私の履歴書の文章は、長嶋さんが自分で書いているのか、口述筆記(話したことを書きうつすこと)か分かりませんが、長嶋節が炸裂しています。
高校で遊撃手だった長嶋は、エラーが重なり三塁手にコンバートされますが、エラーの原因である腰高を身長が伸び続けて177cmになったためと言っています。当時は、177cmと言えば大きい方ですが、今のプロでは小さい方ですし、180cm以上で上手な遊撃手はいくらでもいます。そして、三塁についたことについて、長嶋はこう書いています。
「直後に三塁を抜けるかという強烈な打球を横っ跳びして好捕、体をひねって一塁へ矢のような送球。」
普通自分のプレーをこんなふうに言わないですよね。他の人が言ったら言い訳がましいことや、自惚れっぽいことも、長嶋さんが言うとそう聞こえないから不思議です。これは、長嶋さんが本当に心底そう思っているからでしょう。この天性のポジティブ・シンキングは才能ですね。簡単に真似できるものではありませんが、松井選手の不動心同様、こうした気持ちの持ちようは見習いたいものだと思います。