伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年から3年連続目標達成!

マラソントレーニング

2006-08-04 23:24:17 | 趣味の本・暇つぶし本
 日本の著名なマラソン選手たちのマラソンについての考え方やトレーニング方法についての取材記事とインタビューをまとめた本です。マラソンマガジン「リクール」(そんなのがあるの知りませんでしたけど)の過去の掲載記事を再編集したムック本だそうです。

 同じテーマについて選手ごとに意見が違って、奥が深いというか、個性を感じました。
 私たちの世代には忘れられない瀬古と中山が冒頭に来て違いを際だたせていたり、意外な一面を見せたりが興味深く思えました。
 野口みずきって、少ない月で900km多い月には1200kmも走っているんですね(44頁)。前は商品先物取引会社の広告塔だったので、イヤだなと思っていましたが、それもやめたことだし今後は素直に応援する気持ちになれそうです。
 後半は取材記事が多くて選手の肉声が感じにくくなってきて、読んでてだらけてきます。増田明美が高校の頃毎日腹筋3000回やってたって話(91頁)には目が覚めましたけど。


マラソンマガジン・リクール編集部
ベースボール・マガジン社
2006年7月1日発行
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柘榴のスープ

2006-08-04 09:08:37 | 小説
 イスラム革命前夜のイランから逃れてロンドンに渡り、アイルランドの田舎の村でカフェ(ペルシャ料理店)を開くに至った3姉妹が、村の実力者らの嫌がらせと戦いながら村に受け入れられていく過程を描いた小説です。
 回想で登場するイラン時代は、両親の死亡後、長女は愛した男性に引っ張られて革命グループに関わって拘束され、その拘束中に次女が革命グループに入って同士の男性と結婚してその後別れてもその暴力男につきまとわれと、運命に翻弄されます。パキスタンの難民キャンプ経由でロンドンにたどり着いた後、イラン時代に有名料理店で皿洗いをしながら料理の専門知識を学んだ長女と看護師となった次女が姉妹の生活を支えて行きます。
 しかし、辛い時代をくぐり抜けてアイルランドの村に来てからは、一部の村人の嫌がらせを、長女の料理の腕と、次女の勤勉さ、三女の魅力で跳ね返し、着実にファンを増やしてゆきます。
 あからさまな戦いではなく、地道にしたたかに前向きに生きて行く姿が描かれています。比較的地味な展開の小説ですが、ポジティブな暖かな読後感を持ちます。

 章ごとにペルシャ料理のレシピがあり、さまざまなペルシャ料理の香りが漂うような描写が、軽さと暖かみを加えている感じです。
 舞台が1987年頃とされることもあって、80年代ポップスが頻繁に登場することも、私たちの世代にはなつかしい親しみを感じさせます。私としてはNENAの 99Luftballons が出てきたのにちょっと感激(87頁。でもこれ、日本語タイトルは「ロックバルーンは99」で、「恋のバルーンは99」じゃないですけど。内容も反戦歌なんですけど)。
 そういう料理とかポップスとかの小道具が効いてという面もありますが、地味だけどちょっといい感じに仕上がっています。


原題:Pomegranate Soup
マーシャ・メヘラーン 訳:渡辺佐智江
白水社 2006年7月10日発行 (原書は2005年)

朝日新聞は9月3日に書評掲載
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする