アメリカの陸上や水泳、ヨーロッパのサッカーなどは、本番の五輪やW杯以上に予選が大変などと言われますが、今の日本フィギュアスケートはまさにそんな状況です。男女とも上限の3枠を持っていますが、そこに世界レベルの選手がひしめき合っています。
今日のテレビ中継を見ましたが、女子SPでは、緊張感の中、最終グループの前のグループでもミスする選手がおらず、15歳の宮原知子選手はトップグループを脅かす高得点を叩きだしました。
しかし、最終グループでも、久しぶりのトップレベルの大会となる安藤美姫がミスなく高得点を叩きだし、浅田真央選手はトリプルアクセルがやや回転不足となるものの、ここは圧倒的な力を見せつけトップに出ると、今季不調が続いた村上佳菜子が気迫のこもった演技で安藤、宮原をかわし2位につけ、号泣。そして、最後に登場したベテラン鈴木明子もこれまた気迫と情感あふれ、ミスのない圧巻の演技で、浅田選手に僅差の2位につけました。これだけ緊張感のある大会で、各選手ともものすごい集中力を発揮し、本当に魅せられました。
続く男子フリーの方もすごかったです。女子以上でした。まずは、グランプリファイナルに続き好調を維持する羽生結弦が、最初の4回転サルコウはGPファイナルに続いて失敗したものの、次の4回転をはじめとするジャンプは次々と決め、圧倒的な得点を叩き出し、一人高みに抜け出た感がありました。
問題は、2人目、3人目に誰が入るかです。本来なら当然決まっているはずの高橋大輔がヒザの故障でグランプリファイナルを欠場し、今大会も万全でないことから、俄然、大混戦となりました。
まず、今シーズンが最後となるベテラン織田信成が4回転を決めるなど手堅い演技を見せ2位に付けました。
続くエース高橋大輔は、昨日のSPで4位と出遅れ、今日はこれで最後となる覚悟で臨み、スケーティングのキレ、うまさは健在でしたし、気迫はこもっていたものの、やはりジャンプではケガと練習不足を補いようもなく、織田に及ばず3位につけました。しかも転倒した際に右手を切り、出血しながらの演技でした。
そして、町田樹が登場しました。今シーズはGPシリーズで連勝するなど絶好調で、4回転を飛ばせたら日本選手で安定感ナンバーワンでしたが、シーズン終盤では調子を崩し、GPファイナルではまったくいいところなしでした。そこから、五輪への思いを胸に復活し、シーズン序盤ほどの安定感はなかったものの、4回転も決めて、織田を大きく上回り2位に付けました。本人も演技内容に納得の表情で、得点が出る前から満足感が漂っていました。
そして、最後がカギを握る小塚崇彦です。今シーズンは不調に苦しみましたが、全日本フィギュアという舞台は、全員を持ち上げるのでしょうか。スケーティングには定評がありますが、4回転などジャンプではやや見劣りがする小塚選手が序盤の4回転を何とかこらえると、終盤でジャンプを一つミスした以外は、ミスなくキレのある演技を見せ、これまた織田選手を上回り、3位に入りました。
GPファイナル優勝・全日本フィギュア優勝の羽生結弦は自動的に代表決定です。GPシリーズで実績を残し好成績で2位の町田樹もほぼ当確でしょう。あとは、3位に入った小塚と今大会は5位に沈んだものの世界ランク3位の高橋大輔の争いになるのでしょう。
女子も、浅田真央はほぼ当確、残り2枠は明日のフリー次第で、鈴木、村上、宮原、安藤の誰が来てもおかしくありませんが、今日の出来を考えると、鈴木、村上が近いのかなぁ~と思いますが、いずれにしても、かつてない大激戦の日本フィギュア界ですね。