Sightsong

自縄自縛日記

TRY ANGLE/原田依幸+井野信義+山崎比呂志@なってるハウス

2019-09-29 09:47:24 | アヴァンギャルド・ジャズ

入谷のなってるハウス(2019/9/28)。

Yoriyuki Harada 原田依幸 (p)
Nobuyoshi Ino 井野信義 (b)
Hiroshi Yamazaki 山崎比呂志 (ds)

「TRY ANGLE」とは、山崎比呂志とレイモンド・マクモーリンとのデュオに井野信義が加わったトリオ(2019年7月)を契機として、山崎・井野のふたりと誰かが組むトリオのシリーズになったようである。いまのところ纐纈雅代(8月)、そして今回の原田依幸、来月は林栄一。

このメンバーならば「こんな感じ」というものは事前にわかっている。しかし実際に目の当たりにすると圧倒的な「こんな感じ」。つまり静的ではなく動的な生きた様式美。

山崎さんのドラムスはとてもカラフルであり力強い。かといって手元での音は非常に繊細でもある。これほどまでに確信とともに出される音は経験のなせるわざだろう。井野さんのコントラバスが受けとめる音は幅広く、その都度、思考してはすばやくアクションに移すプロセスが露わにされている。弓で攻めるか、あるいはピチカートに移行するか、そのあたりの悩みと結果としての音とが興奮させる。そして今回のゲスト原田さんは、ヤバいほどの慣性と覚悟とを持って音領域全体を中から力技で右へ左へと動かす。普段とは違って唯我独尊でピアノを弾き終えるのではなく、着地点を目指して鍵盤を叩いたり収束させたりするのも面白かった。

この3人が協力してどどどどどと地響きを立てて走るなんて、日本のフリージャズの究極的到達点ではないのか(大袈裟?)。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●原田依幸
原田依幸+纐纈雅代@なってるハウス(2019年)
原田依幸+宅Shoomy朱美@なってるハウス(2018年)
原田依幸@アケタの店(2018年)
原田依幸+川下直広『東京挽歌』(2017年)
原田依幸+後藤篤@なってるハウス(2017年)
生活向上委員会2016+ドン・モイエ@座・高円寺2(2016年)
一噌幸弘『幽玄実行』『物狂 モノグルイ』(JazzTokyo)(2011年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2)(2010年)
原田依幸+鈴木勲『六日のあやめ』、『一刀両断』(1995、2009年)
くにおんジャズ(2008年)
「KAIBUTSU LIVEs!」をエルマリート90mmで撮る(2007年)
生活向上委員会大管弦楽団『This Is Music Is This?』(1979年)
『生活向上委員会ニューヨーク支部』(1975年) 

●井野信義
山崎比呂志+レイモンド・マクモーリン+井野信義@なってるハウス(2019年)
藤原大輔『Comala』(2018年)
Poem of a Cell Sound / Film Installation & Concert in Tokyo@ドイツ文化センター(2018年)
ニュージャズホールって何だ?@新宿ピットイン(2018年)
安田芙充央『Forest』(2015-16年)
峰厚介『Plays Standards』(2008年)
アクセル・ドゥナー + 今井和雄 + 井野信義 + 田中徳崇 『rostbeständige Zeit』
(2008年)
井野信義『干反る音』(2005年)
沖至+井野信義+崔善培『KAMI FUSEN』(1996年)
高瀬アキ『Oriental Express』(1994年)
内田修ジャズコレクション『高柳昌行』(1981-91年)
内田修ジャズコレクション『宮沢昭』(1976-87年)
日野元彦『Flash』(1977年) 

●山崎比呂志
山崎比呂志+レイモンド・マクモーリン+井野信義@なってるハウス(2019年)
ニュージャズホールって何だ?@新宿ピットイン(2018年)
レイモンド・マクモーリン+山崎比呂志@なってるハウス(2017年)
レイモンド・マクモーリン+山崎比呂志@なってるハウス(2017年)
山崎比呂志 4 Spirits@新宿ピットイン(2017年)
阿部薫+山崎弘『Jazz Bed』(1971年)


松丸契『THINKKAISM』

2019-09-29 09:27:24 | アヴァンギャルド・ジャズ

松丸契『THINKKAISM』(Somethin'Cool、2019年)を聴く。

Kei Matsumaru 松丸契 (as, ss)
Hideaki Kanazawa 金澤英明 (b)
Akira Ishii 石井彰 (p, rhodes)
Shun Ishiwaka 石若駿 (ds, kalimba, perc)
Naoki Takahashi 高橋直希 (ds)

コルトレーンの「Welcome」のカリンバに続く濁らせたサックスにまず耳を捉えられる。「Ichiro」においてはピアノとのユニゾンから次第に発展する面白さがある。タイトル曲ではツインドラムスがどしゃめしゃに叩き、ピアノとベースが別の時間スケールで暴れる上でのアルトが勇猛に飛翔し素晴らしい。

「Sail」では鈴とピアノの和音、これに静かに整合させるようにローンチするアルト。輝くピアノと並走する金澤さんの粘るベースも存在感がある。「April Fools」は変わった曲だが、ゆったりと進むアルトと絡むピアノ、ここにおもむろに入って疾走するドラムスに動悸がする。一転して「Dad Milkman」はドラムスが主導し、カリプソ風かと思いきや奇妙なコードでサックスがうねる。キーボードが楽園的で濁ってもいてとてもいい。「Parsley Sparsely」ではリズムを壊すアルト、曲の中の権力構造がひっくり返っている。ここに遊ぶように共演者が策動を仕掛ける。パセリを散らした創作料理風。

ゆったりしたコントラバスから始まる「View Figure 1a」、ソプラノでの関わり方が面白く、急に音風景が変わる。へんな時間の進行だが、その間隙をピアノとドラムスが突いてきて時間進行を奪おうとするようだ。そうか、コードとメロディとが別々のスケールなのか(ライナーノーツ)。

「Star Field」ではキーボードがエネルギーの底を持ち上げ(カッコいい)、ドラムスが断続的にそれを跳躍させる。ソプラノは哄笑するように遊泳する。最後の「A Thousand Blushes」における尋常でないブラシは水をこぼすと一瞬で蒸発する鉄板のようで、その上でゆっくりと懐かしい物語をうたうソプラノ、ピアノ、ベース。

聴けば聴くほどユニークであり、それが現代ジャズのまん中に降りてきた感がある。

●松丸契
纐纈雅代+松丸契+落合康介+林頼我@荻窪ベルベットサン(2019年)
m°Fe-y@中野Sweet Rain(2019年)
SMTK@下北沢Apollo(2019年)


加藤崇之『森の声』

2019-09-28 11:09:36 | アヴァンギャルド・ジャズ

加藤崇之『森の声』(Kitakara Records、2019年)を聴く。

Takayuki Kato 加藤崇之 (g)

八ヶ岳のふもとの森における、故・津村和彦さんのガットギターを使ったソロ。

ここまで音色が美しいと聴き惚れるしかない。ガット弦の軋みが鳥の声と重なる。オリジナル曲のなかにいきなりあらわれるアイルランド民謡「ロンドンデリーのうた」にはっとさせられ、鳥も呼応することがあったのか曲の途中で声を大きくする。

●加藤崇之
加藤崇之+不破大輔+藤掛正隆+元晴@荻窪ルースターノースサイド(2019年)
夢Duo@本八幡cooljojo(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年その2)
松風鉱一カルテット@西荻窪Clop Clop(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン
(2018年その1)
夢Duo『蝉時雨 Chorus of cicadas』(2017-18年)

松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
加藤崇之トリオ『ギター・ミュージック』の裏焼き(1989年)


ザイ・クーニン、2019年9月、福岡

2019-09-28 10:41:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

2019年9月、福岡。ザイ・クーニンさんは体調が悪い。

一緒に、昨2018年に長野・大町で行われた齋藤徹、久田舜一郎、ザイ・クーニン、皆藤千香子、矢萩竜太郎によるパフォーマンスの動画を観たりした。やはり圧倒された。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●ザイ・クーニン
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
近藤真左典『ぼくのからだはこういうこと』、矢荻竜太郎+齋藤徹@いずるば(2019年)
ザイ・クーニン『オンバ・ヒタム』@オオタファインアーツ(2016年)
齋藤徹+ミシェル・ドネダ+チョン・チュルギ+坪井紀子+ザイ・クーニン『ペイガン・ヒム』(1999年)


安田芙充央『Forest』

2019-09-28 10:10:17 | アヴァンギャルド・ジャズ

安田芙充央『Forest』(Winter & Winter、2015-16年)を聴く。

Fumio Yasuda 安田芙充央 (p, melodica)
Akimuse (vo, kalimba)
Joachim Badenhorst (cl, bcl, sax)
Nobuyoshi Ino 井野信義 (b)

まさに森の中にいるような音楽である。サウンドが水蒸気のように身体にまとわりついてきて、熱を暗闇のなかに持ってゆき、ひんやりとする。

安田さんのピアノは水滴のようだ。生きている嬉しさを体現したAkimuseの声。井野さんのコントラバスは懐が深い。そして佇まいの音楽家ヨアヒム・バーデンホルスト。主張しないのに存在が常に静かに主張する。

●安田芙充央
Poem of a Cell Sound / Film Installation & Concert in Tokyo@ドイツ文化センター(2018年)
安田芙充央『Erik Satie / Musique D'Entracte』(2016年)

●ヨアヒム・バーデンホルスト
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+細井徳太郎@下北沢Apollo、+外山明+大上流一@不動前Permian(2019年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+シセル・ヴェラ・ペテルセン+北田学@渋谷Bar subterraneans(2019年)
Poem of a Cell Sound / Film Installation & Concert in Tokyo@ドイツ文化センター(2018年)
Spontaneous Ensemble vol.7@東北沢OTOOTO(2017年)
ギレルモ・セラーノ+ヨアヒム・バーデンホルスト+マルコス・バッジャーニ『Lili & Marleen』(2016年)
LAMA+ヨアヒム・バーデンホルスト『Metamorphosis』(2016年)
ハン・ベニンク『Adelante』(2016年)
安田芙充央『Erik Satie / Musique D'Entracte』(2016年)
ダン・ペック+ヨアヒム・バーデンホルスト『The Salt of Deformation』(-2016年)
ヨアヒム・バーデンホルスト『Kitakata』(2015年)
カラテ・ウリオ・オーケストラ『Garlic & Jazz』(JazzTokyo)(2015年)
カラテ・ウリオ・オーケストラ『Ljubljana』(2015年)
パスカル・ニゲンケンペル『Talking Trash』(2014年)
ヨアヒム・バーデンホルスト+ジョン・ブッチャー+ポール・リットン『Nachitigall』(2013年)
ハン・ベニンク『Parken』(2009年) 


森口豁さんを囲む『紙ハブと呼ばれた男 沖縄言論人・池宮城秀意の反骨』出版記念会

2019-09-28 08:50:20 | 沖縄

森口豁さんの『紙ハブと呼ばれた男 沖縄言論人・池宮城秀意の反骨』の出版を記念した会に出た(2019/9/27、高円寺Grain)。

悪性リンパ腫も治癒の結果消えたとのこと、本当によかった(下の永田浩三さんの映画には闘病中と出てくる)。

永田浩三さんによるドキュメンタリー映画『森口豁 沖縄を生きる』のダイジェスト版の上映もあった。森口さんは、同じ高校(玉川学園)の金城哲夫に誘われて沖縄に行き、実状を知り、玉川大学を中退して琉球新報に入る。日テレ時代には素晴らしい多くのドキュメンタリーを撮り、そして現在も沖縄に通っている。その姿を追いかけた作品である。

宮森小学校の米軍機墜落事故(1959年)。近田洋一さん。久高島を撮った『乾いた沖縄』(1963年)。『沖縄の十八歳』、『一幕一場・沖縄人類館』(1966、78年)に登場する内間安男さんの現在の姿。『ひめゆり戦史』(1979年)に関連して、亡くなった女学生たちの写真を森口さんが集めたこと。昭和天皇が亡くなったとき、沖縄の二紙は「崩御」という言葉を使わなかったこと。知花昌一さんの現在とチビチリガマ。『広場の戦争展・ある「在日沖縄人」の痛恨行脚』(1979年)にも登場する金城実さんは、2016年に高江で機動隊員が沖縄人を「土人」と罵ったことから「琉球土人の像」を作った。国会議事堂正門にバイクで突撃し亡くなった上原安隆さん。金城哲夫さんの南風原町の実家と、2階から転落して亡くなったこと。三上智恵さん。金城実さんのハーモニカ。

いいドキュメンタリーである。完成したら改めて観に行きたい。

俳優の津嘉山正種さんや佐々木愛さん、作家の木村紅美さん、ノンフィクション作家の下嶋哲朗さん、ルポライターの鎌田慧さん、キャスターの金平茂紀さんたちが森口さんに向けて面白い話をした。良い会だった。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4

●森口豁
『紙ハブと呼ばれた男 沖縄言論人・池宮城秀意の反骨』(1995/2019年)
『アメリカ世の記憶』(2010年)
『最後の学徒兵』(1993年)
『沖縄 こころの軌跡 1958~1987』
『ひめゆり戦史』、『空白の戦史』(1979、80年)
『毒ガスは去ったが』、『広場の戦争展・ある「在日沖縄人」の痛恨行脚』(1971、79年)
『沖縄の十八歳』、『一幕一場・沖縄人類館』、『戦世の六月・「沖縄の十八歳」は今』 (1966、78、83年)
『乾いた沖縄』(1963年)

●永田浩三
永田浩三『NHKと政治権力』(2014年)
金平茂紀・永田浩三・水島宏明・五十嵐仁『テレビはなぜおかしくなったのか』(2013年)
永田浩三さん講演会「3・11までなぜ書けなかったのか メディアの責任とフクシマ原発事故」(2012年)


福岡アジア美術館の『アジアの近現代美術』展

2019-09-27 08:08:05 | アート・映画

所用で福岡に行ったついでに、好きな福岡アジア美術館を一回り。もちろん普段馴染みの薄いアーティストが多く、発見があって面白い。

バングラデシュのカジ・ギャスディンによる「夜の物語」には惹かれた。澄みきった夜空の星々ではない。草やウンコやガソリンの匂いがする空気、動物と植物と人がいる濁りの空間における光。光ではなく汁かもしれない。こんな表現があるのか。

台湾のキャンディ・バードによるポップな旅絵日記のような作品。旅行者の感性や「出逢い」ばかりを重視した私語りと何が違うのか?いや違わないし、それでも/それゆえ、アートになりうるということではないかと思えた。

大御所・蔡國強の火薬アート。なんども観ているからか、時間が経ったからか、ますますワビサビ感が強くなってきた。

「アジアの肉体派」というテーマでは、映画ポスターやマッチョな肉体を誇示した作品などいろいろ。面白いなと思ったのは、中国の大躍進政策時代のプロパガンダ絵画だ。わたしは中国のプロパガンダ映画もわりと好きでいくつかDVDを集めて観たのだが、いずれに登場する共産党の若者も、とても爽やかで、言動がきびきびとしている。つまり、共産党をナチスと重ねるつもりは毛頭ないのだが、モーメントとして、健全な肉体を異常なほど重視することは似ている(田野大輔『愛と欲望のナチズム』)。

●参照
「Art and China after 1989 Theater of the World」@サンフランシスコ近代美術館(2019年)
「アジアにめざめたら」@東京国立近代美術館(2018年)
横浜美術館の蔡國強「帰去来」展(2015年)
『民衆/美術―版画と社会運動』@福岡アジア美術館(2012年)
ドーハの蔡國強「saraab」展(2011-12年)
燃えるワビサビ 「時光 - 蔡國強と資生堂」展(2007年)
『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』


スティーヴ・リーマン『The People I Love』

2019-09-26 23:26:08 | アヴァンギャルド・ジャズ

スティーヴ・リーマン『The People I Love』(Pi Recordings、2018-19年)を聴く。

Steve Lehman (as)
Craig Taborn (p)
Matt Bewer (b)
Damion Reid (ds)

ずいぶんとシンプルな編成に戻ったものだが、それだけに4人の技巧の凄さが迫ってくる。

ビートの気持ちよさとは同じ間隔での繰り返しと、それゆえの発展のスリルなのかもしれない。しかしここでは全員が常時可変速。コードからの逸脱も計算されているようで、そのために蛮行の逸脱などよりも遥かに遠くへと跳躍し、また戻ってくる。

数学的なアクロバティック演奏だが、それは汗をかきながら人力で行われている。これが凄まじく面白いところである。肉体を最大限に駆使しながら肉体起因でないかのように振る舞い、それが却って人間らしさを取り戻すことにつながっている。前作でのラップとの親和性は必然的なものに思えてくる。

●スティーヴ・リーマン
ジョナサン・フィンレイソン『3 Times Round』(2018年)
ヴィジェイ・アイヤー『Far From Over』(2017年)
スティーヴ・リーマン『Sélébéyone』(2016年)
スティーヴ・リーマン@Shapeshifter Lab(2015年)
スティーヴ・リーマンのクインテットとオクテット(2007、2008、2014年)
スティーヴ・リーマンのデュオとトリオ(2010、2011年)
フィールドワーク『Door』(2007年)
スティーヴ・リーマン『Interface』(2003年)

●クレイグ・テイボーン
デイヴ・ホランド『Uncharted Territories』(-2018年)
イクエ・モリ+クレイグ・テイボーン@The Drawing Center(2017年)
クレイグ・テイボーン@The Stone(2017年)
クレイグ・テイボーン+イクエ・モリ『Highsmith』(2017年)
マッツ・グスタフソン+クレイグ・テイボーン『Ljubljana』(2016年)
クレイグ・テイボーン『Daylight Ghosts』(2016年)
クリス・デイヴィス『Duopoly』(2015年)
チェス・スミス『The Bell』(2015年)
クレイグ・テイボーン『Chants』(2013年)
クリス・ライトキャップ『Epicenter』(2013年)
クリス・ポッター『Imaginary Cities』(2013年)
『Rocket Science』(2012年)
デイヴ・ホランド『Prism』(2012年)
Farmers by Nature『Love and Ghosts』(2011年)
オッキュン・リーのTzadik盤2枚(2005、11年)
ロブ・ブラウン『Crown Trunk Root Funk』(2007年)
アイヴィン・オプスヴィーク『Overseas II』(2004年)
ティム・バーン『Electric and Acoustic Hard Cell Live』(2004年)
ティム・バーン『The Sublime and. Science Fiction Live』(2003年)
ロッテ・アンカー+クレイグ・テイボーン+ジェラルド・クリーヴァー『Triptych』(2003年)


トム・ブランカート+ルイーズ・ジェンセン+ケヴィン・マキュー+北陽一郎+与之乃+棚谷ミカ@不動前Permian

2019-09-26 22:12:37 | アヴァンギャルド・ジャズ

不動前のPermian(2019/9/25)。

Tom Blancarte (b)
Louise D. E. Jensen (as, vo)
Kevin McHugh (accordion)
Yoichiro Kita 北陽一郎 (tp)
Yoshino 与之乃 (琵琶)
Mika Tanya 棚谷ミカ (ds)

トム・ブランカートはテキサス出身、ルイーズ・ジェンセンはデンマーク出身。いまはパートナーでデンマークの郊外に住み、あちこちに出かけては演奏をしている。日本にもそのようなノリのようで、ルイーズは初来日、トムは大卒すぐに来て以来17年ぶり(演奏ははじめて)。ルイーズさんは日本で尺八を学ぶ目的もあるのだという。ふたりの小さい娘を連れていて、演奏も彼女たちの様子を見ながらである。面白い。

今回の日本ツアー最初のギグになるわけだが、それにしては異色すぎる顔合わせである。渋さの北さん、はじめから異色な存在としてインプロシーンに登場した与之乃さん、ピアノじゃないのとからかわれているケヴィン・マキュー、そしてはじめて観る棚谷さん。

1. Louise
2. Louise + 棚谷 + Kevin
3. Tom
4. 北 + 与之乃 + Tom
5. Louise + 北
6. Louise + 与之乃
7. Tom + Kevin
8. 棚谷 + Tom 

ルイーズさんのアルトは管の内壁なのか体内なのかに擦れるようであり、その接触的な音が、ノイズとともに外界と融合させているようだ。ヴォイスでも同様であり、またマウスピースを外したり、ネックを外してマウスピースと直結させたりもして、音領域の壁が崩落させられている。ライヴでこそ気がつき驚かされるものかもしれない。

これが共演者の音とやはり「擦れる」。棚谷さんのメタリックな音との重なりは擦れをさらに擦らせている。与之乃さんは琵琶のあちこちを鳴らし、強さも想定以上に変え、弦とサックスとの重なりをかなり多彩なものにしている。北さんのトランペットとサックスとは二重螺旋のように錐揉み、さまざまな角度での擦れが聴こえる。鳴らしの領域を広く取っていることで共演者との「擦れ」がそれぞれ異なってくるわけである。

トムさんのベースはとてもカラフルであり、やはり共演者を受容する懐がとても広い。なるほど、このふたりであれば共演者の音のキャラに応じてサウンドをあちこちに発展させられる。

Fuji X-E2、XF60mmF2.4、7Artisans 12mmF2.8

●トム・ブランカート
ブランカート+エヴァンス+ジェンセン+ペック『The Gauntlet of Mehen』(2015年)
チャン+エヴァンス+ブランカート+ウォルター『CRYPTOCRYSTALLINE』、『Pulverize the Sound』(2013、15年)
ピーター・エヴァンス『Destiation: Void』(2013年)
ピーター・エヴァンス『Ghosts』(2011年)
ピーター・エヴァンス『Live in Lisbon』(2009年)

●ルイーズ・ジェンセン
ブランカート+エヴァンス+ジェンセン+ペック『The Gauntlet of Mehen』(2015年)

●北陽一郎
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)

●与之乃
邂逅、AMU、藤吉@吉祥寺MANDA-LA2(2019年)
与之乃&田村夏樹『邂逅』(2018年)
与之乃+田村夏樹@渋谷メアリージェーン(2018年)


シアード・クルスーム『セメントの記憶』

2019-09-25 08:18:32 | 中東・アフリカ

福岡アジアフィルムフェスティバルにて、シアード・クルスーム『セメントの記憶』(2017年)を観る。

内戦下のシリアからレバノンに亡命した人が撮ったドキュメンタリーである。

レバノンの工事現場でシリア人難民や移民が働く。カメラはセメントを、コンクリートを、鉄骨を、水たまりを凝視し、まるでその一部に過ぎないかのように人間を捉える。人間の夢は水たまりにではなく海にある。だがマテリアルとオカネと戦争は常に一体化し、何もかも轢いて進んでゆく。

工事現場のクレーンとシリアの戦車の主砲とを重ね合わせ、新しく建設されるビルと無残に砲弾で打ち壊されるビルとを重ね合わせる視線。


チェン・ユーシュン『ラブゴーゴー』

2019-09-25 08:05:10 | 中国・台湾

福岡で時間が空いて、福岡アジアフィルムフェスティバルで上映していたチェン・ユーシュン『ラブゴーゴー』(1997年)。

台湾。先のことを考えられない若者たち。オチも何もない支離滅裂さが台湾の空気のなかであちこちに粘着する。かなり面白かった。これに先立つ『熱帯魚』も観てみたい。


加藤崇之+不破大輔+藤掛正隆+元晴@荻窪ルースターノースサイド

2019-09-21 13:10:52 | アヴァンギャルド・ジャズ

荻窪のルースターノースサイド(2019/9/20)。

Takayuki Kato 加藤崇之 (g)
Daisuke Fuwa 不破大輔 (b)
Masataka Fujikake 藤掛正隆 (ds)
Guest:
Motoharu 元晴 (ts, as, ss)

ハードな超曲者のトリオ。

藤掛さんのドラムスは、マレット、ブラシ、スティックと持ち替えて、決して折れない音を前へ前へと繰り出してゆく。シンバルを叩くときの寸止め感はむしろ力強さに結びついている。不破さんのコントラバスは同じリフを繰り返し、ああこれだったというグルーヴを創出する。それは地底のようでも横路の闇のようでも嗚咽のようでもあり、耳で追いかけていると麻薬を摂ったようになってくる。

後半、サックスの元晴さんが加わった。テナーでは下から泥流をすくい上げるように思えるときがあった。またアルトとソプラノは意外に艶っぽい音だった。アルトでぶわっと棍棒を振り回すがごとき音を放ったとき、加藤さんが同じ挙動を示し、あまりのことに笑ってしまう。加藤さんのハードな遊びはいつも通りでもあるのだが、いきなりカリヨンのような音が出てくるといちいち驚く。不破さんは終盤エレベに持ち替え、またダークな不破グルーヴを見せつけた。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●加藤崇之
夢Duo@本八幡cooljojo(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2019年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2018年その2)
松風鉱一カルテット@西荻窪Clop Clop(2018年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン
(2018年その1)
夢Duo『蝉時雨 Chorus of cicadas』(2017-18年)

松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2016年)
松風鉱一@十条カフェスペース101(2016年)
松風鉱一カルテット+石田幹雄@新宿ピットイン(2015年)
松風鉱一カルテット@新宿ピットイン(2012年)
松風鉱一カルテット、ズミクロン50mm/f2(2007年)
加藤崇之トリオ『ギター・ミュージック』の裏焼き(1989年)

●不破大輔
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
渋さチビズ@なってるハウス(2019年)
青山健一展「ペタペタ」とThe Space Baa@EARTH+GALLERY(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2017年)
川下直広カルテット@なってるハウス(2016年)
立花秀輝+不破大輔@Bar Isshee(2015年)
不破大輔@東京琉球館(2015年)
山口コーイチ『愛しあうことだけはやめられない』(2009-10年)
高木元輝の最後の歌(2000年)
2000年4月21日、高木元輝+不破大輔+小山彰太(2000年)
『RAdIO』(1996, 99年)
『RAdIO』カセットテープ版(1994年)
のなか悟空&元祖・人間国宝オールスターズ『伝説の「アフリカ探検前夜」/ピットインライブ生録画』(1988年)

●藤掛正隆
MoE+メテ・ラスムセン+灰野敬二+藤掛正隆@荻窪Club Doctor(2019年)

●元晴
渋大祭@川崎市東扇島東公園(2019年)
MoGoToYoYo@新宿ピットイン(2017年)
Worldwide Session 2016@新木場Studio Coast(2016年)


豊住芳三郎+コク・シーワイ+照内央晴@横濱エアジン

2019-09-18 22:33:28 | アヴァンギャルド・ジャズ

横濱エアジン(2019/9/17)。

Siew-Wai Kok (voice)
Sabu Toyozumi 豊住芳三郎 (perc, 二胡)
Hisaharu Teruuchi 照内央晴 (p)

少し遅れて入ると、豊住さんとコク・シーワイさんのデュオが始まったところだった。シーワイさんは話したり生活したりする延長のごときヴォイスの展開であり、いきなり表現領域のエッジを拡張する人ではないように思えた。だがそれは凡庸を意味しない。手元足元口元からのシームレスな延長はとても惹かれるものだった。豊住さんもナチュラルな音を出した。

このあと照内さんが入り、ふたりが入れ替わりデュオを2回。照内さんは静から次に提示する音を選んでおり、自分からあるフォーマットとともに仕掛けていくことをしない。これに応じなめらかに小から大まで、遠から近までをなめらかに行き来するシーワイさん。豊住さんは照内さんとの対峙となると天翔けるハヌマーンと化す。この躊躇のない叩きっぷりはさすがとしか言いようがないものだ。

トリオでは、豊住さんは二胡を弾き始めた。いつもよりそれは長かったのだが、あとで聞くと、ああ怖いなという緊張感がないとつまんないじゃん、と。照内さんも激に走り、シーワイさんもまたヴォイスを加速して可動域を急に拡張する。作為でない三者の動きはさまざまに姿を変えた。シーワイさんはバッファーでも刺激剤でもあった。

シーワイさんはクアラルンプールのインプロシーンの中心人物のようである。いろいろと現地の状況を聴きながら帰った。

Fuji X-E2、XF35mmF1.4、XF60mmF2.4

●豊住芳三郎
豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)(2019年)
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
ジョン・ラッセル+豊住芳三郎@稲毛Candy(2018年)
謝明諺『上善若水 As Good As Water』(JazzTokyo)(2017年)
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
豊住芳三郎『Sublimation』(2004年)
ポール・ラザフォード+豊住芳三郎『The Conscience』(1999年)
アーサー・ドイル+水谷孝+豊住芳三郎『Live in Japan 1997』(1997年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)

●照内央晴
照内央晴+加藤綾子@神保町試聴室(2019年)
特殊音樂祭@和光大学(JazzTokyo)(2019年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴@なってるハウス(2019年)
豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)(2019年)
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2019年)
吉久昌樹+照内央晴@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2019年)
照内央晴、荻野やすよし、吉久昌樹、小沢あき@なってるハウス(2019年)
照内央晴+方波見智子@なってるハウス(2019年)
クレイグ・ペデルセン+エリザベス・ミラー+吉本裕美子+照内央晴@高円寺グッドマン(2018年)
照内央晴+川島誠@山猫軒(2018年)
沼田順+照内央晴+吉田隆一@なってるハウス(2018年)
『終わりなき歌 石内矢巳 花詩集III』@阿佐ヶ谷ヴィオロン(2018年)
Cool Meeting vol.1@cooljojo(2018年)
Wavebender、照内央晴+松本ちはや@なってるハウス(2018年)
フローリアン・ヴァルター+照内央晴+方波見智子+加藤綾子+田中奈美@なってるハウス(2017年)
ネッド・マックガウエン即興セッション@神保町試聴室(2017年)
照内央晴・松本ちはや《哀しみさえも星となりて》 CD発売記念コンサートツアー Final(JazzTokyo)(2017年)
照内央晴+松本ちはや、VOBトリオ@なってるハウス(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』@船橋きららホール(2017年)
照内央晴・松本ちはや『哀しみさえも星となりて』(JazzTokyo)(2016年)
照内央晴「九月に~即興演奏とダンスの夜 茶会記篇」@喫茶茶会記(JazzTokyo)(2016年)
田村夏樹+3人のピアニスト@なってるハウス(2016年)


豊住芳三郎インタビュー(JazzTokyo)

2019-09-18 08:19:49 | アヴァンギャルド・ジャズ

偉大な豊住芳三郎さんへのインタビューを、JazzTokyo誌に寄稿した。

>> INTERVIEW #191 豊住芳三郎

ここには書いていないが、来年また某大物の日本ツアーがあるかもしれないとのこと。

●豊住芳三郎
豊住芳三郎+庄子勝治+照内央晴@山猫軒(2019年)
豊住芳三郎+老丹+照内央晴@アケタの店(2019年)
豊住芳三郎+謝明諺@Candy(2019年)
ジョン・ラッセル+豊住芳三郎@稲毛Candy(2018年)
謝明諺『上善若水 As Good As Water』(JazzTokyo)(2017年)
ブロッツ&サブ@新宿ピットイン(2015年)
豊住芳三郎+ジョン・ラッセル『無為自然』(2013年)
豊住芳三郎『Sublimation』(2004年)
ポール・ラザフォード+豊住芳三郎『The Conscience』(1999年)
アーサー・ドイル+水谷孝+豊住芳三郎『Live in Japan 1997』(1997年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『滄海』(1976年)
加古隆+高木元輝+豊住芳三郎『新海』、高木元輝+加古隆『パリ日本館コンサート』(1976年、74年)
豊住芳三郎+高木元輝 『もし海が壊れたら』、『藻』(1971年、75年)
富樫雅彦『風の遺した物語』(1975年)