日経新聞の最終面(裏表紙)には「私の履歴書」という欄があり、経済人・文化人など各界の著名人が自分の人生を一か月かけて綴っていきます。その欄を今月は長嶋茂雄が担当しています。
日経新聞だけに、執筆者は経済人が多く、普通は、父母のこと、幼年期・少年期のことにかなりの紙面を割くのですが、なんと長嶋茂雄は7月3日にして既に高校生になってしまいました。さすがせっかちで、動物的カンの持ち主である長嶋さんだなあと思うと同時に、実力だけが問われる勝負の世界に生きてきた人だけに、プロに入ってからの方が語るべきことがたくさんあるのだろうなと思います。
というのも、経済人(かんたんに言えばサラリーマン)は、どんなに実力があっても、20歳そこそこで会社のエースになることはなく、組織の階段を少しずつ登り、人生の終わり近くになりようやく会社のトップになるからです。実力だけがモノを言うプロ野球の世界と違い、会社ではやはりトップにならなければ、本当の意味で思ったことは出来ません。だから、自然と仕事のことだけではなく、自分の父母のことや子どもの頃のことを書かざるを得ないのでしょう。
しかし、長嶋茂雄は東京六大学(当時は下手なプロ野球チームよりよほど人気がありました)の超人気スターであり(当時のホームラン記録8本を樹立しました)、プロ入り後もいきなり二冠王で新人王となり、その後も現役時代・監督時代を通じて、日本野球界のいわば社長だったわけですから、子ども時代に紙面を割いている余裕はないのでしょう。これからの28日間に乞うご期待です。