中野のSweet Rain(2019/7/18)。
Chris Wiesendanger (p)
Taichi Kamimura かみむら泰一 (ts, ss)
Kosuke Ochiai 落合康介 (b)
Ryo Noritake 則武諒 (ds)
最初はクリスさんのオリジナル「Nowhere Nowwhere」。イントロから、リズムを自身に引きこんでいるピアノに少し驚かされる。それから、軽く歌いながら弾くことにより、一貫して耳をくすぐってくる気持ちのよいユニゾン感。なるほど、徹さんが「ジャンル、クリス・ヴィーゼンダンガー」と呼んだというオリジナル世界なのか。
続いて、先日亡くなった浜村昌子さんの曲「First Day in Brazil」。かみむらさんのソプラノには存在感があり、徹さんと共演したときのような「吹かないサックス」とはまた違う。クリスさんと落合さんとの音合わせが愉しい。
この日は浜村さん縁の曲を多く取り上げた。かみむらさんによる「For Masako」では、最初はテナーとベースとで不思議なサウンドを作っていたが、やがてピアノが入るとぞくりとさせられる。マレットで雲のような音を作る則武さんのドラムスが良い。
「Action for Masako」ではテナーの撥音、そのまま続く「Action and Talk」ではテナー、ベース、ピアノのユニゾンが気持ち良く、ここにドラムスがルースに合わせている。そしてスタンダードの「Skylark」も浜村さんによるアレンジ。ピアノのイントロからエアたっぷりのテナーが入り、やがてドラムスとベースとがまったく同時に入るとぱかりと空が開けたように感じた。テナーが抜けても、クリスさんは他に合わせるでもなく不思議に共存して、自分の時間を進めた。面白い。
セカンドセット。この日は映像作家の中根秀夫さんが観にきていた。中根さんの映像にかみむらさんが音楽を付け、武田多恵子さんが詩を読む作品を上映しているとのこと。そんなわけで、「ありがとう多恵子さん」という曲。続いて、オーネット・コールマンの「Harlem Manhattan」では、はじめにピアノとドラムス、そしてカルテットとなった。かみむらさんはテナーに持ち替えたのだが、曲のせいか、デューイ・レッドマンを彷彿とさせる瞬間が多々訪れる。途中での全員でのテンポアップが愉しい。
浜村さんの「夏」は、テナーのロングトーンもあり、奇妙に夏の暑さやぽっかりと空いた時間を思わせる曲。最後の曲「Hard Times Come Again No More」では、ソプラノのソロのあと、ゆっくりと響かせる落合さんのピチカートが印象的でまたユーモラス。クリスさんはたぶん「Blue Monk」も引用した。
クリス・ヴィーゼンダンガーさんは齋藤徹さんとの共演歴があり気になっていた。そのときは齋藤徹・かみむら泰一・大塚惇平・松本ちはやという面々であり、クリスさんに訊いたところ、それに遡って数回共演したのだという。11年前には京都でローレン・ニュートンを含めたトリオとのこと。実にユニークで素晴らしく、もっと前にかれの音楽を聴いていてもよかったと思う。もう翌日にはスイスに帰国してしまい、次の来日は来年。前の日にかみむらさんと山猫軒で行ったという録音を聴くのが楽しみである。
Fuji X-E2、7Artisans 12mmF2.8、XF60mmF2.4
●クリス・ヴィーゼンダンガー
クリス・ヴィーゼンダンガー+クリスチャン・ヴェーバー+ディーター・ウルリッヒ『We Concentrate.』(2004年)
●かみむら泰一
徹さんとすごす会 -齋藤徹のメメント・モリ-(2019年)
かみむら泰一+齋藤徹@喫茶茶会記(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
かみむら泰一+齋藤徹@本八幡cooljojo(2018年)
かみむら泰一session@喫茶茶会記(2017年)
齋藤徹 plays JAZZ@横濱エアジン(JazzTokyo)(2017年)
かみむら泰一+齋藤徹@キッド・アイラック・アート・ホール(2016年)
齋藤徹+かみむら泰一、+喜多直毅、+矢萩竜太郎(JazzTokyo)(2015-16年)
かみむら泰一『A Girl From Mexico』(2004年)
●落合康介
レイモンド・マクモーリン@本八幡cooljojo(2019年)
永武幹子トリオ@本八幡cooljojo(2017年)
立花秀輝トリオ@東中野セロニアス(2017年)
永武幹子@本八幡cooljojo(2017年)
●則武諒
福冨博カルテット@新宿ピットイン(2015年)