ひげ爺のお産・子育てご意見番

子どもは育つ力を持って生まれてきますが
親に子育てする力が減っています。
親育て支援の中で感じたことを書いています。

奈良県のお産で知事に要望書

2007年09月01日 | 周産期医療
昨日(8月31日)、奈良県知事に下記の要望書を、午後2時に提出してきました。
今後、この要望がどのようにいかされるか見ていきます。
県庁には、電話は多くかかって来ているそうですが、要望書は始めてだとのことでした。
 この後は、厚生労働省に要望書を後日提出します。
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                               平成19年8月31日
奈良県知事 
 荒井正吾様
                     特定非営利活動法人たまごママネット
理事長 新井一令
   〒550-0006
                大阪府大阪市西区江之子島1-7-3
     

要 望 書
  貴職におかれましては、日頃から奈良県の発展にご尽力をたまわりあつく御礼申し上げます。
さて、平成19年8月29日に、妊婦搬送に係わる医療体制の不備が明らかになりましたが、今回の事件はある意味では氷山の一角ではないかと疑いたくなります。
たまたま、受け入れ搬送先に到着する前に、交通事故に遭ったために判明したのではないでしょうか。

二度とこのような事例を起こさないためにも、周産期医療体制の充実と県民への妊娠期の啓蒙活動を強く要望いたします。

奈良県次世代育成支援行動計画の実現
 奈良県では、昨年の8月、出産後の女性が転院先の病院で、死亡したケースの前年に策定された「奈良県次世代育成支援行動計画」の基本目標にあります。
結婚・出産・子育てを社会全体で支えていく意識づくり
推進施策の体系1
結婚・出産・子育てを応援する社会意識啓発の推進
(1)結婚・出産・子育てに関する意識啓発
 子育ては次代の担い手を育成する営みであり、社会全体が子どもを育てる義務を負っているという観点から、社会のあらゆる分野で、結婚や出産、子育てを歓迎し応援する気運を醸成し、安心して子どもを生み、育てることができる社会の形成について理解を深めるための啓発を行います。」がこの行動計画は残念ながら絵に描いた餅です。

「母性並びに乳児及び幼児等の健康の確保及び増進
 女性の社会進出の進展による共働き家庭の増加等により、母子を取り巻く環境が大きく変化する中で、若い世代が安心して子どもを生み、育てられるよう、妊娠・出産・新生児・乳幼児期において疾病の予防と健康管理をはじめ、思春期の保健対策、発育・発達の問題や慢性疾病のある子どもへの対応など、母子保健医療対策の充実を図ります。
 あわせて、健康診査の場等を利用し、母親等保護者に対する育児支援を視野に入れた相談をより充実し、育児不安の軽減に努めます。
 また、乳幼児期からの適切な食事の摂り方や望ましい食習慣の定着、食を通じた親子や家族、仲間との関わりを深めることにより、子どもの健全育成を図ります。
 さらに、新生児集中治療室の整備や小児専門医による電話相談窓口の開設による周産期・小児医療体制の整備に加え、医学的知識等の情報提供や不妊治療への助成などにより不妊に悩む方を支援します。」とあります。
目標数値を設定して行動計画を実施することを要望します。

上記の行動計画にありますように。母子保健医療対策の充実を図り、県民の結婚や出産・子育てしやすい社会を形成するとの目標ですがその計画は実行されていません。一日も早い体制を作成することを要望します。


周産期母子医療の緊急搬送システムの不備
他府県への依頼
 大阪府産婦人科診療相互援助システムの利用を、知事は考えていると発言がありましたが、昨年、近畿圏知事会議で話題になりました。
30日の知事の会見では、大阪府に依頼するとのことですが、提携文書を交わすのでしょうか、またそのシステムを利用するために応分の費用負担をする予定でしょうか。
これについては「他力」ではなく「自力」で速やかに緊急避難的に策定することを要望します。

患者搬送システムの問題点

 奈良県には二つの救急搬送システムがある。救急が一般の救急患者の受け入れ先を探す「救急医療情報システム」と、医療機関がハイリスクの妊婦や新生児を別の医療機関に搬送する「周産期医療システム」に救急からの搬送をのせる仕組みを追加することを要望する。

奈良県産婦人科相互診療援助システムを速やかに作るべきである。そのためには、知事がリーダーになり、県議会、健康安全局、県立医大、医師会、奈良県産婦人科医療部会などと再発防止に向けて検討する委員会の運営をしていただくように要望します。

県立奈良病院の医師の増員について
 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医5人が04、05年の超過勤務手当の未払い分として計約1億円の支払いと、医療設備の改善を求める申入書を県に提出した。
医師らは「報酬に見合わない過酷な勤務を強いられている」と訴えていると言われていますがこのような状況では医師は確保出来ません。
安心して医師が働ける労働環境が整った職場でなければ医師の増員は不可能です。

深刻さ増す産科医不足への対応
不足する医師の確保に奔走されているとの報道をめにしますが、労働条件や満足して働ける環境が整備されていないのでおそらく希望者はいないのではないでしょうか。
 奈良県は来年5月、県立医大病院に高リスクの妊婦に対応する総合周産期母子医療センターを開設する計画だ。開設にはさらに3人程度の産婦人科医が必要で、県は東京などのリクルートに行っていると聞くが、奈良県に就職する医師はいないのが実情です。

奈良県が搬送先として頼る大阪も、現状は厳しい。周辺の産科の分娩制限や産科の廃止が相次でいる。大病院に正常妊婦が集中し、搬送受け入れ率は低下しています。

 医療の向上や医師の努力で妊産婦や赤ちゃんの死亡率は抑えられてはいるが、医師の
不足が大きく、地域的な対策には限界がある。県の真剣な医師確保策が求められている。

奈良県立医大附属病院内に周産期母子医療センターの設置等に及び人員の確保に予算が必要になります。増額を要望します。県民の数から言って10床では少ないと言わざるを得ません。全てを逼迫した予算のせいにしますが、必要な予算を県民の医療のために計上しなければなりません。

予算の増額がなければ、奈良県で周産期医療に携わりたいという医師は現れないと思います。
医師が働きやすい労働条件がなければ、リスクの高い奈良県に就職する医師はいません。
医師は周産期医療に生き甲斐とやりがいを求めているのです。
安心して働ける条件を整備するこことが急務です。そのためにも予算の増額をしていただくように要望します。

妊娠出産のための県民への啓蒙活動
 今回のようなことが起きないようにするためには医療の体制作りも必要であるが、正常なお産はお産は「医療」ではありません。
命を授かった、そしてこれから授かるかも知れない女性の意識改革が急務です。
かかりつけ医と良好な医師患者関係を結び、毎日規則正しい生活をして、お腹の子どもを大事に育もうという心の醸成が必要です。「妊娠したら、その胎児への責任は妊婦と夫が最も大きい」く自己管理が必要です。
お産を取り巻く環境は奈良県においては厳しい環境におかれています。
正常なお産とハイリスクなお産とは区別されるべきです。
医療を必要としないお産までが基幹病院で行われている現状を変えていくべきです。
正常なお産は、助産師による自宅分娩や有床助産院でのお産や有床産婦人科など、産婦が選択できるように情報提供をしてください。
近年、食生活の変化や、環境の変化、不妊治療などにより、妊娠中毒症や早産などハイリスクなお産が増加しています。それらの予防のための情報提供を県民に提供し広報していただきますよう要望します。

今回の最大の問題点は、奈良県の医療体制の欠陥と県民への妊娠・出産。子育て等の母子保健医療対策が計画的に行われなかったことだと思います。

最後に、今回の件を教訓として、再発防止及び安心してお産・子育てができる奈良県を目指して
県民、県、医師会、県立奈良医大、産婦人科医療部会、助産師会、をまじえた委員会の設置を強く要望いたします。県民の健康福祉の増進を図っていただくよう要望します。

今回の件を教訓に安産・安心の住みよい奈良県にしていただきますよう、知事がリーダーシップを発揮し全国のモデル県になっていただきますようご尽力をいただきますようお願い申し上げます。

最後に、医療の向上や医師の努力で妊産婦や赤ちゃんの死亡率は抑えられてはいるが、医師の不足が大きく、地域的な対策には限界がある。国の真剣な医師確保策が求められている。
国への積極的な働きかけを切望します。
以上
************************
この後の展開にご期待ください。



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1 コメント

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おはようございます。 (奈良県民)
2007-09-01 09:36:40
おはようございます。

ひげ爺様・・・なんとお礼を言っていいのか分かりません。私も周産期の現場から立ち去ろうとしていましたが、踏みとどまります。もう少し、がんばってみます。

今の医者は「患者を思いやる気持ち」「いのちを大切にする気持ち」がないとよく聞きます。今も昔もがんばっているのですよ。1週間に一度、パンツを取りに帰る以外はずっと病院に居る研修医。昨日の化粧を手術場の手洗い場で落とす女医。下手したら、24時間以内に口にしたものはアクエリアス500ccだけだった・・・。ぎりぎりの状況で、自分の健康も省みず、家族を放置し、子供に人見知りをされ、それでも医師の使命感と、「ありがとうございました」の笑顔でなんとかもっているのです。
最近の患者さんたちは、笑ってくれないです。
助かって、当然・・・って顔をします。
俺たち、患者様、お客様、神様・・・って顔をします。

最近は、医療も発達して、助けられるいのちがちょっと増えました。
でも、世間ではいのちは大事にされなくなりました。
簡単に他人のいのちを奪う若者が増えました。
助けられないいのちの存在は忘れ去られています。すべて、医者の(=自分たち以外の)責任です。

日本では10万人に6人の妊婦が亡くなっています。昭和25年では10万人対161人でした。155人の妊婦が助かったのは「当然」で、助けられない6人は「医者が悪い」のです。

そして、医師は燃え尽き、立ち去ってゆくのです。
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