ひげ爺のお産・子育てご意見番

子どもは育つ力を持って生まれてきますが
親に子育てする力が減っています。
親育て支援の中で感じたことを書いています。

VBACについて

2009年07月20日 | 周産期医療
トウモロコシが後少しで食べられるようです。
もぎたてを生のまま食べると、とても甘くて美味しいです。
Photo

ある産科医からのVBACへの思いを寄せていただきましたので紹介します。
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見回す限りで現在VBACを引き受けてくれる病院・医院はありませんね。
「石橋をたたいて、渡らない」ような産科の現状にしたのは、「何かあったら訴えようとする患者さん」と、ビビッテいる医者との共同作用の結果ですね。
前期破水して24時間たったからと言って、帝王切開するなんて30年前の産科では考えられないですね。
逆子でも経膣分娩していました。
また、逆子を治す「外回転術」も行われていました。
子宮破裂は時々ありました。赤ちゃんは元気に生まれて、問題ありませんでした。赤ちゃんが生まれてからすぐ内診を行い、子宮が破れていないかチェックします。子宮が破れていたら、それから一応緊急開腹術を行い、破れた子宮を縫合していました。つまり子宮は破れても、赤ちゃんは上手く生まれてくれるのです。既往の帝王切開創は薄いから破れるので、出血は余り大したことはありません。破裂と言うイメージからはほど遠いものです。こうして幸い私は、VBACで母児に問題を起こしたことはありません。しかし確かに救急で運ばれて来た妊婦で、破れた創から赤ちゃんがお腹の中に飛び出して亡くなっていたことはありました。今ならこの様な場合はすぐ訴えられるのでしょうね。

「必要が生じれば、何時でも帝王切開ができる準備を整えた上で経膣分娩を試みる」です。
細かく言えば、何時でもとは さあ手術となると15分以内。専門の麻酔医と新生児救急蘇生の出来る小児科医立ち会いが必要。こんな出来るわけがない準備を要求されているのです。
患者さんにも知ってもらわなければならないのは、何時どうなるか分からないVBACですので、陣痛が始まれば産科医、麻酔医、新生児医その他のスタッフが、生まれるまで傍で観察・待機せよというならどれほどの費用がかかるのか。100万どころではすみません。その様な費用負担をすることなく、安全を買うことは出来ないと言うことです。こうした本当の議論が世の中で行われていないのが問題です。
だから医者側は、何の躊躇もなく不安材料のない帝王切開を選ぶのです。
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産科医療は、患者、医師、医療機器メーカー、マスコミ、法曹界などの相互作用で疲弊してしまったのです。
再生は難しいでしょうね。
患者の側がお産について、人任せではなく「自分」のものとして認識することです。
その上で、産みやすい、心と体をつくることです。
その努力を怠っていても「いいお産」はできません。

お産は、生と死が一対です。




コメント (2)
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