シーズン途中、というか、いよいよ優勝争いが激しくなる佳境にさしかかっている今、中日落合監督の今季限りでの契約満了による退任が球団から発表されました。「落合監督は輝かしい成績を残してくれたが、ここで新しい風を入れたい」とのコメントとともに発表された新監督は落合監督よりも10歳以上年上の70歳の高木守道氏です。高木氏は立派な野球人ですが、少なくとも新しい血ではありません。これを見ても、球団の発表がいかに空々しいものか分かります。
しかし、テレビの報道もいろいろなしがらみがあるものだから、何の背景の説明もなく、普通のニュースと同じようにしか報道しません。これだけ結果を出しているにもかかわらず、解任する理由はただ一つ。マスコミに対してまったく協力的ではなく、采配も勝つことだけを目的として面白くなく、そのせいで観客動員が低迷していると、球団が判断した、ということでしょう。
落合監督は、オレ流と唯我独尊のように語られますが、日本野球界のスーパースターのONや張本には敬意を払っています。そのONがマスコミやファンに対して、誰よりもサービスしていたのは、よく語られていたことであり、その点は見習っても良かったと思います(もちろん、それでも一義的には、監督の最大の役割が落合監督の口癖である勝つことであることは間違いがありませんが)。
しかし、落合監督がマスコミやファンにサービスしないからと言って、観客動員数が低迷したというのは因果関係がないと思います。もともと人気がなかったパ・リーグですが、最近では、ソフトバンク、ロッテ、日本ハム、楽天などみな人気があります。それは、地方へのフランチャイズとともに、球団マネジメントとして、かなり戦略的にファンの開拓や集客策、リピーター化などの取り組みをしているからでしょう。
その点、セ・リーグは、かつての人気に寄り掛かった巨人を筆頭に、巨人人気に依存した他チームも、主体的にファンを呼ぶ努力をしてこなかったと思います。中日の人気がないのも、そのためであり、悪いですけど、70歳で地味な高木氏を監督にしても、とても人気が出るとは思えませんし、勝つという点でも、落合監督より実績はなかったと思います。近い将来、立浪に禅譲するための布石でしょうが、立浪にすれば、すべて解決と思っていたら、立浪も、球団も苦労することは目に見えています。しっかり、スポーツビジネスとしてのマネジメントを考えることが必要でしょうね。
しかし、中日の選手自体にも華がないのも事実だと思います。今日、ハーラーダービートップに立ったにもかかわらず吉見投手なんて、顔も、投げ方も本当に地味で、パの華やかなエース陣に比べると、まったく存在感が薄いです。渋い実力者の森井も地味、井端・荒木の二遊間も素晴らしいですが、やはり地味です。
ひたすらに野球を追求し、勝利を追求してきた落合監督に、最下位が定位置だった楽天・野村監督のような広報担当の役割を求めるのは無理な要求です。また、ダルビッシュ、田中将大、中田翔、といった華のあるスター選手がいないのも、落合監督のせいではありません。花形監督やスター選手頼みで、ビジネスとしての野球を成熟させられないのは、巨人ばかりではなく、巨人に長年寄り掛かってきた、ほかのセ・リーグチームも同じだったんだと思わされます。
世間での評価とは別に、球界では、落合監督の野球への考えや取り組みに信奉する人は多いようです。また、遠くない将来、球界に復帰してほしいですね。そして、その時は、また一味違った姿で戻ってくれると、またまた面白くなると思うんですが、たぶん、スタイルは変えないでしょうね。
お疲れ様のその前に、意地でも、シーズン1位を見せてほしいですね。