感染症とワクチン開発の現状について説明する本。
ワクチン開発の歴史と現状、それに絡めて感染症の説明をするという体裁の本ですが、後半は、WHOが1980年に根絶宣言を出した天然痘の歴史とワクチン開発、生物兵器としての使用の可能性とその対策が中心になります。
生物兵器の開発に手をつけたのは関東軍731部隊であり、欧米でバイオテロ対策への取組が始まったきっかけもオウム真理教によるバイオテロ(ボツリヌス毒素と炭疽菌)と、いずれも日本人の手になるものでわが国はバイオテロの先進国などということが紹介されています(64~65ページ)。しかし、著者らが開発研究に携わっていた天然痘ワクチン(LC16m8ワクチン)が1975年に製造認可にこぎ着けたのに、日本では1956年以降天然痘患者の発生はなく、1976年には予防接種が廃止されてしまい、せっかく開発した安全性の高い新ワクチンは実用化されなかった、それが天然痘の感染率及び致死率の高さ、人以外には感染しないという特性、根絶されたためワクチン等の備えが手薄という理由から生物兵器として極めて有望と考えられ、バイオテロへの備えとして著者らの関与した天然痘ワクチンに注目が集まっている、アメリカ政府から共同開発の申し入れがあったということをいいたくて書かれた本だなぁというのが、読み終わっての一番の感想です。
杉本正信、橋爪壮 岩波科学ライブラリー 2013年4月5日発行
ワクチン開発の歴史と現状、それに絡めて感染症の説明をするという体裁の本ですが、後半は、WHOが1980年に根絶宣言を出した天然痘の歴史とワクチン開発、生物兵器としての使用の可能性とその対策が中心になります。
生物兵器の開発に手をつけたのは関東軍731部隊であり、欧米でバイオテロ対策への取組が始まったきっかけもオウム真理教によるバイオテロ(ボツリヌス毒素と炭疽菌)と、いずれも日本人の手になるものでわが国はバイオテロの先進国などということが紹介されています(64~65ページ)。しかし、著者らが開発研究に携わっていた天然痘ワクチン(LC16m8ワクチン)が1975年に製造認可にこぎ着けたのに、日本では1956年以降天然痘患者の発生はなく、1976年には予防接種が廃止されてしまい、せっかく開発した安全性の高い新ワクチンは実用化されなかった、それが天然痘の感染率及び致死率の高さ、人以外には感染しないという特性、根絶されたためワクチン等の備えが手薄という理由から生物兵器として極めて有望と考えられ、バイオテロへの備えとして著者らの関与した天然痘ワクチンに注目が集まっている、アメリカ政府から共同開発の申し入れがあったということをいいたくて書かれた本だなぁというのが、読み終わっての一番の感想です。
杉本正信、橋爪壮 岩波科学ライブラリー 2013年4月5日発行