銅メダルをかけた男子サッカーの韓国戦に完敗しました。試合を見ていて、組織論の名著『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を思い出しました。最初に読んだのは10数年前ですが、参加している社外セミナーに関連して最近読み返していました。
日本軍が負けた要因は、いくつもありますが、その中の一つに「狭くて進化のない戦略オプション」ということがあります。日本軍は、過去に成功した戦術・作戦があると、それを徹底して磨き上げ、オペレーションを戦略レベルまで持っていくという特徴がありました。海軍だと、奇襲戦法、短期決戦、艦隊決戦主義で、陸軍だと、精神主義、歩兵主兵主義、白兵主義といったものです。これはこれで状況が合致すれば、成果をあげるもので、これ自体が間違いではありませんが、環境や状況が変わったら、別な戦略が必要になるにもかかわらず、一つの戦略に固執し、いたずらに敗戦を重ねたという面があります。
日本チームを日本軍に重ねるのは失礼ですが、若干重なって見えなくもありません。予選リーグの戦いぶりは、本当に見事でした。必ずしも当初からの戦略ではなく、たまたま初戦のスペイン戦で、前がかりでプレスをかけ、カウンターにかけるという戦略がずばりと当り、予選リーグを通じてその戦略を磨き上げ、準々決勝でもエジプトに大勝し、その戦略に自信を持ったのも理解できます。
しかし、準決勝のメキシコ戦では、1対2で敗れました。スコア以上の完敗でした。これは戦略が間違っていたというよりは、選手たちが消耗して、自分たちの戦略を出来なかったというのが実態です。いずれにしても、状況、環境が変わったのは間違いがありません。状況が変わったのですから、戦略も再考する余地があったと思います。
翌日の新聞では、清水秀彦氏が「この際、思い切って選手を入れ替えてみたらどうか」と書いていましたが、私も同感でした。宇佐美をはじめ控え選手はほとんど出番がなく、体力的には申し分ありませんし、何よりコメントからも試合に飢えていることが感じられました。ここ一番でその飢餓感をモチベーションに変えれば、おもしろい展開になると思われました。
しかし、今日もいつもと同じ先発メンバーでした。もちろん、一番近くで見ている監督やスタッフがそれがベストと判断したのでしょうが、監督自身がこの五輪で成功した戦い方に固執し、捨てきれなかったのではないかとも思えます。
今日のメンバーが特段に動きが悪かったわけではないかもしれませんが、結果は完敗でした。前半に大津がいい動きを見せて、相手を苛立たせる場面が何度かありましたが、他はやはり鋭さを欠き、とても予選の動きとは違いました。
やはり、ここぞという時に局面を打開できるような、戦略オプションを持ちたいですね。というか、日本チームも宇佐美、杉本、斎藤とタイプの違うFWを持っていたはずですが、それを十分に活かしきれなかった印象です。
まあ、後付けでは何とでも言えるわけで、選手交代について外野が適当なことを言うのは控えるべきなのは承知で言っていますが、今大会の前半戦は見事な戦いをしていただけに、今後はさらに高みを目指すためにも、指導者教育の中にも、戦略論や組織論、意思決定論なども盛り込んでほしいと思います。
しかし、一番悔しいのは選手たちに違いなく、これを糧にまた一つ大きく飛躍して、次の舞台に帰ってきてくれるでしょうね。
今日のジョグ
60分くらい経過したところで、テレビを消し、クロの散歩にいき、ジョギングに出かけました。
11km 1時間13分42秒
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