最近、ブルース・リーの出演作を何本か観た。小中学生の頃、カンフー・ブームがあり、適当にテレビで観たのかもしれないが、記憶がごちゃごちゃになってよく覚えていない。(そういえば、タイトル画面では、無理やりテレビ画面に収めるために縦長になっていたな・・・。)
■ ブルース・リー『ドラゴンへの道』(1972年)
ローマにやってきたリーは、マフィアから、中国料理屋を護る破目になってしまう。ブルース・リー自らの監督作だが、変にコミカルな作りが空滑りしている。
最後に円形闘技場においてチャック・ノリスと闘う場面が最大の見もの。やはり、モハメド・アリのように軽やかなステップを踏まないとリーは強さを発揮しない。
ネタという点では、途中で日本人格闘家と闘う場面が白眉である。日本人のくせに、リー(タンロンという役名)に対して、地の底から響いてくるような声で、「お~ま~え~ぐゎ~タァンロォンくゎぁ~」と絞り出すのだ。凄すぎて笑うより痙攣する。
■ ロバート・クローズ『死亡遊戯』(1978年)
リーが1973年に亡くなる前年に撮ったフィルムをクライマックスにもってきて、前半の展開を代役を使って撮った作品。代役は極力顔をみえないようにしており、ときどき挿入される生前のリーの顔との組み合わせがひたすら不自然。特に、リーの代役が鏡に向かっている場面で、顔の部分だけリー(本物)の写真を貼っているところには、引いてしまった。
そんなわけで、見所は、最後に塔を登っていっては敵をひとりひとり倒す場面であり、これだけで不自然さを許してしまう。
※ほんらい使われるはずだった場面を含めた『死亡的遊戯』というフィルムがある(加藤久和さんにご教示いただいた)。
リーの仲間2人の格闘シーンは物語の都合上カットされたようだが、それを除いても、勿体ないところばかりである。これを観ると、フィルムの後半でナレーションが囁く「He is the greatest.」ということばが実感できる。
○死亡的遊戯①
○死亡的遊戯②
○死亡的遊戯③
○死亡的遊戯④
○死亡的遊戯⑤
■ ウー・シーユェン『死亡の塔』(1980年)
これもリーの死後に作られているため、やはり不自然極まりない。物語の途中でリーが死んでしまい、その弟だというタン・ロンが突然主役になる。(前半は、『燃えよドラゴン』の未発表フィルムをつなぎあわせたという。)
特にみるべき点もないか・・・。
●参照
○ロバート・クローズ『燃えよドラゴン』(1973年)