Sightsong

自縄自縛日記

ヒグチケイコ with ルイス稲毛、ナカタニ・タツヤ@下北沢Apollo

2022-07-31 07:25:35 | アヴァンギャルド・ジャズ

下北沢のApollo(2022/7/30)。

Keiko Higuchi ヒグチケイコ (vo, p)
Louis Inage ルイス稲毛 (b)
Tatsuya Nakatani ナカタニ・タツヤ (perc)

ともかくも陣内に斬り込んでゆくベーシストとパーカッショニスト、やがてヒグチケイコさんが肩を左右に揺らすように入るとかれらも応じる。ヴォイスの揺らぎがサウンド全体の揺らぎへと瞬時に進化する、これは不定形の凄みである。

<All Blues>とともにエクスタシー直前の色気がルイスさんの捲り上げるベースにあらわれたことも、<Sometimes I Feel Like a Motherless Child>において中谷さんの不規則な打音に呼応してケイコさんが痙攣したことも、愉しかった。ニルヴァーナでは終わらずもう1曲。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, XF35mmF1.4

●ヒグチケイコ
むらさきの色に心はあらねども深くぞ人を思ひそめつる(Albedo Gravitas、Kみかる みこ÷川島誠)@大久保ひかりのうま(2017年)
Psychedelic Speed Freaks/生悦住英夫氏追悼ライヴ@スーパーデラックス(2017年)
Kiyasu Orchestra Concert@阿佐ヶ谷天(2017年)
第三回天下一Buzz音会 -披露”演”- @大久保ひかりのうま(2017年)

●ルイス稲毛
神田綾子+ルイス稲毛@東北沢OTOOTO(2022年)
落穂の雨@稲毛Candy(JazzTokyo)(2022年)
福岡林嗣+ルイス稲毛+川島誠@高円寺Fourth Floor II(2022年)

●中谷達也
ドーヴィッド・シュタッケナース+秋山徹次+中谷達也@東北沢OTOOTO(2020年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2014-16年)


TRY ANGLE/松丸契+井野信義+山崎比呂志@なってるハウス

2022-07-16 23:34:06 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2022/7/16)。

Kei Matsumaru 松丸契 (as)
Nobuyoshi Ino 井野信義 (b)
Hiroshi Yamazaki 山崎比呂志 (ds)

松丸さんのアプローチがおもしろい。ファーストセットではサウンドの主領域から敢えて外に突き出るところから始めて、管の響きを手段としてふたりと並走。セカンドセットでは速いフレージングをさまざまに展開させつつ、周波数を中へ外へと柔らかく出し入れする。右手を左手と同じキーに持ってきて循環呼吸とともに起伏のある雲を創出する局面もある。最後はサウンド領域を思い切り強く外に拡張した。

大きなうねりをもつ脈動のような山崎さんの音は、つねにあるべきところにあることが、音が発せられた直後にわかる。そして井野さんのピチカートは上から下までの高い運動性をもち、これみよがしに響かせるありようとは正反対のところにあって、ずっと中心からサウンドに色気のある振動を与え続けている。大ヴェテランふたりの惚れ惚れする音。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, XF60mmF2.4

●山崎比呂志
TRY ANGLE/大友良英+川島誠+山崎比呂志@なってるハウス(2022年)
TRY ANGLE/原田依幸+井野信義+山崎比呂志@なってるハウス(2019年)
山崎比呂志+レイモンド・マクモーリン+井野信義@なってるハウス(2019年)
ニュージャズホールって何だ?@新宿ピットイン(2018年)
レイモンド・マクモーリン+山崎比呂志@なってるハウス(2017年)
レイモンド・マクモーリン+山崎比呂志@なってるハウス(2017年)
山崎比呂志 4 Spirits@新宿ピットイン(2017年)
阿部薫+山崎弘『Jazz Bed』(1971年)

●井野信義
ヨアヒム・バーデンホルスト+安田芙充央+井野信義@稲毛Candy(2020年)
TRY ANGLE/原田依幸+井野信義+山崎比呂志@なってるハウス(2019年)
山崎比呂志+レイモンド・マクモーリン+井野信義@なってるハウス(2019年)
藤原大輔『Comala』(2018年)
Poem of a Cell Sound / Film Installation & Concert in Tokyo@ドイツ文化センター(2018年)
ニュージャズホールって何だ?@新宿ピットイン(2018年)
安田芙充央『Forest』(2015-16年)
峰厚介『Plays Standards』(2008年)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbeständige Zeit』
(2008年)
井野信義『干反る音』(2005年)
沖至+井野信義+崔善培『KAMI FUSEN』(1996年)
高瀬アキ『Oriental Express』(1994年)
内田修ジャズコレクション『高柳昌行』(1981-91年)
内田修ジャズコレクション『宮沢昭』(1976-87年)
日野元彦『Flash』(1977年)
森剣治『Plays the Bird』(1976年)

●松丸契
松丸契+山本達久@公園通りクラシックス(2021年)
内橋和久+松丸契@千駄木Bar Isshee(2020年)
松丸契@下北沢No Room for Squares(JazzTokyo)(2020年)
松丸契@東池袋KAKULULU(2020年)
瀬尾高志+松丸契+竹村一哲+高橋佑成@公園通りクラシックス(2020年)
松丸契+永武幹子+マーティ・ホロベック@なってるハウス(JazzTokyo)(2020年)
松丸契@下北沢No Room For Squares(2020年)
松丸契+片倉真由子@小岩コチ(2020年)
細井徳太郎+松丸契@東北沢OTOOTO(2019年)
松丸契『THINKKAISM』(2019年)
纐纈雅代+松丸契+落合康介+林頼我@荻窪ベルベットサン(2019年)
m°Fe-y@中野Sweet Rain(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)


鶴見良行『ナマコの眼』

2022-07-16 10:34:57 | 東南アジア

鶴見良行『ナマコの眼』(ちくま学芸文庫、原著1990年)を再読。

われわれは世界市場や植民地主義のことを考えるとき、立派な換金商品や国家があることを前提とする。

だがナマコはそのような視線を無視して存在していた。水分が多く歩留まりが1割とか3割とか、その時点で重量ベースの統計から逃れおおせている。加工技術は難しく、それ自体が執念にはりついている。執念というのはゼラチン食や東洋医学、なにやら精神的な階層。

そして東南アジア多島海の海上民、糸満を含め北からの漁業者の動きは、国境などというものには無関係だった。海のアジア史はラッフルズや東インド会社だけのものではない。マラッカ、マカッサル、リアウ、想像するとつかみどころがなくて茫然とする。ザイ・クーニンさんや齋藤徹さんの表現のことも考える。

南方だけではない。日本列島の住民も古くからナマコに興味を持っていた。記紀神話におけるアメノウズメは、アマテラスが引きこもった天岩戸の前でエロチックにもコミカルにも踊り、またニニギノミコトが天孫として日本に降りるときに立ちはだかっていた怪神サルタヒコに迫りもするトリックスターだが、彼女が魚たちを集めて「我に従うか」と訊いたところナマコだけが返事をしなかったので、刀でナマコに口を切り開いた。妙なやつである。

そういえばしばらくナマコを食べていない。小さいころどうも好きになれなかったがいまは欲しい。

●鶴見良行
鶴見良行『東南アジアを知る』


蓮根魂@なってるハウス

2022-07-14 23:39:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2022/7/14)。

Noriko Nishida 西田紀子 (fl)
Jinya Imai 今井尋也 (鼓)
Kizan Daiyoshi 大由鬼山 (尺八)
Naoki Nishimura 西村直樹 (b)
Goku Nonaka のなか悟空 (ds)
Kosetsu Imanishi 今西紅雪 (筝)

ストロングスタイルというプロレス用語がある。意味は曖昧だが、情念や凄みをコレなんだと惜しまず出すありようだとすると、のなか悟空さんのプレイはストロングスタイルである。ケレン味が皆無とも満点ともいうことができる。

「蓮根魂」でも邦楽器との共存に気を遣ったのか抑え気味に始まったものの、やはり最後には特定のスタイルに堕すことのない迫力のドラミング。

そんなわけで演者も観客も同じ土俵で愉しんでいる。尺八でフルートに絡んでいくときの鬼山先生の意外なうきうき感も無理ないというものだ。 

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, XF60mmF2.4

●のなか悟空
騒乱武士『秋田・鎌鼬の里ライブ』(2019年)
林ライガ vs. のなか悟空@なってるハウス
(2017年)
のなか悟空&人間国宝『@井川てしゃまんく音楽祭』(2016年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年)


蓮見令麻+ショーン・ロヴァート+コリン・ヒントン『Live at Scholes Street Studio』(JazzTokyo)

2022-07-03 08:28:46 | アヴァンギャルド・ジャズ

>> #2189 『Rema Hasumi, Shawn Lovato and Colin Hinton/Live at Scholes Street Studio』 – JazzTokyo

Rema Hasumi 蓮見令麻 (piano)
Shawn Lovato (bass)
Colin Hinton (drums)

●蓮見令麻
蓮見令麻+長沢哲@福岡New Combo(2019年)
蓮見令麻<COSMIC SOUNDSCAPE>@公園通りクラシックス(2019年)
Seshen x 蓮見令麻@喫茶茶会記(2017年)
蓮見令麻@新宿ピットイン(2016年)
蓮見令麻@荻窪ベルベットサン(2015年)


"Scenic View Noise Festival" Pre Event@幡ヶ谷ForestLimit

2022-07-03 08:04:14 | アヴァンギャルド・ジャズ

幡ヶ谷のForestLimit(2022/7/2)。

Guest Act :
Toshimaru Nakamura 中村としまる (no-input mixing board)
Mitsuru Tabata 田畑満 (g)

Acts : CxGx EAR (MurakamiLoki×W/N) 山本万結
Dj  : W/N

まずは初めて観る山本万結さんのパフォーマンスが良い。ヴォイスのエッジを電子音でフリンジのように、あるいはささくれのように形成してゆき、こちらの耳を武装解除させてくれる。

そしてメインアクトの中村としまる+田畑満はレベチ。タバタ氏は演奏前に出来上がっていたはずなのに。

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, XF60mmF2.4

●中村としまる
中村としまる+山本達久+坂口光央@新宿ピットイン(2020年)
エリザベス・ミラー+クレイグ・ペデルセン+秋山徹次+中村としまる@Ftarri(2018年)
クレイグ・ペデルセン+中村としまる、エリザベス・ミラー+広瀬淳二@Ftarri(2018年)
フタリのさとがえり@Ftarri(2018年)
Sound of the Mountain with 秋山徹次、中村としまる『amplified clarinet and trumpet, guitars, nimb』(JazzTokyo)(2017年)
竹下勇馬+中村としまる『Occurrence, Differentiation』(2017年)
クレイグ・ペデルセン+中村としまる@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
中村としまる+沼田順『The First Album』(2017年)
内田静男+橋本孝之、中村としまる+沼田順@神保町試聴室(2017年)
『OTOOTO』(2015、17年)
山内桂+中村としまる『浴湯人』(2012年)
中村としまる+ジョン・ブッチャー『Dusted Machinery』(2009年)

●田畑満
鳴らした場合、20 Guilders@高円寺円盤(2018年)


類家心平+山田貴子@下北沢No Room for Squares

2022-07-03 07:44:53 | アヴァンギャルド・ジャズ

下北沢のNo Room for Squares(2022/7/2)。

Shinpei Ruike 類家心平 (tp)
Takako Yamada 山田貴子 (p)

久しぶりに聴いたけれどやはり類家心平の音は特別で、<I Remember Clifford>でも<But Not for Me>でもロングトーンから情の液が滴り落ちるようだ。<Freedom Jazz Dance>なんてピアノとともに完璧に構築しつつ独自のサウンド。

Fuji X-E2, XF60mmF2.4

●類家心平
有本羅人+類家心平+細井徳太郎+池澤龍作+レオナ@神保町試聴室(2021年)
The Music of Anthony Braxton ~ アンソニー・ブラクストン勉強会&ライヴ@KAKULULU、公園通りクラシックス(JazzTokyo)(2019年)
森山威男 NEW YEAR SPECIAL 2019 その1@新宿ピットイン(2019年)
類家心平『Lady's Blues』(2018年)
永武幹子+類家心平+池澤龍作@本八幡cooljojo(2018年)
東京ザヴィヌルバッハ・スペシャル@渋谷The Room(2018年)
TAMAXILLE『Live at Shinjuku Pit Inn』(2017年)
森山威男3Days@新宿ピットイン(2017年)
ナチュラル・ボーン・キラー・バンド『Catastrophe of Love Psychedelic』(2015-16年)
RS5pb@新宿ピットイン(2016年)
白石雪妃×類家心平DUO(JazzTokyo)(2016年)
白石雪妃+類家心平@KAKULULU(2016年)
齋藤徹+類家心平@sound cafe dzumi(2015年)
板橋文夫『みるくゆ』(2015年)
森山・板橋クインテット『STRAIGHTEDGE』(2014年)


STFSO@新宿ピットイン

2022-07-01 06:52:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

新宿ピットイン(2022/6/30)。

Shun Sakai 酒井俊 (vo)
Nobumasa Tanaka 田中信正 (p)
Falcon ファルコン (g)
Takashi Sugawa 須川崇志 (cello)
Kosuke Ochiai 落合康介 (b)

<Both Sides Now>、<On a Slow Boat to China>、<街>、<Angel Eyes>、<ナーダム>、<It Might as Well Be Spring>、<回想>、<Something Cool>、<思ひで>。アンコールは<満月の夕>、そして<紅い花>。天才・田中信正の素晴らしいピアノ。そして封印を解くぞとばかりにキッと口を結んで力をこめて歌った<満月の夕>。

●酒井俊
酒井俊+瀬尾高志+須川崇志+市野元彦@稲毛Candy(JazzTokyo)(2022年)
酒井俊+纐纈雅代+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
酒井俊+青木タイセイ+永武幹子@本八幡cooljojo(2019年)
酒井俊+会田桃子+熊坂路得子@Sweet Rain(2018年)
酒井俊+永武幹子+柵木雄斗(律動画面)@神保町試聴室
(2017年)