新宿の文化学園服飾博物館にて「世界のビーズ展」。
権力の誇示や魔除けなど目的はいろいろだけど、どれにも魅せられる。琥珀の色もさまざまだし、紅い糸で結わえられているラピスラズリなんてじつにあざやか(アフガニスタンだけで採れるとあったが間違いで、自分もミャンマーのアウンサン市場で安物を買ったりした)。イエメンの銀もいい。20世紀の末にサナアで腰に付ける刀のジャンビアを買ったけれど、あれはどこに消えてしまったのだろう。
不思議なのはビーズが山間部で多く使われていたことだ。ちょっと前、ベトナムやミャンマーの北部に足を運ぶとカラフルな刺繡の入った少数民族の子たちをよく見たけれど、オカネがあればそれにビーズが散りばめられていたということ。宝貝だってガラス玉だって運び入れること自体が特別だったにちがいない。
照葉樹林文化・コメ文化はアッサム~雲南~東南アジア北部あたりを中心として広がっていた。梅棹忠夫『東南アジア紀行』には、1000mの等高線で切ってそれ以下の部分を地図で消し去ると残る「空中社会」が山の民(ミャオ族=モン族など)の国なのだと書かれている。ビーズ文化と重ねわせると想像が広がっておもしろい。