Sightsong

自縄自縛日記

細井徳太郎+阿部真武@水道橋Ftarri

2022-03-28 00:26:27 | アヴァンギャルド・ジャズ

水道橋のFtarri(2022/3/27)。

Tokutaro Hosoi 細井徳太郎 (g)
Masatake Abe 阿部真武 (b)

Guitar has elastic sound of strings, while electric bass has a kind of plasticity. With frequency width, Masatake Abe's bass tells a story, which becomes continuous long tones gradually, not simple drone, but with fluctuation bending from deep undercurrent. Meanwhile Tokutaro Hosoi's guitar jumps incessantly as if it never recognizes gravity. Surprisingly not just using feedback, in the 2nd set Hosoi played with himself recorded in the previous set (he said after the gig).

Then it can be said Abe's sound is made of increasing sound layers, and Hosoi's aggregate of countless incidents.

Fuji X-E2, Carl Zeiss Jena Flektogon 35mmF2.4 (M42), Carl Zeiss Jena Sonnar 135mmF3.5 (M42)

●阿部真武
かみむら泰一+古和靖章+遠藤ふみ+阿部真武@神保町試聴室(2021年)
池田陽子+阿部真武+岡川怜央@Ftarri(2021年)

●細井徳太郎
吉田達也+神田綾子+細井徳太郎@公園通りクラシックス(2021年)
神田綾子+細井徳太郎+岡川怜央@水道橋Ftarri(JazzTokyo)(2021年)
有本羅人+類家心平+細井徳太郎+池澤龍作+レオナ@神保町試聴室(2021年)
Dance x Music Session Vol. 01(2020年)
坪口昌恭+細井徳太郎@下北沢No Room For Squares(2020年)
秘密基地『ぽつねん』(2019年)
細井徳太郎+松丸契@東北沢OTOOTO(2019年)
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
李世揚+瀬尾高志+細井徳太郎+レオナ@神保町試聴室(2019年)
細井徳太郎+君島大空@下北沢Apollo(2019年)
秘密基地@東北沢OTOOTO(2019年)
謝明諺+高橋佑成+細井徳太郎+瀬尾高志@下北沢Apollo(2019年)
WaoiL@下北沢Apollo(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+細井徳太郎@下北沢Apollo、+外山明+大上流一@不動前Permian(2019年)
合わせ鏡一枚 with 直江実樹@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)
伊藤匠+細井徳太郎+栗田妙子@吉祥寺Lilt
(2018年)


神田綾子+ルイス稲毛@東北沢OTOOTO

2022-03-27 11:21:48 | アヴァンギャルド・ジャズ

東北沢のOTOOTO(2022/3/26)。

Ayako Kanda 神田綾子 (voice)
Louis Inage ルイス稲毛 (b)

First encounter, but very soon after starting both two seemed to find their chemistry is right.

Louis Inage sprinkles sound fragments meditatively, but open minded, then Ayako Kanda accepts each of them, responds with agility by using her own music circuit – And vice versa. Ayako even used echo of the wall and ceiling as a reverb pursuing a balance with Louis as an improvisation!

After each short solo performance, they found how to share sound space, and developed to a kind of song by connecting many fruits.

Fuji X-E2, XF35mmF1.4, XF60mmF2.4

●神田綾子
吉田達也+神田綾子+纐纈雅代@公園通りクラシックス(2022年)
シェーン・ボーデン+神田綾子+Rohco@東北沢OTOOTO(2022年)
神田綾子+大澤香織+西嶋徹@大泉学園インエフ(2022年)
神田綾子+三上寛@なってるハウス(JazzTokyo)(2021年)
吉田達也+神田綾子+細井徳太郎@公園通りクラシックス(2021年)
神田綾子+矢部優子+遠藤ふみ@大泉学園インエフ(2021年)
神田綾子+細井徳太郎+岡川怜央@水道橋Ftarri(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
柳川芳命+照内央晴+神田綾子@なってるハウス(2021年)
細田茂美+神田綾子@高円寺グッドマン(2021年)
神田綾子+真木大彰@Permian(2021年)
纐纈雅代+神田綾子@六本木Electrik神社(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
神田綾子+纐纈雅代@下北沢No Room for Squares(2021年)
新年邪気祓いセッション@山猫軒(2021年)
マクイーン時田深山+神田綾子@下北沢No Room for Squares(JazzTokyo)(2020年)
岡田ヨシヒロ@池袋Flat Five(2020年)
神田綾子+森順治@横濱エアジン(JazzTokyo)(2020年)
神田綾子+北田学@渋谷Bar Subterraneans(動画配信)(2020年)

●ルイス稲毛
落穂の雨@稲毛Candy(JazzTokyo)(2022年)
福岡林嗣+ルイス稲毛+川島誠@高円寺Fourth Floor II(2022年)


南方熊楠『十二支考』

2022-03-21 13:27:22 | 思想・文学

南方熊楠『十二支考』(岩波文庫、1914-23年)を読む。

2017年の国立科学博物館における南方熊楠展では「南方熊楠は、森羅万象を探求した『研究者』とされてきましたが、近年の研究では、むしろ広く資料を収集し、蓄積して提供しようとした『情報提供者』として評価されるようになってきました。」と書かれていて、たしかにアーカイヴの人だなと首肯した。ネット時代に生まれたらどうなっていただろう。この『十二支考』にしても、どこかに「締切がやばいなー、ただのコピペだと芸がないしなー」なんてことを書いていた記憶がある。実際そのような情報詰め込み型の本であり、おもしろい(ところもある)。意外に俗っぽく下品だったりもする。

たとえば蛇の呼称について。熊楠は本居宣長を引用し、小さくて普通のが久知奈波(くちなわ)、やや大きいのが幣毘(へび)、なお大きいのが宇波婆美(うわばみ)、極めて大きいのが蛇(じゃ)、俗に蛇というには遠呂智(おろち)。じゃあ大酒呑みを上回る大酒呑みは蛇(じゃ)か。ああ結局楳図かずお展を観に行かなかった。

蛇の眼といえば。「英語でイヴル・アイ、伊語でマロキオ、梵語でクドルシュチス」。経では邪眼、悪眼、見毒、眼毒など。熊楠はあれこれ悩んで邪視と定めている。ジョイス・キャロル・オーツの傑作小説『Evil Eye』は邦訳されて『邪眼』となったけれどどれがよかったか。

熊楠は神田錦町に下宿したことがあったようで、そのころ酒を飲んでは庭のイボガエルに石を投げて殺して遊んでいた(前職のオフィスがあったところは蛙がゲコゲコ鳴く場所でもあったのかと興味深い)。そのとき1匹殺すたびに次の蛙が出てきてまた殺し、4、5匹殺したとある。熊楠はそこから自分が殺されることもある話もあったと連想する。H・P・ラヴクラフトの怪奇小説みたいで気色が悪い。ラヴクラフトは熊楠の同時代人だが生前無名であったというし、熊楠はさすがにそこまで手を出していないだろう(読んだら書かずにはいられないだろうし)。

猿の章では、ヒンドゥー教の叙事詩『ラーマーヤナ』に登場する猿神ハヌマーンについて。インドから魔王にさらわれてスリランカにいる妻を奪い返すため、ラーマはハヌマーンを派遣する。熊楠の興味は無事奪還した妻の貞節にあったようで、実にしょうもない。現代にいたらタブロイド判の新聞の下世話なコーナーとか熱心に読み漁っていたのでは。

鼠の章では、鼠を乗り物にするヒンドゥー教の神・ガネーシャの話に入り、かれの頭がなぜ象になったのかを熱心に説き、なかなか鼠自体の話に戻ってこない。なるほどこれではとっ散らかるのも仕方がない。

澁澤龍彦『高丘親王航海記』では、高丘親王は敢えて虎に食べられて天竺に行くのだけれど、澁澤は『十二支考』も読んでいたのかしら。熊楠は中東の話はリチャード・バートン版の『千夜一夜物語』を頻繁に引用しているし、バートン→熊楠→澁澤という博覧強記の人の流れを考えるとおもしろい。

●南方熊楠
『南方熊楠 100年早かった智の人』@国立科学博物館
南方熊楠『森の思想』


TRY ANGLE/大友良英+川島誠+山崎比呂志@なってるハウス

2022-03-18 23:13:25 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2022/3/18)。

Yoshihide Otomo 大友良英 (g)
Makoto Kawashima 川島誠 (as)
Hiroshi Yamazaki 山崎比呂志 (ds)

For a reason bassist Nobuyoshi Ino canceled, then Yoshihide Otomo recommended Makoto Kawashima instead of Ino. Second time to play at Knuttel House for Kawashima - he has played solo almost 12 years ago here, very early in his career to play saxophone. 

Every beat of Hiroshi Yamazaki has a perfect time and strength as it should be, which must have been acquired through his long experience of free improvising music. Marvelous he continued simple beat of bass drum, followed by setting fire with Otomo's atmospheric echo of guitar. And Kawashima exposed raw emotion without fear, sometimes crouching or putting microphone inside the bell of his instrument. I didn't miss his face getting into a trance.

Fuji X-E2, Yashinon 50mmF1.4 (M42)

●山崎比呂志
TRY ANGLE/原田依幸+井野信義+山崎比呂志@なってるハウス(2019年)
山崎比呂志+レイモンド・マクモーリン+井野信義@なってるハウス(2019年)
ニュージャズホールって何だ?@新宿ピットイン(2018年)
レイモンド・マクモーリン+山崎比呂志@なってるハウス(2017年)
レイモンド・マクモーリン+山崎比呂志@なってるハウス(2017年)
山崎比呂志 4 Spirits@新宿ピットイン(2017年)
阿部薫+山崎弘『Jazz Bed』(1971年)

●大友良英
大友良英+川島誠『DUO』(Jazz Right Now)(2021年)
大友良英+川島誠@山猫軒(2021年)
リューダス・モツクーナス+大友良英+梅津和時@白楽Bitches Brew(JazzTokyo)(2018年)
大友良英+マッツ・グスタフソン@GOK Sound(2018年)
阿部芙蓉美『EP』(2014年)
ペーター・ブロッツマンの映像『Concert for Fukushima / Wels 2011』(2011年)
ジョン・ブッチャー+大友良英、2010年2月、マドリッド(2010年)
井上剛『その街のこども 劇場版』(2010年)
『その街のこども』(2010年)
大友良英+尾関幹人+マッツ・グスタフソン 『ENSEMBLES 09 休符だらけの音楽装置展 「with records」』(2009年)
サインホ・ナムチラックの映像(2008年)
大友良英の映像『Multiple Otomo』(2007年)
『鬼太郎が見た玉砕』(2007年)
原みどりとワンダー5『恋☆さざなみ慕情』(2006年)
テレビドラマ版『クライマーズ・ハイ』(2003年)

●川島誠
落穂の雨@稲毛Candy(JazzTokyo)(2022年)
福岡林嗣+ルイス稲毛+川島誠@高円寺Fourth Floor II(2022年)
大友良英+川島誠『DUO』(Jazz Right Now)(2021年)
大友良英+川島誠@山猫軒(2021年)
川島誠+クリスティアン・メオス・スヴェンセン@東北沢OTOOTO(2019年)
ピーター・コロヴォス+川島誠+内田静男+山㟁直人+橋本孝之@千駄木Bar Isshee(2019年)
『今・ここ・私。ドイツ×日本 2019/即興パフォーマンス in いずるば』(2019年)
川島誠インタビュー(JazzTokyo)(2019年)
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
マーティン・エスカランテ、川島誠、UH@千駄木Bar Isshee(2019年)
川島誠@白楽Bitches Brew(2019年)
タリバム!featuring 川島誠&KみかるMICO『Live in Japan / Cell Phone Bootleg』(2019年)
フローリアン・ヴァルター+直江実樹+橋本孝之+川島誠@東北沢OTOOTO(2018年)
照内央晴+川島誠@山猫軒(2018年)
川島誠+齋藤徹@バーバー富士(JazzTokyo)(2018年)
2017年ベスト(JazzTokyo)
川島誠@川越駅陸橋(2017年)
むらさきの色に心はあらねども深くぞ人を思ひそめつる(Albedo Gravitas、Kみかる みこ÷川島誠)@大久保ひかりのうま(2017年)
#167 【日米先鋭音楽家対談】クリス・ピッツィオコス×美川俊治×橋本孝之×川島誠(2017年)
川島誠『Dialogue』(JazzTokyo)(2017年)
Psychedelic Speed Freaks/生悦住英夫氏追悼ライヴ@スーパーデラックス(2017年)
川島誠『you also here』(2016-18年)
川島誠+西沢直人『浜千鳥』(-2016年)
川島誠『HOMOSACER』(-2015年) 


日本天狗党と時岡秀雄そして神田綾子@阿佐ヶ谷Yellow Vision

2022-03-13 09:35:52 | アヴァンギャルド・ジャズ

阿佐ヶ谷のYellow Vision(2022/3/11)。

日本天狗党
Tobio Akagi 赤木飛夫 (as)
Houhi Suzuki 鈴木放屁 (ts)
Kenichi Akagi 赤木憲一 (ds)

Hideo Tokioka 時岡秀雄 (ts)
Ayako Kanda 神田綾子 (voice)

Nihon Tengu Tou (Japan Tengu Party), so to say a sly old foxes' trio, has recently invited another saxophonist Hideo Tokioka. And on this day, they played with one more guest, voice improviser Ayako Kanda.  Each saxophonist is very unique and anarchy, that is why they has occupied a certain place in the scene of Japanese free jazz.

Tobio Akagi seems to have a strong will to make a structure of group improvisation, and his seamless phrases function as glue of the group and at other times as solvent. In contrast to Tobio Akagi putting his own fragments into order, Houhi Suzuki's plosive blow is like a roar, tries to crush the sound repeatedly, which provides thrilling element. Hideo Tokioka's blow is a Japanese deep blues, and he continues to enter into the sound after much thought of the other members' actions. 

One more musician to make a group sound structure is drummer Kenichi Akagi (older brother of Tobio Akagi). Based on continuous beating of bass drum, he tries to make big wave vertically, but sometimes horizontally with cymbals.  Then Ayako Kanda swims in the chaos, or rather flies like raptors without overwhelmed by four strong veterans, which yielded core energy of this stage.

Fuji X-E2, 7artisans 12mmF2.8, Yashinon 50mmF1.4 (M42)

●日本天狗党
ラッパとタイコ@阿佐ヶ谷天(2020年)
Meg with Reed Dukes@武蔵境810 Outfit Cafe(2019年)
日本天狗党、After It's Gone、隣人@近江八幡・酒游館(2019年)
Sono oto dokokara kuruno?@阿佐ヶ谷Yellow Vision(2017年)
第三回天下一Buzz音会 -披露”演”- @大久保ひかりのうま(2017年)

●時岡秀雄
ラッパとタイコ@阿佐ヶ谷天(2020年)
原田依幸@アケタの店(2018年)

●神田綾子
吉田達也+神田綾子+纐纈雅代@公園通りクラシックス(2022年)
シェーン・ボーデン+神田綾子+Rohco@東北沢OTOOTO(2022年)
神田綾子+大澤香織+西嶋徹@大泉学園インエフ(2022年)
神田綾子+三上寛@なってるハウス(JazzTokyo)(2021年)
吉田達也+神田綾子+細井徳太郎@公園通りクラシックス(2021年)
神田綾子+矢部優子+遠藤ふみ@大泉学園インエフ(2021年)
神田綾子+細井徳太郎+岡川怜央@水道橋Ftarri(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
柳川芳命+照内央晴+神田綾子@なってるハウス(2021年)
細田茂美+神田綾子@高円寺グッドマン(2021年)
神田綾子+真木大彰@Permian(2021年)
纐纈雅代+神田綾子@六本木Electrik神社(JazzTokyo)(2021年)
神田綾子+加藤崇之@下北沢No Room for Squares(2021年)
神田綾子+纐纈雅代@下北沢No Room for Squares(2021年)
新年邪気祓いセッション@山猫軒(2021年)
マクイーン時田深山+神田綾子@下北沢No Room for Squares(JazzTokyo)(2020年)
岡田ヨシヒロ@池袋Flat Five(2020年)
神田綾子+森順治@横濱エアジン(JazzTokyo)(2020年)
神田綾子+北田学@渋谷Bar Subterraneans(動画配信)(2020年)


小川紳介+小川洋子『幻の小川紳介ノート』

2022-03-12 15:46:53 | アート・映画

小川紳介+小川洋子『幻の小川紳介ノート』(シネ・ヌーヴォ、2022年)

映画作家・小川紳介が映画祭での上映に際してトリノを訪れたときの日記が、『幻の小川紳介ノート』として出版されている。

毎回のイタリア料理を事細かに記録していて、帰国してからも自分で再現して振舞ったらしい。ベルリンに初めて足を運んだときも、詳細な地図を渡されたら夢中になって、まだ旅の前なのに「あの角を曲がるとあの店があって」などと話していたという。

なるほど、こういう人だったからこそ『1000年刻みの日時計-牧野村物語』においてドキュメンタリー映画として破綻するのではないかというほどにコメ作りの過程を饒舌に示しもしたわけだ。その意味では三里塚のシリーズもディテールが命である。

●小川紳介
小川紳介『1000年刻みの日時計-牧野村物語』(1986年)
小川紳介『牧野物語・峠』、『ニッポン国古屋敷村』(1977、82年)
小川紳介『三里塚 五月の空 里のかよい路』(1977年)
福田克彦『映画作りとむらへの道』(1973年)
小川紳介『三里塚 辺田』(1973年)
小川紳介『三里塚 岩山に鉄塔が出来た』(1972年)
小川紳介『三里塚 第二砦の人々』(1971年)
小川紳介『三里塚 第三次強制測量阻止闘争』(1970年)
小川紳介『日本解放戦線 三里塚』(1970年)
小川紳介『日本解放戦線 三里塚の夏』(1968年)
『neoneo』の原発と小川紳介特集


川上高志『検証 政治改革』

2022-03-08 21:25:11 | 政治

川上高志『検証 政治改革』(岩波新書、2022年)。

1994年の政治改革が何をもたらしたのかについてはずっと気になっている。たとえば、中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』では、小沢一郎にとって「政治の主役は有権者ではなく政治家であり、民意の代表は二義的な問題に過ぎない」ものであったと指摘されていて、だとすれば現在の状況はある意味では狙い通りだったわけである。

本書で興味深いのは、中選挙区から小選挙区への変化が派閥の弱体化をもたらしたということ、政治家が地元への利益誘導ができなくなったことは新たな分配のメカニズムとセットではなかったということ、そしてキョーフの官邸主導の改革が進められた一方でその歪みを制御する仕組みをビルトインしていなかったということ。

だから政治家が文字通り無責任になったことも、アレとかアレとかが登場したことも、いまになってみれば当然の帰結であったのかもしれない。

●参照
中北浩爾『自公政権とは何か』
中北浩爾『現代日本の政党デモクラシー』
小林良彰『政権交代』
山口二郎『政権交代とは何だったのか』
菅原琢『世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか』
中野晃一『右傾化する日本政治』


河崎純 feat. ジー・ミナ『HOMELANDS – Eurasian Poetic Drama –』(JazzTokyo)

2022-03-05 23:46:10 | アヴァンギャルド・ジャズ

河崎純 feat. ジー・ミナ『HOMELANDS – Eurasian Poetic Drama –』(Bishop Records、2018年-)のレビューを『JazzTokyo』に寄稿した。

>> #2163 『河崎純 feat. ジー・ミナ/HOMELANDS – Eurasian Poetic Drama –』 – JazzTokyo

ジー・ミナ(歌)、河崎純(作曲・編曲)
青木菜穂子(ピアノ)、河崎純(コントラバスほか)、熊坂路得子(アコーディオン)、近藤秀秋(ギター、薩摩琵琶ほか)、崔在哲(韓国打楽器、歌)、高岸卓人(ヴァイオリン)、髙橋奈緒(ヴァイオリン)、松本ちはや(打楽器)、森口恭子(ヴィオラ)、山本徹(チェロ)、渡部寿珠(フルート、ピッコロ)、セルゲイ・レートフ(サックス)、ヌルヒャン・ラフムジャン(ドンブラ・コブス)
マリーヤ・コールニヴァ、三浦宏予、吉松章、サインホ・ナムチラク、サーデット・テュルキョズ、三木聖香(声・コーラス)

●河崎純
ユーラシアンオペラ東京2018(Incredible sound vision of Eurasia in Tokyo)@スーパーデラックス(2018年)


山㟁直人+石川高+アンドレ・ヴァン・レンズバーグ『翠靄(Suiai)』(JazzTokyo)

2022-03-05 23:42:26 | アヴァンギャルド・ジャズ

山㟁直人+石川高+アンドレ・ヴァン・レンズバーグ『翠靄(Suiai)』(-2022年)のレビューを『JazzTokyo』に寄稿した。

>> #2162 『山㟁直人+石川高+アンドレ・ヴァン・レンズバーグ/翠靄(Suiai)』 – JazzTokyo

Naoto Yamagishi 山㟁直人 (percussion)
Ko Ishikawa 石川高 (笙)
André van Rensburg (尺八)

●山㟁直人
落穂の雨@稲毛Candy(JazzTokyo)(2022年)
新年邪気祓いセッション@山猫軒(2021年)
アンドレ・ヴァン・レンズバーグ+石川高+山㟁直人@喫茶茶会記(2020年)
ピーター・コロヴォス+川島誠+内田静男+山㟁直人+橋本孝之@千駄木Bar Isshee(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
池田陽子+山㟁直人+ダレン・ムーア、安藤暁彦@Ftarri
(2018年)

●石川高
「ジョン・ラッセルを追悼する」@下北沢アレイホール(2022年)
間(ま)と楔(くさび)と浮遊する次元@新宿ピットイン(2021年)
アンドレ・ヴァン・レンズバーグ+石川高+山㟁直人@喫茶茶会記(2020年)
フローリアン・ヴァルター+石川高+山崎阿弥@Bar subterraneans(JazzTokyo)(2019年)
ジョン・ラッセル、ストーレ・リアヴィーク・ソルベルグ、すずえり、大上流一、石川高、山崎阿弥@Ftarri(2018年)
ピーター・エヴァンス@Jazz Art せんがわ2018(JazzTokyo)(2018年)
齋藤徹ワークショップ「寄港」第ゼロ回@いずるば(2017年)
エヴァン・パーカー@スーパーデラックス(2016年)
一噌幸弘『幽玄実行』『物狂 モノグルイ』(JazzTokyo)(2011年)

●アンドレ・ヴァン・レンズバーグ
アンドレ・ヴァン・レンズバーグ+石川高+山㟁直人@喫茶茶会記(2020年)


初見かおり『ハレルヤ村の漁師たち』

2022-03-05 18:00:17 | 南アジア

初見かおり『ハレルヤ村の漁師たち』(左右社、2021年)を読む。

著者は内戦後期にスリランカ北部の村に滞在して文化人類学の調査を行っていて、その際にさまざまな人たちと接したときのことを書いたエッセイ。

スリランカはシンハラ人が7割を占めており、2割ほどのタミル人はさまざまな面で冷遇されていた。やはりというべきか、政府軍にもテロ組織の虎(LTTE)にも非人道的な行いがあったことが、住民たちの声からよくわかる。このような本の存在価値は、正史の情報では難しい実感を得ること、偏りを避けること。

僕がスリランカを旅したのは20世紀の終わりころで、内戦のために北部や東部には立ち入ることができなかった。1回目に列車の中で英語教師と知り合い、2回目には居候させてもらったのだけど、その家に帰省していた政府軍の友人が訪ねてきて、3人で一緒に酒を飲んだらもう戦争に戻りたくないと言って泣き始めたことがあった。元気に生きているかどうか。

Fuji X-E2、AR Topcor 55mmF1.7


広瀬淳二+あきおジェイムス+増渕顕史@不動前Permian

2022-03-03 07:32:33 | アヴァンギャルド・ジャズ

不動前のPermian(2022/3/2)。

Junji Hirose 広瀬淳二 (ts)
Akio James あきおジェイムス (ds)
Takashi Masubuchi 増渕顕史 (g)

1st set was duo of sax and drums. I found drumming style of Akio James very unique. Most free jazz drummers make streams by combination of various sounds they already have, but James makes different sound parts separately in the beginning, followed by gathering and combining them and scrapping again. Junji Hirose makes some prominent notes at once, multiphonic approach of saxophone, and keeping in phase with James beside, he bundled them to muddy streams meandering.

2nd set was trio. Probably by joining guitar, they started suppressing, from which many sound shapes have emerged like seeing Max Ernst's frottage. Takashi Masubuchi's string vibration has been sharpened gradually and shook the sound clouds.

Fuji X-E2, 7Artisans 12mmF2.8, AR Topcor 55mmF2.8 (PK)

●広瀬淳二
815展でのパフォーマンス(広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊(2020年)
広瀬淳二+カル・ライアル+クリスティアン・メオス・スヴェンセン+ダレン・ムーア@下北沢Apollo(2020年)
815展でのパフォーマンス(矢部優子、広瀬淳二、池田陽子、渡辺隆雄、遠藤昭)@好文画廊(2019年)
広瀬淳二+さがゆき@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+中村としまる、エリザベス・ミラー+広瀬淳二@Ftarri(2018年)
広瀬淳二『No-Instrument Air Noise』(2017年)
ブライアン・アレン+広瀬淳二+ダレン・ムーア@Ftarri(2018年)
ロジャー・ターナー+広瀬淳二+内橋和久@公園通りクラシックス(2017年)
クリス・ピッツィオコス+吉田達也+広瀬淳二+JOJO広重+スガダイロー@秋葉原GOODMAN(2017年)
広瀬淳二+今井和雄@なってるハウス(2017年)
広瀬淳二+中村としまる+ダレン・ムーア@Ftarri(2017年)
広瀬淳二+今井和雄+齋藤徹+ジャック・ディミエール@Ftarri(2016年)
広瀬淳二『SSI-5』(2014年)
広瀬淳二+大沼志朗@七針(2012年)
広瀬淳二『the elements』(2009-10年)

●あきおジェイムス
照内央晴+柳沢耕吉+あきおジェイムス+本藤美咲@なってるハウス(2021年)

●増渕顕史
森下周央彌+竹下勇馬+増渕顕史@Ftarri(2021年)
杉本拓+増渕顕史@東北沢OTOOTO(2020年)
池田陽子、増渕顕史、野川菜つみ、田上碧、メーガン・アリス・クルーン@Ftarri(2019年)
アレクサンダー・ホルム、クリス・シールズ、クラウス・ハクスホルムとのセッション@Permian(2019年)
森重靖宗+池田陽子+増渕顕史『shade』(2018年)
齊藤僚太+ヨシュア・ヴァイツェル+増渕顕史@Permian(2018年)
Zhu Wenbo、Zhao Cong、浦裕幸、石原雄治、竹下勇馬、増渕顕史、徳永将豪@Ftarri(2018年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+徳永将豪+増渕顕史+中村ゆい@Ftarri(2017年)
杉本拓+増渕顕史@東北沢OTOOTO(2017年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
『OTOOTO』(2015、17年)