同じ年齢層である80歳前後以上の高齢者であり、そうした元気な高齢層が「老いらくの恋」を夢見て、渡辺純一の小説顔負けに官能豊かに描かれた小説を求めているのであろう。
長寿高齢社会に突入した我が国の社会現象の一端として、この話題小説に考えを寄せた次第である。