安保法制については、与党は時間をかけて議論を尽くしたと言っていますが、中谷防衛大臣の答弁の右往左往を見ても、とても議論を尽くしたとは思えませんし、国民どころか、法案を通そうとしている与党議員ですら理解しているのかどうか怪しいものです。存立危機事態って、一体何ですか?
この法案の一番の推進者である、安倍首相自体が、ホルムズ海峡の機雷掃海しか想定していないと言ったかと思うと、ホルムズ海峡は想定していない、などと言う始末です。これで国民の理解が進むはずがありません。
そして、ニュース番組の街頭インタビューを見ていると、そもそもそれ以前の問題ではないかという勘違いも多くみられました。賛成する意見の理由として、「他国(たとえば中国)に攻められた時に、対抗できないと困る」というものがありました。
これは個別的自衛権で、戦争放棄を旨とする日本国憲法でも専守防衛として当然に認められると考えられるものです。この憲法解釈を曲げて、海外における同盟国の戦争に加担する集団的自衛権を認めさせようとするのが、今回の法案です。
こんな基本的な違いも理解せずに、簡単に「賛成」など言ってしまう国民がいるのも事実であり、こうした事実が与党に国民をないがしろにする力を与えてしまっているのも、悲しいですが、現実です。結果、安倍首相が説明した子ども騙しもいいところの「船に乗る母子のフリップ」や、まったく心のこもらない戦後70年談話などを信じ込んでしまう人もいて、これがまた、低レベルな首相に力を与えてしまっています。
私自身は、いろいろなこと総合的に考えて集団的自衛権には反対ですが、別に賛成の人がいたっていいと思います。違った考えを持ち、主張することが許されるのが、民主的な国家だからです。しかし、今回の一番の問題は、民主主義でもっとも大切な適切な手続きを踏んでいないことと、「嘘」ばかりなことです。
何かを実現しようと思ったら、正々堂々とやるべきです。おじいちゃんやパパを越えたいというくだらないナルシシズムに酔って国の道を誤らせる姑息な首相と与党には、猛省をうながしたいですし、国民はきちんと審判をくだすべきでしょうね。