原当麻駅近くに栃木県佐野の天應院が興りとされる曹洞宗寺院「龍淵山天応院」はある。明応4年(1495)季雲禅師が開山。当地を所領していた北条氏照の娘貞心尼によって中興開基の伝えがある。創建(伝)は慶長元年(1596)。本尊は虚空蔵菩薩(十一面観音)。慶安3年(1650)9石7斗の朱印を拝領、徳川家光の養育役の青山忠俊が再中興。明治6年管内区画改正時、県内が20区の下に185の番組が置かれ、相模原は20組に属した時の役所が当寺に設置された。両脇には雷神、風神像を配した「山門」を抜けると石畳の参道、その両脇の幾つもの石碑が建てられている。その先に6年前に完成した入り母屋造りの「本堂」と「庫裏」、「客殿」、左に下溝より移築した「薬師堂」がある。徳川家光の養育役であった青山忠俊の墓所もある。当寺は先に訪れた磯部の「能徳禅寺」を擁しており、また武相四十八ヶ所観音霊場32番、関東九十一薬師霊場19番の札所である。(1811)
町田市野津田町に市立都市公園で「新東京百景」、「日本の歴史公園100選」、「東京都指定名勝」に選定・指定されている「薬師池公園」はある。1976年(昭和51)開園、面積は141,654㎡。公園の中心部に美しい景観を創り出している「薬師池」がある。当園には江戸時代の「旧永井家住宅」と「旧荻野家住宅」2棟の古民家が移築復元されている。国の重要文化財指定の「旧永井家住宅」は多摩丘陵で代々農家を営んでいた家屋で建築年代は17世紀末頃と推定される住宅である。都内では最古の建物(住宅)で「寄棟造」、「茅葺」である。正面に土庇、土間側面に突出部を設け屋根を葺いている。屋内平面は「広間型三間取り」で下手を土間、床上には「ヒロマ(広間)」、「デイ(板敷)」、「ヘヤ(部屋)」の構成となっている。古の暮らしぶり、生活の匂いが感じられる建物(住宅)の周囲はカエデ、ハゼ、落葉樹の紅葉で彩られていた。(1812)