新宿ピットイン昼の部(2018/2/12)。やっぱりかなり人が入った。
早坂紗知、泉邦宏、松本健一、藤原大輔 (sax)
吉田隆一 (bs)
田村夏樹、福本佳仁、渡辺隆雄、城谷雄策 (tp)
はぐれ雲永松、高橋保行、古池寿浩 (tb)
藤井郷子 (conductor)
永田利樹 (b)
堀越彰 (ds)
ファーストセットは、オーケストラ東京の『Peace』からの選曲。藤原大輔のロジカルでふくよかな音色、松本健一の確信犯的なふん詰まり、集団のなかでも余裕で浮かび上がる泉邦宏のわけわかんなさ、においが立ち込めるような永田利樹のベース、早坂紗知の勢いとファナティックさ、吉田隆一の音の幅広さ、堀越彰のはじけぶりなど、個人技の面白さ満載。それと同様に、リーダー藤井郷子により自在にホーンをコントロールするアレンジと指揮の面白さがあった。
セカンドセットは新曲ばかり。うって変わって、藤井さんは大きく八の字を描いたり、腕をジグザグに動かしたり、手をひらひらさせたり。それはご本人の説明によれば、ブッチ・モリスのコンダクションを意識したものであり、演奏者はほぼ初見でサインに応じてインスピレーションによる演奏を行う。その自由さの分だけ、楽しさが溢れ出るような雰囲気となった。藤井さんは、「野放しの野獣が飼い馴らされないのが楽しい」と言った。
ここでも個人技は当然のように炸裂。早坂さんは周囲の空気にピキピキと亀裂を入れるような強度で吹き、アルトとソプラノの2本吹き。吉田さんは悪乗りのように爆裂、マシンガン。泉さんがそれに脱力する声を合わせた。
田村さん指揮の曲は傑作で、両腕や指で無茶振りするように演奏者を指名し、また次の曲ではそれぞれに声で表現させた(爆笑)。
驚くほどアナーキーで魅力要素だらけのオーケストラ。次は8月の初めにどこかで演奏して、8月14日に江古田のBuddyでレコーディングライヴを行うそうである。
ちなみにわたしが藤井さんのオーケストラを前回観たのは(調べてみると)2000年10月29日のことで、諸事情あってトラで師匠の松風鉱一さんが入り、誘われてNHKでの収録を観に行ったのだった。随分前だな~。
メンバーは以下らしい(半分くらいしか覚えていない)。永松賀津彦さんはいつ「はぐれ雲永松」になったのだろう。
藤井郷子 (p)、立花泰彦 (b)、植村昌弘 (ds)、田村夏樹、竹田恒夫、福本佳仁、渡辺隆雄 (tp)、永松賀津彦、東哲也、宮内岳太郎 (tb)、松風鉱一、泉邦宏 (as)、片山広明、松本健一 (ts)、吉田隆一 (bs)
●藤井郷子
晩夏のマタンゴクインテット@渋谷公園通りクラシックス(2017年)
This Is It! @なってるハウス(2017年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)
藤井郷子『Kitsune-Bi』、『Bell The Cat!』(1998、2001年)