鹿島春平太チャーチ

「唯一の真の神である創造主と御子イエスキリスト」この言葉を“知っていれば”「天国での永生」は保証です。

5.新たな地獄危機の出現:共産圏の強大化

2013年08月03日 | 聖書と政治経済学




米国は世界の貧困を無くすれば、人類が二つに分かれて殺し合うとう地獄の危険性は、
あらかたなくなると思って世界運営に着手した。
ところが戦後すみやかに、新たな世界戦争要素が出現した。共産圏勢力の強大化と敵対姿勢がそれである。
米国は貧困打開に加えてこれにも対処せねばならなくなった。

共産主義国は、すでに第一次大戦時にロシアにおいて出現していた。
ロシアは周辺地域を取り込んでソビエト連邦という共産圏を形成した。
そしてこの勢力は第二次大戦直後のどさくさに紛れて、東欧州諸国も共産陣営に取り込んだ。
さらにまもなく中国も毛沢東の共産党によって共産国化した。
1958年にはキューバでも社会主義革命が起き、共産圏は世界を二分する強大な勢力になった。




<暴力革命による世界共産化を志向>

この勢力は、全世界を共産国化するという強い志向をもっていた。
その志向は搾取のない平等社会を実現するという、正義感に裏付けられていた。

同時に、その変革手段として、暴力革命を正当としていた。
この暴力革命思想は世界共産化に当てはめると戦争による他国の共産化になる。
ソ連を頭とする共産圏諸国は、戦争をもってしても世界の共産化は実現さるべきという基底思想をもっていた。

つまり、共産圏は攻撃的・敵対的だったのである。
このあたりの思考構造はもう少し詳しく把握しておく必要がある。




<マルクス経済学の思想>

社会主義思想は、マルクスという経済学者に造られた経済学から生まれている。
ここでこの思想の概略を示しておこう。

+++

彼の経済理論のほとんどは、資本主義の矛盾分析で構成されている。
彼はいう~。

~資本主義経済では、資本家が機械設備、原料を私有し、労働者を雇って生産をしていく。

その際、資本家は労働者が生産に貢献した価値の分(これを投下労働価値という)だけの支払をしない。
労働者の弱みにつけ込んで、過少支払いをし、残った分(これを搾取分という)を我が物にする。
そして、その一部を贅沢な生活に使うが、残った分を機械設備に再投資する。

すると、生産効率は上がって、従来と同じ量の生産をするのに、より少数の労働者で済むことになる。
失業労働者は増大し、これが失業者のプール(産業予備軍という)を大きくしていく。
さすれば労働者は賃金交渉にますます不利になり、資本家はさらに大きな搾取をすることが出来る。
そしてそれを再び再投資して生産効率を上げる。

・・・以下、このサイクルが続いていき、資本家はどん欲に富を増やし、労働者はますます困窮していく。




だが、この過程は長くは続かない。
なぜなら資本家は一握りの人々だ。かれらが贅沢するといってもその商品消費量は知れている。
結局商品の大半を買うのは労働大衆だ。ところがこれが窮乏化していくのだから、売れ残り商品が増えていく。
売れなければ生産が出来なくなる。生産力が有り余っているにもかかわらず、生産活動が出来ない。
これを「豊富のなかの貧困」という。

これが資本主義の矛盾だ。なぜこんな事が起きるかというと、生産手段の私有を認めているからだ。
これが矛盾の根源だ。これをとりはらえば、矛盾はなくなる。
生産手段を公有化すれば搾取も不平等も、資本家のどん欲もなくなる。

だが、私有財産制度は既得権として資本家によって守られている。
彼らは政治権力をも手中に収め、私有財産を手放さない。
だから、生産手段の公有化は、力による政治革命によるしかない。
力による革命、すなわち暴力革命である。
これだけによって、貧困に苦しむ大衆もなくなり、平等の正義が実現されるのだ。

・・・マルクスは、こういう経済理論で人類世界に社会主義思想を導入した。
そしてこの思想は、人々の社会正義、平等への渇望に激しくかみ合った。
庶民大衆の貧困を省みず贅沢生活を続ける資本家階級への憎しみもかき立てた。
心揺さぶられた人々は、正義と平等の理想と富裕者への憎しみに燃えて、社会主義革命に身をなげかけるのであった。




<核爆弾技術も盗まれる>

そして社会主義革命が、1917年ソビエトにおいて実現したのである。
のみならず、ソ連は他国にも社会主義革命を輸出していった。
そして、第二次大戦後間もなく、世界の半分近くが社会主義国になってしまった。

世界は、社会主義圏と資本主義圏とに二分された。社会主義者はそれに飽き足らず、残った資本主義国においても暴力革命を起こし、全世界にみずからの正義のシステムを力でもって実現しようと熱望した。

力とはすなわち暴力であり、国家のもつ暴力手段とはすなわち武力であり軍隊だった。
だが、戦争直後には米国の軍事力は圧倒的だった。核兵器という軍事手段をもっていたからである。

だが、共産圏の主導国ソ連は、スパイ活動によってそのノウハウを楽々と盗み取った。
これをやられやすいのが、人民の自由な思想と行動を宝にしている国の弱点であった。
そしてこの兵器技術は、中国を初めとする他国にも広がってしまった。

米国の圧倒的武力優位は消滅した。
この状況のなかで米国は、世界大戦なき世界運営の重荷を担わなければならなくなったのである。


(続く)









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